7月30日午前8時24分、ロシア・カムチャツカ半島で発生した地震はM8.8を記録。日本にも海岸沿い中心に津波が押し寄せ、警戒および避難が呼びかけられるなど、決して小さくない影響をもたらしました。
こうした事態を受け、今一度防災への意識が高まる中、元陸上自衛隊員として活動し、現在はVtuberとしても発信を行うシナモンさんが、Xにて「防災リュックの詰め方・背負い方」を解説した漫画を投稿し、大きな反響を呼んでいます。
■ バックパックの運搬術 背負いやすさを考えた荷物の配置
計2ページの漫画では、まずリュックに荷物を詰める際の基本として、「軽い物は下に、背中側に平らな物を配置する」ことが紹介されています。こうすることで、背負ったときの負担を軽減でき、非常時に走ったり移動したりする際も安定しやすくなるそうです。
加えて、シナモンさんは「重いものは軽いものの上に置いて、なるべく背中側(リュックの内側)にまとめてください。リュックの外側に重いものがあると、重心が外に向いて走って逃げる時などに不安定になります」と補足しています。
筆者もプライベートではよくリュックを背負っていますが、これは目からウロコの知識。日常でも使える運搬テクニックですから、日ごろから意識して実践しておくと、いざという時により役立てられることでしょう。
■ 服や小物の収納や、重くて持ち上げにくいときの工夫も解説
2ページ目では、生活必需品や衣類の持ち運びについて解説。小物類はジッパー付き収納袋に入れると整理が楽になり、さらにまとめてゴミ袋ごとリュックに入れれば、防水機能の向上も期待できます。特に衣類はジッパー付き収納袋に1日分ずつ分け、しっかり空気を抜いて収納するのがおすすめとのこと。
続けて、重いリュックを持ち上げるときのコツも紹介。寝転んだ状態で肩紐に腕を通し、転がるようにして背負う方法が描かれています。また、肩紐をしっかり締めて体に密着させ、腰ベルト付きのリュックを使用すると、より快適に背負えるとのことでした。
いすれも特別なテクニックは必要なく、覚えていればすぐにでも真似できるようなものばかり。逆を言えば、知らなければ思いつかないようなテクニックなので、やはり知識を付けておくことが重要と言えそうです。
■ 食品は普段から食べ慣れているものを 好きなお菓子はメンタルケアにも
その他何かアドバイスがないかうかがうと、防災リュックには普段から食べ慣れているレトルトやインスタント食品、サプリメントを入れ、消費したら補充する「ローリングストック方式」がおすすめとのこと。食べなれない長期保存食はストレスの多い避難時には喉を通らないことが多いのだそうです。言われてみれば確かに……。
また、「好きなお菓子を入れておくことで、避難生活でのメンタルケアにも役立つ」「もしも水の賞味期限が切れていても、未開封であれば品質に問題はなく安全に飲める」「リュックだけではなく、すぐ履ける場所にしっかりとしたスニーカーを用意しておく」ことを教えてくれました。
■ 自衛隊は防災のプロではない 元自衛官を名乗って防災を教える人に注意
今回の漫画は、昨年の能登地震時に描いたものをリライトしたもの。シナモンさんは「カムチャツカの地震で私自身が不安になってしまったので、何かできることはないかと考えた時に、防災準備の呼びかけをしようと思いました」と語ります。
自衛隊では「行軍」という背嚢(大型リュック)に数日分の食料や水、日数分の服や装備品などを入れたものを背負って40キロほど歩く訓練があります。その中で、シナモンさんが教わったことや、実践を通して得た知識を、漫画にして解説したものが今回の投稿です。
一方で「シナモンは防災のプロではありません。あくまで自衛隊で教わった『軽く背負えるリュックの作り方』や、山で痛感した『非常食との付き合い方』が役に立ちそうなので広めたくて描きました」と説明。
自衛隊は防災や災害派遣の組織ではないとしたうえで、「元自衛官を名乗って防災を教えるなどと言う人はやや怪しいので気をつけてください」と、災害時に起きがちな特殊詐欺等への注意を促しました。
■ いざという時のために日頃からの準備が大事
非常時は、準備の差が生死を分けることもあります。今回紹介された漫画は、視覚的にもわかりやすく、すぐに実践できる内容ばかり。普段からしっかりと防災リュックを用意しているという方も、今一度見直しを行う良い機会かもしれません。いざという時のために、日頃からの準備を大切にしましょう。
【リライト版】元陸上自衛官的防災リュックの作り方 pic.twitter.com/5V6u2yRBzG
— シナモン@元陸上自衛隊エースVtuber! (@CNMNSN) July 30, 2025
<記事化協力>
シナモン@元陸上自衛隊エースVtuber!さん(@CNMNSN)
(山口弘剛)