現在開催中のFIFAワールドカップ カタール大会。先日も日本が強豪スペインから大金星をあげ、グループリーグを首位で突破。早朝4時のキックオフながら、SNSには「早起きして見た」「昨日からずっと起きてる」といったコメントが相次ぎ、日本中のサポーターたちが固唾を飲んで見守りました。

 その一方で、SNSには「応援はしているが、敢えて見なかった」という選択を取った方も一定数いた模様。はて、これは一体……?

 もう少し掘り下げてみると、これはどうやら「私が見るといつも負けちゃうから見ない」という、いわゆるジンクスを意識しての行動である模様。ゲンを担いで「敢えて観戦しない」という新たなスポーツの応援スタイルが確立されつつあるようです。

 「サッカー 見ると負ける」といったキーワードで検索を行うと「ワイが試合見たら負けるから、次も見るの我慢するわ」「ドイツに勝ったからコスタリカ見たら負けるし……スペインも見なかったら勝ってるし」と、いった声が続々。もしかするとこの記事を読んでいる方にも「共感できる」という方がいるのではないでしょうか。

 こうした声はもちろんサッカーに限らず。オリンピック時期等における他のスポーツでも度々見られ、おそらく過去に「とても気のせいとは思えないような敗戦を何度も目の当たりにした」という経験則から導き出された答えなのでしょう。

 もちろん、実際にこうした選択をしたことによる勝敗への影響は、科学的な根拠はありません。……と、分かってはいるものの「もしも自分が観戦して負けてしまったら……」と自責の念を負ってしまうことを思うと、なかなか踏み出せない気持ちは良く分かります。ですから、観戦してもしなくても、それは個人の自由ですし、「観戦しなかった=応援していない」ということではないのです。

 特殊な事情がない以上、自国の勝利を望まない人は少ないでしょうし、心の片隅にでも「勝ったらいいね」という気持ちがあれば十分。みんなブラボーです。こうした思いの集合が「新しい景色」への扉を開く最後の一押しになるのかもしれません。もちろんこれも根拠のないジンクスですけどね。

 日本サッカー史上初の、ワールドカップベスト8進出を懸けた、対クロアチア戦は、12月5日24時キックオフ。観戦しても良し、もちろんしなくて良し。各々の信念を胸に、後悔のない応援スタイルで気持ちをひとつにしましょう。がんばれニッポン!

(山口弘剛)