エアカナダは2020年10月16日(現地時間)、世界中で運航停止が続いているボーイング737MAXについて、少なくとも2020年2月14日までは路線に投入しないと発表しました。ボーイングの安全対策が長期化することを見込んでのものと思われます。

 2018年10月のライオンエア610便、2019年3月のエチオピア航空302便と相次ぐ墜落事故により、機体設計と操縦システムの不具合が指摘されたボーイング737MAX(B737MAX)。飛行制御ソフトウェアに欠陥があったとして、2019年3月にアメリカ連邦航空局(FAA)が同機の運航を禁止したことを受け、世界中の航空会社がB737MAXの運行を取りやめています。

 ボーイングでも9月30日付で、会長を兼任していたデニス・ミュイレンバーグCEOが会長職を辞任し、CEOの職務に専念することでB737MAXの問題に対処することを発表しています。しかしシミュレータを用いた試験を重ねていても、安全対策の確立には難航しているようです。

 このため、エア・カナダでは11月から新しい予約システムを稼働させるのに合わせ、B737MAXの運航停止措置を2020年2月14日まで延長することを決定したのです。また、この期日は状況に応じてさらに延長されます。

 エア・カナダの旅客部門最高責任者を務めるルーシー・ギエメット副社長は「この賢明な判断に至った経緯としては、現在続いている運航停止措置の終了時期が不透明であるということです。この延長にともない、私たちの新しい予約システムを稼働させるにあたり、確実性を高める日程が組めます」と、今回の決断についてコメントしています。

 エア・カナダではB737MAXのほか、同規模の機材としてエアバスA320とA321を保有しています。しかし機材繰りが厳しくなるため、3月の長期休暇までの期間、新たに2機のワイドボディ機をリースして路線に投入することも明らかにしています。


 エア・カナダが保有するB737MAX(B737MAX 8)は24機。運航停止までは1日あたり9000~1万2000人が利用していました。これだけの席数をやりくりするのは非常に大変ですが、エア・カナダでは利用客に影響がないように努力するとも発表しています。

<出典・引用>
エア・カナダ プレスリリース
Image:Air Canada

(咲村珠樹)