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一瞬でホラー映画の世界観に!謎の楽器「ウォーターフォン」とは?

 暗い闇の向こうからおどろおどろしい何かが迫ってくる……ホラー映画のそんなシーンで流れる効果音。心をざわつかせるそういった音は、どのようにして作られているのでしょう。

 打楽器奏者の新野将之さんがXに投稿した「ウォーターフォン」という楽器は、その方法のうちの1つです。

  • ■ 独特な高音がなんとも言えない不気味さ……謎めいた楽器「ウォーターフォン」

     「ウォーターフォン」とはアメリカ人のリチャード・A・ウォーターズ氏が1960年代に発明した楽器。音を重視した彫刻作品として生み出された「ウォーターフォン」は、映画のサウンドトラックなどに使われたことで、広く知られるようになりました。

    「ウォーターフォン」を手に入れた新野さん

     このほど新野さんがXに投稿した動画を再生してみると……うわっ、この音、なんか聞いたことある!

     言葉でうまく表現することのできない、波打つような独特な高音は、なんとも言えない不気味さがあります。まるで頭の奥を尖った爪の先ですぅっと撫でられるような、そんな気分です。

     裏を返せば、1回聞くだけで強烈なインパクトを残すサウンド。動画を止めたあとも、しばらく耳から離れません。

     この音を具体的にどんな映画で聞いたのか、ということはまったく思い出せないのですが、「絶対に聞いたことがある」と確信を持って言えるのは、そのインパクトゆえなのでしょう。

     夜中には絶対に音を聞きたくはないこの楽器について、「ついに買っちゃった!」と楽しげに投稿していた新野さん。どういう経緯で購入にいたったのかなど、詳しく聞いてみました。

    ■ 近現代の楽曲では演奏に使用することも!新野さんに聞いた「ウォーターフォン」の使い道

    −− 投稿に「ついに買っちゃった!」とありますが、前々から購入を考えていたものなのでしょうか?

     以前から欲しかった楽器なのですが、高額(7~10万円)なものなので渋っておりました。

    −− ということは今回は、何か用途や目的があって購入された……?

     今年の6月に「ゴースト・トレイン/作曲E.ウィティカー」という吹奏楽の曲を指導校で演奏するのですが、その曲の冒頭にウォーターフォンが登場するため、思い切って購入しました。

    回転させながら弓で擦って音を奏でる

    −− タイトルが「ゴースト」なところに、雰囲気を感じますね。この楽器を使う曲があるとは思いませんでした。

     「ゴースト・トレイン/作曲:E.ウィティカー」をはじめ、近現代の吹奏楽・オーケストラ・室内楽曲で使用する作品が存在します。

    −− 演奏方法としては棒状の部分を弓で弾き、その強弱や位置で音を調節するという感じでしょうか?

     はい、回転させながら弓で擦ると色々な長さの棒が振動して、下の胴体を共鳴させる仕組みです。

    −− 動画の最後には手首を返して楽器全体を揺らされていましたが、あれも演奏方法の一環なのでしょうか?

     この胴体の中には水が入っていて、揺らす事で中の水が移動して音程が変化する仕組みになっています。

    本体を揺らす事で中の水が移動して音程が変化する

    −− おお、本当に水が入っているんですね……!ちなみに新野さんは打楽器奏者とのことですが、このウォーターフォンも分類としては打楽器なのでしょうか?

     ウォーターフォンは正確には打楽器ではないかもしれません。

     私は打楽器奏者ですが、太鼓のような叩く楽器だけでなく、様々な面白い音の収集家のようなこともしています。

     ちなみに、ウォーターフォンはオーケストラや吹奏楽の楽譜には打楽器奏者のパートに割り振られています。打楽器奏者は「なんでもやさん」なのです笑

    −− なんでもやさん……打楽器奏者のイメージが覆りました……。

    * * *

     新野さんの「ウォーターフォン」は、6月15日に東京都小平市民文化会館で開催される「錦城高校吹奏楽部第50回定期演奏会」にてお披露目予定だそうです。こちらは一般の形も鑑賞可能な演奏会となっているとのことで、興味がある方はぜひ足を運んでみては。

    <記事化協力>
    「NINO Masayuki 新野将之」さん(@ugomekidrum

    <参考・引用>
    Richard A. Waters「instruments
    Richard A. Waters「history

    (ヨシクラミク)

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