おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

リアルだけどどこか可愛い 羊毛フェルトのカエルたち

 ふわふわした羊毛を針で刺し固めて作る羊毛フェルト。素材の特徴から、毛皮のある動物(哺乳類)や羽毛に覆われた鳥を作るケースが多いのですが、それ以外をモチーフにする作家さんもいます。

 羊毛フェルト作家のかわもと こうさんは両生類、特に様々なカエルをモチーフにした作品を作っています。その作品について、話をうかがいました。

  •  羊毛フェルトを始めて10年ほどになるという、かわもとさん。カエルをモチーフに作るようになったのは、羊毛フェルトで表現が難しいという技術的な挑戦もあったそうですが、このような理由も明かしてくれました。

     「もう1つは、好みが分かれる生き物かなと思ったからです。多くの人に受け入れられるものより、心からいいなと思ってくれる人が少しいればいいかな、と」

    アメフクラガエル(かわもと こうさん提供)

     たとえ少なくても、作品を心から愛してくれる人がいれば、というところは、クリエーターにとってモチベーションに繋がる部分かもしれませんね。心から愛してくれる人は、モチーフに深い愛情を注いでいる人でもあり、作品作りで気は抜けません。

     「作る上で気を付けているのは、時間が経っても、ある程度の衝撃を受けても、形が変わらないように、固く刺すこと。もう1つは、梱包用品なども含め、環境に配慮した素材を使用すること。あとは、作る生き物の習性や、体の構造をある程度調べてから作ることですね」

     長く手元で愛してもらえるよう丈夫な作品にするだけでなく、モチーフに関する情報を頭に入れて作ることでポージングもより自然なものに。また、生き物をテーマにしているだけに、環境に負荷をかけないよう梱包材にまで配慮している点にも頭が下がります。

     作品は多くの場合、手のひらサイズで可愛らしさあふれるもの。小さくても、カラフルな体色や模様はそれぞれ染色した羊毛を刺し込んで表現しており、既存の色にない体色の場合は複数の色を混ぜながら中間色を表現しているといいます。

     緻密に刺していくため、集中力が要求される作品作り。根を詰めすぎると良くないため、時々手を休めながら4cm〜5cmのもので早くて2日〜3日、手からはみ出るくらいの大きさの場合は長くて1か月近くかかる場合もあるのだとか。

     お気に入りの作品をうかがうと、周囲の環境に合わせて緑から薄いチャコールグレイに体色を変えたアマガエルを挙げてくれました。ほぼ原寸大で、細い指まで丁寧に作られています。

    羊毛フェルトでできたほぼ原寸大のアマガエル(かわもと こうさん提供)

     「体の色を含め、顔の形も上手く出来た気がします。現時点でですが、作るのが一番難しいのがアマガエルじゃないかと感じています」

    お気に入りというアマガエル(かわもと こうさん提供)

     また、モチーフではヒキガエルが好きだそうで、定期的に作りたくなってしまうのだとか。のそりと動きだしたポージング、プックリしながらもどこかゆるさを感じさせるお腹や、目の後ろの盛り上がりなど、好きだからこそ分かる絶妙な質感がたまりませんね。

    ヒキガエルを様々な角度で(かわもと こうさん提供)

     かわもとさんはオーダーで作品を作ることもあります。オーダーされる方はご自身で飼っている生き物を所望される場合が多いそうで、モチーフに対する思い入れが強いため、注文時や制作途中、完成後など、コミュニケーションを密にするよう心がけていると話してくれました。

    クランウェルツノガエルとベルツノガエル(かわもと こうさん提供)

     色々な作品を作っているかわもとさんですが、珍しい生き物を作るよりは、私たちの身近にいる生き物に目を向けたい、と語ります。

     「流行や刺激に振り回され過ぎないように、生活の中にある植物や生き物に目を向けて、今後の作品に繋げたいなと思います」

     かわもとさんの羊毛フェルト作品は、minne(@kawamotokou)で販売されています。両生類だけでなく、様々なオーダー作品も受け付けているので、興味を持った方はTwitterにて声をかけてほしいとのことです。

    <記事化協力>
    かわもと こうさん(@kawamotokou)

    (咲村珠樹)

    あわせて読みたい関連記事
  • 100均グッズの間違った使い方?何の変哲もないスポンジがチェインメイルに!
    インターネット, おもしろ

    100均グッズの間違った使い方?何の変哲もないスポンジがチェインメイルに!

  • 画像提供:こるはさん(@kasuga_maru)
    インターネット, おもしろ

    大トロやウニが盛り付けられた豪華海鮮丼にゴクリ!粘土だと分かっていても食べたい!…

  • 画像提供:某さん(@chobimario)
    インターネット, おもしろ

    「さわやかのハンバーグ」や「麻雀牌全種」を編み物で再現!?編み物歴30年のユニー…

  • 画像提供:元自 防具屋こに丸さん(@k520520520)
    インターネット, おもしろ

    大切な人に手編みのマフラーはいかが?ゴツゴツの鎖のマフラーに多くの人が熱視線

  • 南村さんが作った「メリケンサックのぬいぐるみ」
    インターネット, おもしろ

    ボコボコではなくふわふわに ぬいぐるみのメリケンサックで殴られたい?

