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障害のある猫が受け入れられる社会に 全盲猫との暮らしを発信する飼い主さんに話を聞いてみた

 生まれつきであったり、あるいは事故などで目が見えなくなることもある視覚障害。これはもちろん猫ちゃんにおいても起こり得ることですが、ツイッターで大きな注目を集めているのは全盲の猫、光(ひかり)ちゃんです。

 動画では、主に前足の感覚を頼りに、するすると器用にキャットタワーを降りる様子が見られますが、目が見えていないというハンデを一切感じさせないほどにスムーズで、あっという間に床に降りて見せました。

  •  今でこそ、飼い主さん宅で元気な姿を見せている光ちゃんですが、元々は生後1か月ごろに非営利の保護猫活動団体「ちーむ にゃいんず」によって保護された子猫でした。

     保護時には酷い猫風邪による網膜剥離を患っており、すでに視力は失われた状態。なんとか一命はとりとめ、風邪症状は回復したものの、全盲という障害を持っているからか、その後なかなか譲渡会等で里親が決まらず。同団体でミルクボランティアをしていた飼い主さんが、家族として迎えることを決めたのだそう。

     当時飼い主さんはすでに2匹の保護猫と生活をしていましたが、全盲猫を育てるのは初めてのこと。大変な苦労があると覚悟していましたが……どうやらそんな心配は杞憂だったようで。

    くつろぐ光ちゃん

     光ちゃんはすぐに家の中のレイアウトを覚えるなど、あっという間に環境に適応したそうです。人間においても、障害がある場合は他の感覚が発達する、と言いますが、きっと光ちゃんも聴覚や嗅覚、触覚をフル活用しているのでしょう。

     また、他の猫ちゃんとの関係も良好で、仲良くじゃれ合い、お互いを共に暮らす仲間として認めているとのこと。動画にもあるように、キャットタワーを登ったり、おもちゃやボールを追いかけたりなど、動きはややゆっくりであるものの、健常猫と何ら変わりのない生活を送っているそうです。

    共に暮らす猫ちゃんとの関係も良好です

     「全盲だからって敬遠せず、家族に迎えてあげてほしい」という思いから、光ちゃんとの生活を発信している飼い主さん。目の見えない猫のお迎えを検討している方に対し、「床に危険物を出しっぱなしにしない」「家具の配置をなるべく変えない」などさまざまなアドバイスを送っていますが、特に重要なのは「すぐに手を貸さない」ことなのだとか。

     「自分が居ない時でも安心してお留守番が出来るよう、全盲猫がやりたいことをじっと見守る」「どうしても出来ない時は何らかのサイン(光は小さな声で心細く鳴きます)があるので、それまで手を貸さず出来るのを待ち、出来たら思い切り褒めてあげる」と、全盲猫と暮らす際に大切な心構えを教えてくれた飼い主さん。こうした方向性が正しいからこそ、光ちゃんも自立し、のびのびとした生活が送れているのでしょう。

    全盲の猫が受け入れられやすい社会へ

     障害のある猫と共に。今はまだ敬遠されがちで、なかなか譲渡先が決まらないという現実がありますが、こうした発信をきっかけに目の見えない猫ちゃんへの理解が進み、今後もっと当たり前に感じられる社会になって欲しいと、切に願うばかりです。

    <記事化協力>
    easy_going_mywayさん(@zs41wz3PHyRO0zf)

    (山口弘剛)

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  • 山口 弘剛‌Writer

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    鹿児島出身・鹿児島在住。私生活では妻と共に2人の子どもを子育てしながら、地元のサッカークラブを熱烈応援中。仕事は元アパレル店長、元ゲームショップ店長を経験。現在はライター、イラストレーターとして活動。

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