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良くないのは「何でも描けます」 ホラー漫画家・洋介犬が自己PRのポイントを解説→他業種からも反応

 「今年(2022年)でデビュー26年目になりますが、専門学校の講師でもないので、これまでに得たノウハウを共有する場がないと思っていたんです。なので、『一兵卒としての雑感』を残したいというのがそもそものきっかけですね」

 そう語るのは、ホラー漫画家の洋介犬さん。自身のTwitterで記した「ネットでのお仕事依頼」についての投稿が、大きな反響となっています。

  • 新人漫画家「ネットでお仕事依頼ってありますか?」
    中堅漫画家「あるよ。pixiv>Twitter>ブログの順であるなぁ。良くないのは『何でも描けます』て書いちゃうこと。作家探す時はピンポイントで『◯◯を描ける人』を探している時が大半だから『何でも描けます』は『得意分野はない』に見えちゃう」

     この日Twitterに、上記のエピソードを紹介した洋介犬さん。新人漫画家が、先輩である中堅漫画家に「『案件』が舞い込んでくるかどうか」について問うたものとなっています。

     新人の質問に対し、中堅漫画家は、自身が発信するツールを例に出しながら、数量別で回答しています。その上で、「何でも描ける」という“万能アピール”ではなく、「○○が描ける」という“自分の強み”を明確に示すことの大切さを伝えています。「何でも描けるは、得意分野がないということ」という一文を添えながら。

     本エピソードには続きがあり、洋介犬さんは、リプライ(返信)で紐づけながら、2回にわたり紹介しています。

    中堅漫画家「ある漫画家は『何でも描けます』やめて『ミリタリー描けます』にして仕事爆増したらしいし、自分のアピールジャンル決めて極めた方が依頼もされやすいよ」

    中堅漫画家「言い忘れてたがTwitterの固定ツイートに絶対自分の漫画載っけとけよ!なにげに超大事だから!!」

     続く投稿の一段落目は、実際に「強み」を記したとある漫画家が、結果として、以前よりも案件を多く獲得したという事例について。「ミリタリー」という、ニッチ性のあるジャンルなのも大きいかもしれませんね。

     そして二段目。洋介犬さん自身で当てはめた場合、2022年2月現在のTwitterの固定ツイートでは、最新作「死神の王とその娘たち(comicブースト)」について紹介しています。

     さて、投稿された内容ですが、これは実話ではなく、洋介犬さんが「新人漫画家と編集」と題して、先日からTwitter上で“集中連載”している小噺の中のひとつ。

     「具体的に誰かを指すと角が立ちますので。あくまで架空の話です。これなら、誰かの名誉を毀損しないメリットもありますしね」

     加えて、「全てのパターンに当てはまる助言でもないので」と洋介犬さんは語っています。

    ■ 他業種の人たちも反応

     しかしながら、「新人漫画家と編集」では、これまでも万単位のいいねが寄せられるエピソードが存在します。

     それは、「漫画の流行」「話のオチ」そして「お仕事依頼」と、「漫画以外にも置き換えることができる」という共通点があります。実際に今回の投稿のリプライ(返信)欄では、様々な職種に置き換えてる方もチラホラ。

     ちなみに今回の中堅漫画家と新人漫画家の話は、ビジネスシーンに置き換えると「ゼネラリスト」と「スペシャリスト」の話にも通じます。

     ゼネラリストというのは、「幅広く知識を有する人」という意になり、「80点主義」など言い換えることもできます。このタイプは、会社組織にいると重宝される傾向にあります。特に経営層にもなると、いずれの分野も一定レベルの知識を有していないといけません。

     一方スペシャリストというのは、読んで字のごとく「専門家」。特定の分野に関しては、絶対的な強みを持っている人たちです。その代わり弱点も存在しますが、収益化できる強みがあれば、結果的にそれで生活できるということ。今回中堅漫画家が、新人漫画家に伝えたのはまさにそれとなります。

     両者には優劣があるわけではなく、ケースバイケースの要素が強くあります。しかしながら、例えば洋介犬さんのように、これまで26年間漫画家生活を送りつつ、Twitterフォロワーが10万人を超えるような発信力のある存在になったのは、何らかの「スペシャル」があったからなのではないでしょうか。

    <記事化協力>
    洋介犬さん(@yohsuken)

    (向山純平)

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