  • 画像提供:yuia glassさん(@yuia800)
    インターネット, びっくり・驚き

    宝石研磨職人の技術に驚き!ガラスが宝石のように生まれ変わった

  • 羊毛フェルトで北斗の拳「ハート様」を制作 アタタかみのあるボディに感動
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    羊毛フェルトで北斗の拳「ハート様」を制作 アタタかみのあるボディに感動

  • 画像提供:wire art-f.k-さん(@wireartfk1)
    インターネット, おもしろ

    美しい音色が聞こえてきそう!針金だけで楽器を表現するワイヤーアート作家

  • 画像提供:cokeco公式Xアカウント(@cokecoleather)
    インターネット, おもしろ

    引っ張りダコになりそうな予感! タコ狂絶賛「タコタコしいタコバッグ」完成

  • 「推しがいなくても推し活は可能」常識を覆す斬新発想に驚嘆
    インターネット, おもしろ

    「推しがいなくても推し活は可能」常識を覆す斬新発想に驚嘆

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 欧州連合の旗(写真ACより)
    インターネット, 社会・物議

    EU、ネット上での児童性被害対策を強化 日本企業にも影響広がる可能性

  • ホロアースNPCに「事件に関係した実在人物想起」と指摘 運営が謝罪し削除対応
    ゲーム, ニュース・話題

    ホロアースNPCに「事件に関係した実在人物想起」と指摘 運営が謝罪し削除対応

  • ロッテ「雪見だいふく」が立体パズル化 メガハウスが11月下旬に新商品
    商品・物販, 経済

    ロッテ「雪見だいふく」が立体パズル化 メガハウスが11月下旬に新商品

  • 100tハンマー
    アニメ/マンガ, イベント・キャンペーン

    伝説のコンビを追体験 40周年「シティーハンター大原画展」上野で12月28日まで…

  • 韓国発の人気激辛「ブルダック」がじゃがりこに 1年4か月かけた再現度に注目
    商品・物販, 経済

    韓国発の人気激辛「ブルダック」がじゃがりこに 1年4か月かけた再現度に注目

  • 鈴木福×あの W 主演、「惡の華」が2026年4月にドラマ化 ディズニープラスで独占配信
    アニメ/マンガ, 放送・配信

    鈴木福×あの W 主演、「惡の華」が2026年4月にドラマ化 ディズニープラスで…

  • トピックス

    1. 善意の通報が“誤報”に変わるAI時代 女川町のクマ騒動が示した危険性

      善意の通報が“誤報”に変わるAI時代 女川町のクマ騒動が示した危険性

      宮城県女川町が11月26日、公式Xで発信した「クマ出没情報」が、後に「生成AIによるフェイク画像」に…
    2. 派手なピンクに「マヂでアゲ」……道端に突如現れた「ギャルすぎる工事看板」が話題

      派手なピンクに「マヂでアゲ」……道端に突如現れた「ギャルすぎる工事看板」が話題

      「とても茨城県」というつぶやきとともに、Xに投稿された一枚の写真。そこには、一般的な工事現場のイメー…
    3. この涙は懐かしさ……なのか? 展示「あの職員室」で特大感情を揺さぶられたレポート

      この涙は懐かしさ……なのか? 展示「あの職員室」で特大感情を揺さぶられたレポート

      学生時代、入りたくても入れない「聖域」のような場所だった職員室。その風景を再現し、自由に探索できる展…

    編集部おすすめ

    1. ホロアースNPCに「事件に関係した実在人物想起」と指摘 運営が謝罪し削除対応

      ホロアースNPCに「事件に関係した実在人物想起」と指摘 運営が謝罪し削除対応

      バーチャルタレント事務所「ホロライブプロダクション」を展開するカバー株式会社は公式Xにて11月25日、同社のバーチャル空間プロジェクト「ホロ…
    2. エビの代わりに「パイの実」投入!ロッテ公式が送るエビチリアレンジに目を疑う

      エビの代わりに「パイの実」投入!ロッテ公式が送るエビチリアレンジに目を疑う

      ロッテは自社商品の各ブランドサイトで、アレンジレシピを公開しています。その中に「パイの実」をエビチリソースと卵で炒め合わせた「チリ玉パイの実…
    3. 100tハンマー

      伝説のコンビを追体験 40周年「シティーハンター大原画展」上野で12月28日まで開催

      「シティーハンター」連載開始40周年を記念した原画展「シティーハンター大原画展~FOREVER, CITY HUNTER!!~」が、11月2…
    4. 宝塚・宙組特別メニューから“酢”消える 「酢が退団?」とSNSざわつく

      宝塚・宙組特別メニューから“酢”消える 「酢が退団?」とSNSざわつく

      11月22日午前、X(旧Twitter)のトレンドに「宙組公演特別メニュー」が一時浮上し、ファンの間で大きな話題となりました。きっかけとなっ…
    5. ミラノで開催「IQOS Curious X Sensorium Worlds」現地取材 五感に響いたIQOSの“世界観”

      ミラノで開催IQOS X SELETTI「Sensorium Worlds」現地取材 五感に響いたIQOSの“世界観”

      フィリップ モリスが、イタリアでイベント「Sensorium Worlds」を開催。今回は、この壮大なイベントの模様とともに「IQOS To…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト