素早くメモしたいときなどに便利な漢字の「略字」。「門」を「内」の字の人の部分を縦棒に変えた形で書いたり、「言」をひらがなの「え」を縦長にしたような形で書いたりしたことがある人も多いでしょう。
しかし略字にはこの2つ以外にもまだまだ種類があるようで……。
■ 略字収集家のXユーザーが公開した「よく使う略字45選」
Webサイト「略字データベースまとめwiki」の更新情報を呟くXアカウント「りゃくじデータベース」の管理人がこのほど公開したのは、自身がよく使うという略字をまとめた画像。カッコの外に略字、カッコの中に元の漢字を書くという形で紹介しました。
※画像内の左から1列目の2行目は「示」と「礻」が逆になっています。正しくは「示」が略字、「礻」が元の漢字です。
集められた略字は「門」「言」のほか、「魔」「機」「傘」など45種類。片手で数えるほどしか知らなかった筆者は「こ、こんなにあるんだ……」と衝撃でした。
「機」の略字は「幾」をカタカナの「キ」にして表現したり、傘の略字は内側を「十」にして表現したりと、これぞ略字!と言わんばかりの省略がとても気持ちいい&興味深いです。
管理人によればどこまでを略字にするかは意見が分かれるところで、「先」「生」の1画目と2画目をつなげて書く、「こざとへん」を数字の「3」のように書くなど「ちょっと崩したり繋げて書いた字」については略字とみなさない人もいるとのこと。
また略字を使っている・使っていた人の中には、基本的な略字を念頭に置きつつも、独自に進化させている人も多いのではないでしょうか。
実際筆者も「言」という字を省略するときはひらがなの「え」というより、アルファベットの「i」に近い形で書いていました。これは学生時代に教わっていた先生がそういう風に書いていたのを真似したものだと記憶しています。
シンプルに見えて意外と奥が深い略字の世界。「りゃくじデータベース」の管理人に詳しく話をうかがいました。
■ 2011年ごろから収集開始!略字の魅力は筆画を省略できることだけではない?
−− 略字に興味を持ったきっかけについてお聞かせください
略字に興味を持ったきっかけは、書籍「宮崎駿の雑想ノート」で見慣れない漢字を見つけた事だったと思います。
略字という概念は知らなかったのですが、門構えの省略や魔の略字(广にマ)は見ていたはずなので、「なんか簡単に書いてる字があるな」と思っていたように思います。
その後、経緯は忘れましたが偶然に略字という概念を知り、色々調べていくうちにハマっていきました。
−− 収集はいつごろから、どのような経緯で始めたのでしょうか?
いつ頃からかは忘れてしまったのですが、2011年には収集していたようです。ハマった後、知識欲を満たすために行っていたように思います。
−− 10年以上収集されているのですね!略字は普段、どのような場面で使うのでしょうか?
だいたいはメモ用で、人に見せるときには、省略が激しくてわかりにくいかもと思った略字は使わないようにしていますが、ブレがあります。
−− 特に気に入っている・好きだなと思う略字はありますか?
魚の略字(灬が大になっている)と魔(广にマ)です。この2つはアイコンに使ったりしてます。あと門構えの省略は漫画の書き文字などで割と目にするのもあって馴染みが特にあり、好きです。
−− 管理人さんの思う略字の魅力・よいところについてお聞かせください。
筆画の省略をしつつ、漢字で書けるところだと思います。あとこれはX(旧Twitter)で収集を始めてから感じた事ですが、略字が使われている看板などは古いものが多く、レトロな感じがするのも良いなと思っています。
−− レトロな雰囲気……なんだか分かる気がします。久しぶりに手で文字を書いてみたくなりました。
よく使うやつ pic.twitter.com/FYMzVSqznI
— りゃくじデータベース (@ryakjiten) June 22, 2025
<記事化協力>
「りゃくじデータベース」さん(@ryakjiten)
(ヨシクラミク)