プラモデルやフィギュア塗装の手法のひとつである「イラスト風塗装」。三次元の立体物でありながら、まるで平面の二次元のように見える塗装によって生み出された作品は、何度見ても驚かされます。

 そんなイラスト風塗装の技術を用いて、機動戦士ガンダムに登場する「ガンキャノン」を見事に「二次元化」してみせたのは、ツイッターユーザーのCodyさん。筆塗りによる色づかいは、まるで大河原邦男氏の設定画からそのまま飛び出してきたかのようです。

 Codyさんは、さまざまなプラモデルコンテストで受賞歴を誇るモデラーで、コンテストや展示会への出展のほか、SNSでも作品を発表するなど精力的に活動を行っています。

 今回のガンキャノン制作に使用したキットは「ベストメカコレクション」いわゆる「旧キット」のもの。Codyさんは自らを「旧キット愛好家」と称するほど、古いキットに愛着を持っており、YouTubeで公開している作品も全て旧キットを使用しています。

旧キットを使用したガンダム

 「旧キットと呼ばれる古いキットはダサくて出来が悪いという風に思われがちですが、実は設定画から巧みに形を拾って設計されているので、設定画に雰囲気を近づけることは案外簡単なんですよ。違う意味で最新のキットに引けを取らないほどに出来が良いのです」

 旧キットへの印象をこのように語ったCodyさん。製作工程を見るとたしかに、一部ディテールの修正は行われているものの、一方で旧キットの形状がそのまま活用されている部分も。直立のポーズはまさしく「あの頃」を思い出すプロポーションです。

プロポーションの改修

 制作の中で特にこだわったのは、往年の設定画の雰囲気に近づける改修と塗装を行ったところ。腕や足回りのパーツにプラ材を挟み込むことで幅増しを行い、陰影を表現するために、複数の絵具を塗り重ねるなど、あらゆる箇所にCodyさんの制作技術が詰め込まれています。

腕を塗装している様子

 完成した作品は、まさに設定画とうり二つ。「憧れの大河原設定画ガンキャノンを再現できたのではないかと思っています」と、Codyさん自身も納得の完成度となったようです。

まるで設定画からそのまま飛び出したかのような出来栄え

 「数値では表せない形状を、職人の絶妙な感性と高度な手作業で作り上げられた一つの芸術品といったところでしょうか」

 旧キットの魅力についてこのように語ったCodyさん。最新のキットも良いですが、旧キットには旧キットの良さがある。これからも作品の制作を通して、旧キットの魅力を発信し続けてくれることでしょう。

 なお、詳しい製作の様子は、CodyさんのYouTubeチャンネル「コーディのプラモch」にて公開されています。ガンキャノンだけでなく、旧キットのガンダムやガンタンクといった、ほかの作品の作例も紹介されていますよ。

<記事化協力>
Cody 【コーディ】YouTubeはじめてみました。さん(@JkGLFKFkxFi9TtG)

(山口弘剛)