ファストフードにおけるポテトやドリンクのサイズアップ、または牛丼やラーメンの大盛りなどを頼むと、その分値段が高くなるのは周知のとおりですが、先日SNSにてこんな投稿を発見。

 「洋服ってなんでSもLも同じ値段なの?」

 言われてみれば確かに。サイズが大きくなれば使う生地も増えるわけですから、普通に考えればその分高くなりそうなものですよね。今回はこのギモンをアパレル勤務歴13年の筆者が解説します。

■ アパレルにおける布地の量の差は大きなコストではない

 結論から言うと、その答えは「アパレルにおける布地の量の差は大きなコストではない」からです。どちらかと言えば、生地自体の値段(原価)、製造から販売にかかる人件費や輸送費、ブランドの付加価値としての割合が高く、これにより商品としての価格が決まることがほとんどです。

 また、カットして余った布地は多くの場合、他に使いまわすことが出来ないことや、管理面が煩雑になってしまうことなど、トータルで考えれば、価格は均一にしてしまった方が都合がよいのです。

 ちなみに服のサイズ別の販売比率は、もちろんモノにもよりますが、多くの場合MとLで全体の6割から程度を占めます。そのため、MもしくはLの製造コストで価格が決定されることが多く、同じ価格であれば大きいサイズを購入したほうが得であると言えます。まあ、わずかな差ではありますが。

■ ただし女性用ブラや生産ロット数による例外も

 ただし、一部例外があり、そのひとつは女性用のブラ。カップが大きくなるとその分価格が上がることがありますが、これは使う生地が増えるから、という理由とは別に、バストを支える力や引き上げる力を強くするために、使うパーツを変えなければならないから、という場合もあります。

 下着ともなるとやはり肌に直接触れるものですから、その分繊細な調整が必要になってきます。フィット感やシルエットを追求することにより、価格差を付けざるを得ない状況が発生してしまうのです。

 また、生産ロット数が少ないため、割高になってしまうというパターンも。一部で見られる、サイズが大きい服が少し高かったり、明らかに布地が少ないのに子ども服も値段が変わらなかったりするのはこうした理由から。さまざまな背景があって、服の価格は決められているんです。

<参考>
ワコール「よくあるご質問(Q&A)

(山口弘剛)