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届けたくても届けられない手紙を預かる郵便局があるんだって

瀬戸内海の島と言えば3年に一度行われる瀬戸内国際芸術祭や島全体がアート作品だらけの直島などが全国的に有名ですが、7月21日の『あさイチ』(NHK)で紹介された直島から北西に40kmほどの場所に位置する粟島の“漂流郵便局”が話題を集めていました。

  • 【関連:漫画コラム・うちの本棚「劇画漂流/辰巳ヨシヒロ」】

    漂流郵便局officialサイト

    漂流郵便局は香川県三豊市詫間町の粟島にあります。もともとは旧粟島郵便局舎だった場所を現代芸術家の久保田沙耶さんが2013年に行われた瀬戸内国際芸術祭で出品する作品として、届けたくても届けることのできない宛先不明の手紙ばかりを預かる漂流郵便局として生まれ変わらせました。
    実際に粟島郵便局で局長を努めていた中田勝久さんが漂流郵便局で局長として就任しており、届いた手紙1通1通に目を通しているそうです。

    漂流郵便局公式サイトには「『漂流郵便局』とは、届け先の分からない手紙を受け付ける郵便局であり、「漂流郵便局留め」という形で、いつか宛先不明の存在に届くまで漂流私書箱に手紙を漂わせてお預かりする郵便局である。」という説明があり、思いを伝えることができなかった相手へのラブレター、亡くなった飼い犬への思いを綴った文、まだ会うことのない未来の自分の子どもへの手紙など感情的物理的に相手に届けることのできない手紙が多く届けられており、届いた手紙は局内にある、回すと海の音が奏でられる私書箱に納められ郵便局の開局日には訪れた人々に公開しているそうです。

    届けたくても届けられない手紙を預かる郵便局があるんだって

    どこかの誰かに自分の想いを伝えたいという気持ちは、人間なら誰しも持つとても純粋な欲求です。つい先日もゲームが進んでいくとどこかの誰かしらに自分のメッセージを届けることができるというスマートフォンアプリ『ひとりぼっちの惑星』が大流行しましたが、心にくすぶっていた強い思いを見知らぬ誰かにアプリを通して読んでもらえるという形で行き場のない欲求が昇華がされることがおそらくヒットの理由であるようです。
    漂流郵便局に届いた手紙は主に局長である中田さんと久保田さんと来局した誰かにそのメッセージが読まれますが、誰かに自分の思いを読んでもらえる可能性というのは静かな希望に満ち溢れているように感じます。

    あなたがもし漂流郵便局に手紙を送るとしたら、どこの誰にどんな思いを綴りますか?

    ▼参考
    漂流郵便局officialサイト

    (文:大路実歩子)

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