日本ホラー小説大賞HP角川書店が主催する、『第20回日本ホラー小説大賞』の大賞が発表された。今回応募があったのは359作品。

大賞受賞作はなかったものの、優秀賞は『かにみそ』の倉狩聡(くらがりそうさん。読者賞は『ウラミズ』の佐島佑(さじまゆう)さんが受賞している。


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日本ホラー小説大賞は、1994年から続くホラー小説専門の賞。今回のように大賞作が無しとなるケースは珍しくなく、受賞作はこれまで10作しかない。
つまり、受賞作は開催回の半数という他に類をみないほど厳しく選考されている賞。

今回の選考委員は、荒俣宏さん、貴志祐介さん、高橋克彦さん、宮部みゆきさんが務めている。

なお、今回の優秀賞受賞作『かにみそ』は角川書店から単行本として、読者賞受賞作『ウラミズ』は角川ホラー文庫からそれぞれ2013年秋に刊行される。

<日本ホラー小説大賞 優秀賞>
『かにみそ』 倉狩聡(くらがりそう)
〔あらすじ〕
食べることにも生きることにも無頓着な『私』は、人語を操り、あらゆるものを食べる奇異な蟹を拾う。巧みな話術で『私』を楽しませる蟹との間には次第に友情が育まれ、『私』は生きる気力を取り戻していった。やがて肉を食らう蟹の姿に魅力を感じるようになった『私』は蟹とともに人を狩るという快楽に溺れていくが、狩りを重ねるにつれ人を殺すことへの罪悪感が芽生え始める。罪の意識にさいなまれた『私』はついに、蟹を殺すことを決意するが……。

〔著者略歴〕
ペンネーム:倉狩聡(くらがりそう)・女性。 1982年3月31日生まれ。東京都出身、在住。国際製菓専門学校夜間部卒業。

<日本ホラー小説大賞 読者賞>
『ウラミズ』 佐島佑(さじまゆう)
〔あらすじ〕
ブラック企業に勤める真城弘道は、無神経な同僚とクレーマー対応のせいで心が腐るような日々を送っていた。しかも、真城は「霊」が見える力を持っており、それが彼の心を余計に暗くさせていた。だが、ある日出会い、意気投合した宇佐
美早音は、なんと水の入った瓶に霊を閉じ込める力を持っていた。霊の溶けた二つの水を混ぜ合わせることで、誰にでも見える強力な霊を発生させる「ウラミズ」を作り出した二人。会社の倒産を機に、一緒に組んでウラミズの販売を始めるが、ひょんなことからヤクザのタネダに目をつけられ……。

〔著者略歴〕
ペンネーム:佐島佑(さじまゆう)・男性。1979年7月11日生まれ。東京都出身、在住。日本大学芸術学部卒業。

◇日本ホラー小説大賞 公式サイト
http://www.kadokawa.co.jp/contest/horror/
◇過去の受賞作一覧

画像:日本ホラー小説大賞公式サイト