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20歳を迎えた猫の成人式 「私、まだまだがんばれるよ」

 「20歳」といえば、日本では「新成人」と言われ、各地で成人式が開かれます。

 が、それはあくまで人間界の話……なのですが、先日とある猫ちゃんの「成人パーティー」がTwitter上で開催され、多くの方に祝福されました。

  •  今回、「新成人」となったのは、真っ白な毛皮が特徴的なももちゃん。投稿者である飼い主さんいわく、「穏やかな性格でよくにゃあにゃあと“喋っている”」猫ちゃん。普段はごはん、水飲み、トイレ以外はずっと寝ており、飼い主さんの布団の中か、大好きな「抱っこ」や膝枕で眠っているそうです。

     そんなももちゃんは、今年の10月17日をもって「20歳」となりました。しかし、ここで留意しなければならないのは、その「20歳」という年齢について。

     猫の「20歳」というのは、人間と同じ「20歳」ではありません。一般的な猫の寿命は、約15年と言われており、猫の「20歳」は人間の「96歳」に相当します。

     つまりももちゃんは、人間で言うなれば「おばあちゃん」猫。今回20歳を迎えるにあたり、飼い主さんである「ももつぁんさん」に、これまでについて伺いました。

    ■ 出会いは偶然

    2000年10月17日。小学校近くの公園でいじめられている、生後1か月くらいの「グレーの毛色の子猫」を見かけて、抱えて連れて帰ったももつぁんさん。

     「最初は、両親に『家で飼えない』って反対されたんですよ」

     そう当時を振り返るももつぁんさん。その時は、何も言えずにその場に立ち尽くしてしまったそうです。

     そんな中で、飼い主さんのお父さんが、「とりあえずお風呂に入れてあげよう」と提案。洗ってみると、グレーだった毛色がたちまち真っ白な子猫に。

     「野良猫でがんばって生きてきたんだな……っていう率直な気持ちになりました」というももつぁんさん。加えて、子猫のあまりにもの愛らしさに、反対していたご両親も翻意。「もも」と名付けられ、ももつぁんさん宅に迎え入れられることとなりました。

    ■ 今まで色々な病とも闘ってきた

     そんなももちゃん、これまで決して平坦な道のりではありませんでした。

     「今から7年前の2013年に、『肥満細胞腫※』を発症したことがはじまりでした」

     それまでは、いたって健康だったというももちゃんでしたが、7年前に発症した肥満細胞腫から、「闘病生活」が始まりました。またこの病気について、当初に適切な治療がなされずに、2年後の2015年に症状が悪化。結果、右耳にも転移してしまったとのことです。

     その後も、歯周病、甲状腺機能亢進症、認知症も続けて発症。今年の2月には歩くことも出来なくなりました。こちらに関しては、下半身の麻痺が残り、マッサージやリハビリを施されたとのこと。現在は、少しだけ歩けるようになったりなかったりの状況だそうです。

     ※『肥満細胞腫』とは、体内の脂肪細胞が腫瘍化し、皮膚や皮下に“できもの”を形成してしまう病気のこと。

    ■ 「20歳」になった日

     「2000年10月17日に保護してから20年間、一緒に生きてきてくれてありがとう。
     こんなに小さな赤ちゃんだった大切な大切なももが20歳…人間でいうと96歳になりました。
     お誕生日おめでとう。
     これからもずっと一緒にいようね。
     もっと長生きしようね。
     愛おしい。大好きだよ。」

     ももつぁんさん宅に迎えられてから、記念すべき20年目のこの日。ももつぁんさんは、日付が変わった瞬間に、ももちゃんに話しかけて「お祝い」を伝えたそう。また、自身のTwitterでも20歳を迎えたことを報告。多くの方に祝福されました。ちなみに、当日のももちゃんはどういう状況だったのかというと……

     「いつもと変わらない様子でした。私の話を静かに聞いて、目をゆっくり優しくつぶって『にゃっ』と返事をしてくれましたね」

     とのこと。誕生日用に用意した、ももちゃん大好物の「とろリッチ」をペロッと平らげたそうです。

     また、寝るときは、「腕枕」が大好きなももちゃんのためにと、ももつぁんさんは「猫用枕」をプレゼント。それを見たももちゃんは速攻で気に入り、眠りについたそう。その際に、ももつぁんさんはとあることをしたところ、ちょっとした「変化」が。

     「そのままももをソファにのせてみたんです。そしたら、この日のももは降りたがる様子もなく、プレゼントの枕を使ってソファの上で眠っていたんですよ」

     実はももちゃんは、先述した通り今年の2月に下半身に麻痺が出て以降、それまで大好きだったソファに登れなくなり、ももつぁんさんがのせてあげても、降りたがるようになりました。それがこの日は、8か月ぶりに「お気に入りの場所」で安心して眠りについたとのこと。この様子を見て、ももつぁんさんはとある想いが芽生えたそうです。

     「『もも』も、歳を重ねて色々なことが出来なくなってきて、私も寂しく感じることが増えました。でもそんな中で、『出来なくなったことが出来ること』も、まだまだあるんだなと嬉しい気持ちになりました」

     今回の取材で、ももつぁんさんが最後に語ってくれましたが、ひょっとしたらももちゃんは、誕生日の日に「私、まだまだがんばれるよ」と教えてくれたのかもしれませんね。

    <記事化協力>
    ももつぁんさん(@JxgC8Fd8osWiXo8)

    (向山純平)

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