おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

その猫は瓦だニャ 新潟県阿賀野市の名産品「安田瓦」で作った「瓦猫」が本物そっくり

 「おはようございます!8/6(木)新潟県阿賀野市は晴れ。今日は暑すぎて #やすだ瓦ロード を歩くのはおすすめしませんので、「見つけられない」と言われる村秀鬼瓦工房さんの猫を置いていきますニャニャーン」

 8月のとある日に猫語を駆使しながら投稿したのは、丸三(まるみ)安田瓦工業公式Twitter。ちなみに丸三安田瓦工業株式会社(以下丸三社)は、安田瓦の代表的な製造メーカーのひとつです。

 そしてこの投稿には、瓦の上を闊歩する猫ちゃんの写真が添えられていました。ソーシャルディスタンスもしっかりキープしていて、礼儀正しい猫ちゃんたちだな~とほっこりしてたんですが、実はこれ本物の猫ちゃんではなく実は安田瓦で作成した「瓦猫」。

  •  安田瓦は新潟県阿賀野市を代表する名産品のひとつで、その銀鼠色の色合いから別名「鉄色瓦」と呼ばれており、天保年間(1830年~1844年ごろから)生産が始まった由緒ある瓦。

     日本有数の豪雪地帯である新潟産の瓦だけあり、耐寒性と耐圧性に優れ、国の重要文化財である北方文化博物館や新潟県知事公舎といった新潟県を代表する建造物に使用され、また県外の様々な公共物にも使用されているという阿賀野市の誇る地場産業品。

     近年は保全活動が叫ばれるようになったそうで、安田瓦の製造メーカーが集約している阿賀野市旧安田町エリアには、製造工場の前にある通りを様々な安田瓦の造形物が並んだ「やすだ瓦ロード」が整備されました。

     この通りは、安田瓦製造メーカーたちが集まった「安田瓦協同組合」によって2011年に整備されたのですが、その通りの中でひと際目を引く瓦があると、近年SNSを中心にとりわけ話題になっている瓦があるんです。それが今回の瓦の上を歩く瓦猫。

     丸三安田瓦工業Twitter担当に聞いてみると、この瓦猫を作成したのは、同じ新潟県阿賀野市にある「有限会社村秀鬼瓦工房」ということで、今回担当の方に詳しい話を伺いました。

     取材に応じていただいたのは、村秀鬼瓦工房代表の村山茂さん(以下村山さん)。村山さん曰く、この瓦猫は元々新潟市内で開かれたとあるギャラリー展用に作られたもの。当初は、そのギャラリー展の終了と同時に会社の倉庫に保管していたそうなんですが、先ほどのやすだ瓦ロード整備が転機になったそう。

     「せっかくの話で、うちの前は何もないってのも忍びなくて。じゃあ何を置こうかなって考えたときにあの猫を思い出したんです」

     そんな背景もあって設置した瓦猫なんですが、これが思いのほか大反響。先ほどの丸三社公式Twitterのツイートは元より、SNSでも度々話題になり、今ではやすだ瓦ロードの代名詞ともいえるスポットになったそうです。

     ちなみに村秀鬼瓦工房は、安田瓦の中でも、大量製造が難しい仏閣などの鬼瓦を手作業にて製造される鬼瓦専門の職人だそう。瓦猫に関しても、ひとつひとつ丁寧に作りこまれているため、本物の猫と見間違うような精巧な作りです。目つきや髭の部分といった細かい部分まで再現していて、これだけでも安田瓦のクオリティーの高さが伺える逸品となっています。

     村山さんも、まさか倉庫に眠っていた作品でここまでの反響が得られるとは思ってなかったとのこと。ご自身はSNS関係は普段はやっていないのですが、SNSを見た方より、猫瓦の仕事の依頼を受けた経験もあるそうで、色々な可能性があると体感されたそう。ただ同時に思っていることがありました。

     「あの瓦猫がここまで反響をもらえるとは思ってなかったです。でもあれはあくまで安田瓦という文化のほんの一部。これをきっかけに、少しでも瓦を知ってくれるきっかけになってくれればですね」

     とインタビューの最後に仰られた村山さん。私も新潟を訪れる機会が出来たら是非とも訪問したいと思います。

    <取材協力>
    有限会社村秀鬼瓦工房 代表 村山茂さん
    丸三安田瓦工業公式Twitter(@marumikawara)

    (向山純平)

    あわせて読みたい関連記事
  • 胴体だけ消えた!? キャットタワーで「マジックショー」を披露した猫ちゃん
    インターネット, びっくり・驚き

    胴体だけ消えた!? キャットタワーで「マジックショー」を披露した猫ちゃん

  • まるでトイトレに付き添う親のよう 飼い主のトイレにお供する猫の愛情表現
    インターネット, おもしろ

    まるでトイトレに付き添う親のよう 飼い主のトイレにお供する猫の愛情表現

  • にゃんこ7匹がゲートを強行突破!?家の片隅で起こった“かわいい暴動”
    インターネット, おもしろ

    にゃんこ7匹がゲートを強行突破!?家の片隅で起こった“かわいい暴動”

