車を運転していると、強引に前へ割り込んでくる車に遭遇することがあります。一歩間違うと事故を誘発するだけでなく、交通トラブルのきっかけになることも。

 こうした事態においては、まず「ムカッとしない」アンガーマネジメントが重要です。そんな場面をエッセイ漫画にしたのは、漫画家のきよまろさん。自分なりの対処法をTwitterで公開しています。

 小学4年生になる娘さんを助手席に乗せて運転中、目の前を横切るように割り込んでくる車が。「おっと危なッ」と、きよまろさんはスピードを調節して衝突を回避しました。

急に目の前へ割り込んでくる車(きよまろさん提供)

 その様子を見ながら、娘さんは「お母さんって割り込まれても怒らないよね」と冷静さを保つきよまろさんを評します。きよまろさんは怒ったところで相手が変わる訳じゃない、と達観した様子。

怒っても相手が変わる訳じゃない(きよまろさん提供)

 しかしイラッとしないのか、娘さんはさらに問います。きよまろさんは「お母さんはこういう時『あいつ……漏れそうなんだな』って思うようにしている」と、相手のドライバーがのっぴきならない緊急事態に陥っていることにして、怒りの気持ちを緩和するようにしているのだとか。

 お母さんはあの人のパンツと心を守ってあげた……と納得する(?)娘さん。車同士の場合、相手のドライバーの様子を見ることは難しいので、ある意味スマートなアンガーマネジメントだといえるでしょう。

お母さんは相手のパンツと心を守った(きよまろさん提供)

 この漫画について、きよまろさんは「住まいは田舎ですので移動の足は自家用車です。学童や習い事への送迎のたびに助手席に座る娘が、交通ルールが分かってくるにつれ、色々運転中に疑問を投げかけてくるようになりました」と、日常の一風景であることを語ってくれました。

漫画の全編(きよまろさん提供)

 無理に割り込んできたり、強引に抜こうとする車は、運転していればそれなりに遭遇するもの。娘さんから見れば理不尽に感じ、イライラしているのが分かった、といいます。

 きよまろさんが心がけているのは「運転は一瞬の判断で大きな事故や取り返しのつかない事態を引き起こす可能性がある」ということ。このため「どんなにイライラしたところで相手の素行が良くなる訳でも現状が変わる訳でもありませんので、これは怒り損なのです。他人の運転に精神を乱されず、平常心がキープできるように発想の転換を図っています」と話します。

 もちろん、単純に相手の素行が悪い場合が多いだろうことは承知しています。その上で「誰もが経験したことのある『お漏らし寸前』ととらえて、怒りを笑いや同情に変換してアンガーマネジメント」しているのだとか。

 娘さんに対しては、運転に限らず「感情で怒って良い結果につながることは少ない」と普段から諭しているのだそう。ストレス過多な世の中、溜め込まない意味でも発想の転換を図り、気分の切り替えを柔軟にできるようになってほしいと思い、接しているそうです。

 感情は主観であり、特に怒りは激しい心の動きだけに視野が狭くなって、思い込みも強くなりがちです。それに流されることなく、いったん立ち止まって状況を多面的に見られるようであれば、より心の余裕も広く大きくなることでしょう。

 昨今話題になることも多い「あおり運転」も、主観同士のぶつかり合いから感情が激してしまうのがきっかけの1つ。人間は感情の生き物なので怒りを覚えることもありますが、上手にマネジメントして自己の感情と付き合っていきたいものですね。

<記事化協力>
きよまろさん(@sobomiyako98)

(咲村珠樹)