ネットを眺めていると、時折見かける「もうやめて!◯◯のライフはゼロよ!!!」という言葉。

 例えばスポーツの試合で一方的な展開になってしまったなど、ほぼ決着がついたにも関わらず、その後も攻撃の手を緩める様子がない時に用いられるのが一般的ですが、このセリフに元ネタがあることをご存知でしょうか?

■ 元ネタはアニメ「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ」のワンシーン

 そう、これは2003年7月1日放送、テレビアニメ「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ」の第162話「ティマイオス発動せず」において、闇遊戯とインセクター羽蛾の対戦中、ヒロインの「真崎杏子」が発したセリフ。

 羽蛾の姑息な戦法に対して、激怒した闇遊戯は「速攻魔法発動!狂戦士の魂(バーサーカー・ソウル)!」のセリフと共に連続攻撃を繰り出します。見事羽蛾を撃破しますが、それでもなお遊戯の怒りは到底収まらず。杏子に止められるまでずっと羽蛾への直接攻撃を続けたというシーンが元ネタ。

 そのとき杏子が発した言葉が「もうやめて!」「とっくに羽蛾のライフは0よ!」。

 主人公らしからぬ遊戯の言動に加え、声優を務めた「風間俊介」さんの熱演も込みで、視聴者に衝撃を与えた伝説の回として、今もアニメファンの間で語り継がれているのです。

■ 流行のきっかけは動画投稿サイト

 言葉やシーン自体がインパクト絶大であることは間違いありませんが、このセリフが広まったのは「ニコニコ動画」に、いわゆる「MAD動画」が投稿されたことが大きな要因のひとつ。

 放送から4年近くが経過した2007年ごろ、このシーンを元ネタにした動画が多数投稿され、ネット民の間で瞬く間に拡散していきました。

 冒頭の通り、日常における様々なシーンでこのセリフが活用しやすいことも、広まった理由のひとつでしょう。当時のインターネット掲示板のスポーツ実況板等では、この表現をアレンジした投稿が頻繁に見られました。

 今はさすがに全盛期ほどの頻度では使われなくなったものの、ネットスラングとしてはまだまだ有名な言葉なので、知らなかったという方はぜひ当時の放送回を見てみてください。容赦なく攻撃を続ける遊戯の狂気ぶりに、きっと驚くことでしょう。

 そして、今年2023年7月1日で、放送から丸20年という節目を迎えます。当時リアルタイムで視聴していた小学生世代がもう30代前後になっていると思うと……時の流れの速さを実感するセリフとも言えるかもしれませんね。

<参考>
遊☆戯☆王デュエルモンスターズ公式サイト 第162話 「ティマイオス発動せず」 2003年7月1日放送
ニコニコ大百科「もうやめて!とっくに○○のライフはゼロよ!

(山口弘剛)