  • 黒ズボンをベッドに猫すやすや 息子の服が猫毛まみれに
    インターネット, おもしろ

    黒ズボンをベッドに猫すやすや 息子の服が猫毛まみれに

  • 刺さってる!?猫のモフモフボディが生んだ錯覚写真に8万人がほっこり
    インターネット, おもしろ

    刺さってる!?猫のモフモフボディが生んだ錯覚写真に8万人がほっこり

  • 顔がひとつに見える?だまし絵のように重なった2匹の黒猫
    インターネット, おもしろ

    顔がひとつに見える?だまし絵のように重なった2匹の黒猫

  • 犬を乾かしていたら猫が不法侵入!?ドライルームでの予想外ツーショットに飼い主横転
    インターネット, おもしろ

    犬を乾かしていたら猫が不法侵入!?ドライルームでの予想外ツーショットに飼い主横転…

  • 鳥ミング効果? サマーカットした猫が“まごうことなき鶏肉”に
    インターネット, おもしろ

    鳥ミング効果? サマーカットした猫が“まごうことなき鶏肉”に

  • 「階段が狭いとかの次元じゃない」 6匹の猫たちが段差を完全制圧
    インターネット, おもしろ

    「階段が狭いとかの次元じゃない」 6匹の猫たちが段差を完全制圧

  • 洗面台を完全占拠 歯を磨きたい飼い主を阻む猫の「涼しい居場所」
    インターネット, おもしろ

    洗面台を完全占拠 歯を磨きたい飼い主を阻む猫の「涼しい居場所」

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言
    社会, 経済

    時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

  • ゴロっとチキンのカレーナポ
    商品・物販, 経済

    パンチョ初の人気投票1位「カレーナポ」が進化 期間限定で復刻登場

  • 山崎賢人さんと坂口憲二さん(※山崎賢人さんの崎の字は正しくは「たつさき」です)
    イベント・キャンペーン, 経済

    サントリー生ビール新CMメイキング公開 山崎賢人ら“生ひげ”姿で掛け合い

  • なか卯に「黒トリュフ薫る きのこ親子丼」が期間限定で発売
    商品・物販, 経済

    なか卯に「黒トリュフ薫る きのこ親子丼」が期間限定で発売

  • Discordの発表
    インターネット, 社会・物議

    「Discord」で外部委託先に不正アクセス 一部ユーザーの個人情報が影響か

  • 江口拓也さん&鬼頭明里さん、“声で伝える広報”第2章へ ENEOS「#こえ報部」新企画が始動
    イベント・キャンペーン, 経済

    江口拓也さん&鬼頭明里さん、“声で伝える広報”第2章へ ENEOS「#こえ報部」…

  • トピックス

    1. これでもう怒られずにすむ? 息子が作った「ママの攻略本」の実力は

      これでもう怒られずにすむ? 息子が作った「ママの攻略本」の実力は

      親に怒られてしまった子どもが、その後に取る態度はさまざまです。落ち込む子もいれば、しっかり反省する子…
    2. 警告ポップアップで強引に広告誘導 悪質業者が仕掛ける正規サービスを悪用した罠

      警告ポップアップで強引に広告誘導 悪質業者が仕掛ける正規サービスを悪用した罠

      インターネットを使っていると、ふとした瞬間に現れる「警告ポップアップ」。 近ごろでは「サポート詐欺」…
    3. 母に何気なく70年万博の話をしたら……“55年前の資料”にテンション爆上がり

      母に何気なく70年万博の話をしたら……“55年前の資料”にテンション爆上がり

      大阪・関西万博をきっかけに、55年前の1970年の大阪万博(以下、70年万博)に興味を抱くようになっ…

    編集部おすすめ

    1. 時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

      時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

      時事通信社は10月9日、自民党本部での取材中に「支持率下げてやる」などと発言した本社映像センター写真部の男性カメラマンを厳重注意したと発表し…
    2. 「ちいかわの世界に行きたい」ファン、考えた末に鎧さん化 再現度がガチすぎた

      「ちいかわの世界に行きたい」ファン、考えた末に鎧さん化 再現度がガチすぎた

      言わずと知れた人気コンテンツ「ちいかわ」。かわいくもハードなあの作品世界に入っていきたいと願う人は多いはず。筆者もその1人です。しかし二頭身…
    3. ネカフェの個室に不気味なトランプが……Xユーザーの“恐怖体験”に17万いいね

      ネカフェの個室に不気味なトランプが……Xユーザーの“恐怖体験”に17万いいね

      キーボードに差し込まれたトランプのジョーカーと、その裏に書かれた「げぇむすたあと」の文字。Xユーザーの「たーけ」さんが、たまたま入ったネット…
    4. フライドポテトで、白ごはんを食べる……?ドンキ新作が過去イチ理解できなかった件

      フライドポテトで、白ごはんを食べる……?ドンキ新作が過去イチ理解できなかった件

      「みんなの75点より、誰かの120点」を合言葉にドン・キホーテが展開している偏愛メシシリーズ。10月1日に「本当にこの組み合わせが好きな人が…
    5. 将棋倶楽部24、2025年末でサービス終了 27年の歴史に幕

      将棋倶楽部24、2025年末でサービス終了 27年の歴史に幕

      オンライン将棋対局サービス「将棋倶楽部24」が、2025年12月31日をもって終了することが発表された。運営する席主の久米宏氏が10月1日付…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト