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ファーストガンダムで「あるある」な作画を3Dで再現 画像崩壊なガンプラ

 ガンダムシリーズの原点である、ファーストガンダムこと「機動戦士ガンダム」。

 そのドラマ性は40年以上経っても色褪せませんが、作画面ではスケジュール的な都合もあり、作画監督の修正が間に合わない、今でいう「作画崩壊」的になったカットも実は存在します。そんな映像をモチーフにし、「画像崩壊ガンダム」と題したガンプラを作った猛者があらわれました。

  •  デフォルメし過ぎてしまった「ガンダム」の画像をガンプラ化したのは、中光國男さん。ガンプラを自由に面白く、をモットーに作品を作っているモデラーさんです。

     時には3DCGで作画されるようになった近年のロボットアニメではまずないのですが、1970年代末に作られた「機動戦士ガンダム」では、モビルスーツを人間と同じような要領で作画することがありました。その結果、金属でできている各パーツはデフォルメによって自由に変形し、迫力のある画面が生まれたのです。

     このデフォルメ、さじ加減が非常に重要。いき過ぎてしまうとグニャグニャしたものになってしまい、モビルスーツの重厚感が出ません。いわゆる「作画崩壊」状態になってしまうのですが、中光さんはその味わい深さをガンプラに落とし込んだのでした。

    アニメであるあるな「画像崩壊」ガンダム(中光國男さん提供)

     素材になったのは、1980年にリリースされた初代の1/100スケールガンダム。まずは素組みして、改造に備えます。

    素組みの状態(中光國男さん提供)

     初代1/100ガンダムは、ガンプラ第2弾として発売されただけに可動部が多くありません。このため中光さんは股関節部にポリキャップを仕込み、また各部もシェイプアップでカットするなど「すべてのパーツに手を入れました」とのこと。

    各部をカットして手を入れていく(中光國男さん提供)

     さて、ここからがデフォルメ作業の開始です。デフォルメ作画によってグンニャリと曲がった手足、そして胴体Aパーツ部分もパースをつけたフォルムになるよう、パテ盛りして整形。

    パテ盛りして整形(中光國男さん提供)

     パテ盛り後の表面は「途方もない時間をかけて」ヤスリがけしたという中光さん。「大変ですが、実はこの手間をかけている時間が一番楽しんでいるのかもしれません」と語るように、徐々に意図した形になっていくところに充実感を得るのかもしれません。

     仕上げはアニメ作画のように見える2D塗り。イラストタッチというよりは、やはりテレビアニメのように描線を太く、そしてハッキリとした色分けで塗って完成です。

    アニメ風に2D塗り(中光國男さん提供)

     一定の角度だけから見るモデルではなく、ちゃんと可動部もあるのでポージングも楽しめます。初代1/100ガンダムは、諸般の事情でバズーカのグリップ部を手で持てない仕様になっているのですが、そのあたりもちゃんと改修されています。

    初代1/100ガンダムの欠点も修正(中光國男さん提供)

     アイキャッチで見られる湾曲したビームサーベルをはじめ、二次元の立体的表現(デフォルメ)を立体で表現する……という「画像崩壊ガンダム」。一瞬紙のイラストを切り抜いたように見えてしまいますが、もちろん立体ですし、どの角度から見ても平面に見えるので、目がバグってしまいますね。

    三次元的な平面を立体で表現(中光國男さん提供)

     リプライ欄には仕上がりもさることながら、その発想の面白さを評価するコメントが寄せられています。中光さんはこの作品以外にも、リアルな「MS少女」のようにモビルスーツ風衣装を着たキャラクターのフィギュアや、独特の発想に基づくモビルスーツの作例をTwitterに発表しています。ガンプラって、発想次第で自由に楽しめるんですね。

    <記事化協力>
    中光國男さん(@kunionakamitsu)

    (咲村珠樹)

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