株式会社バンダイ ベンダー事業部(東京都台東区)は8月7日、「ガシャポン」シリーズ史上最大サイズとなる「90mmカプセル」を今月上旬より展開すると発表。
従来のカプセルと比較して直径が11mm大きくなり、容量も約150%アップします。東京・三田の「バンダイナムコ未来研究所」で行われた発表会を取材しました。
■ 史上最大、90mmサイズのカプセル登場 “特大サイズ商品”ラインアップ続々
冒頭、株式会社バンダイ執行役員・ベンダー事業部ゼネラルマネージャーの滝口雄介さんが登壇。
ブランド誕生から47年目を迎える「ガシャポン」の歴史を振り返りながら、同ブランドの新たな取り組みについて紹介します。
今回発表の「90mmカプセル」は、これまでの最大であった79mmサイズと比較して約150%の容量を持ち、従来のカプセルトイの常識を超える特大サイズの商品を提供可能とのこと。
90mmというサイズは、従来の自販機に収まる範囲で最大のサイズを目指した結果、たどり着いたものだそう。さらに新型自販機として、48mmから今回の90mmまでのサイズを1台で提供できる「ガシャポンステーションII」もリリースされます。
「90mmカプセル」第1弾となるのは、8月2週から発売予定の『星のカービィ ぷにぷにし隊』(1回税込400円・全4種類)と、『いきもの大図鑑アドバンス ゾウカブトとヘラクレスオオカブト』(1回税込1500円・全4種類)。
続いて9月には、『ポケットモンスター 組立可動!コライドン・ミライドン』(1回税込800円・全2種類)、『ちょっとおおきなおばけさんおおきなソフビこれくしょん!』(1回税込400円・全4種類)が発売予定です。
さらに10月には、『機動戦士ガンダム MS メカニカルバスト DX ユニコーンガンダム』(1回税込800円・全3種類)、『おジャ魔女どれみ カプセルポロンケースコレクション』(1回税込600円・全4種類)、11月には『Disney ディスプレイフィギュア』(1回税込1000円・全3種類)が発売予定。豪華なラインアップが目白押しです。
■ U-12部門新設の「ガシャポンドリームコンテスト」今年は斎藤工がゲスト審査員
さらに滝口さんは、「ガシャポン」を盛り上げるさまざまな取り組みを続々紹介。その範囲はサスティナビリティから、企業コラボ、アイデアコンテストまで多岐にわたります。
【エコ素材を利用した新型カプセル「グリーンカプセル」】
「グリーンカプセル」は原料に炭酸カルシウムを配合し、プラスチックの使用量を従来の半分に削減。このカプセルを使った新商品として、今年秋に「パックマン めじるしアクセサリー」が販売予定とのことです。
【8月8日「ガシャポンの日」、わかさ生活・GROOVE Xと「8月8日を盛上げ隊」結成】
ガシャポン発売45周年の2022年に制定され、毎年行われている8月8日「ガシャポンの日」のキャンペーン。
今年は同じ8月8日を記念日とする「ブルーベリーアイ」のわかさ生活、「LOVOT」のGROOVE Xとコラボし、「8月8日を盛上げ隊」を結成。両社のキャラクターをモチーフにした商品が、8月第2週より順次全国のガシャポン自販機に登場します。
【「ガシャポンドリームコンテスト」今年のテーマは「未来のガシャポン」U-12部門も創設】
昨年に続き、今年も商品アイデアを募集する「ガシャポンドリームコンテスト」を7月1日から8月31日まで開催。テーマは「未来のガシャポン」。新たにU-12部門が新設されました。
今回はテレビCMで「ガシャポン先生」を演じる斎藤工さんと、人気絵本作家「tupera tupera(ツペラツペラ)」の2人がゲスト審査員を担当。最優秀賞には「ガシャポンの日」にちなんだ88万円が贈呈されます。
滝口さんはガシャポンの海外展開に触れ、世界12の地域に広がる店舗ネットワークを紹介。「『ガシャ』と回して『ポン』と出る、日本で生まれたエンターテイメント『ガシャポン』を世界中の人々にお届けしてまいります」と、キャッチコピーが背中に書かれた特製Tシャツで意気込みを示しました。
■ ガシャポンの魅力を“ヨガ”に例えて表現「メディテーション的な感覚がある」
後半は、斎藤工さんを迎えてのトークセッション。
斎藤さんはテレビCMで演じる「ガシャポン先生」のキャラになりきって「これだけは覚えて帰ってくれ! 8月8日はガシャポンの日!」と熱く呼びかけつつ、ロマンチックな表現で自身の“ガシャポン観”を語りました。
「直接的に『いま欲しいもの』に手が届きやすい時代だからこそ、(ガシャポンは)どこか無心になれる装置なのかなと思います。回している間はヨガ的というか、メディテーション(瞑想)的な感覚がありますね」(斎藤さん)
CMに登場する「ガシャポン先生」は、大型のカプセルを頭にかぶった特徴的な姿。
斎藤さんは「“ガシャポンの中”として、『出会いたい、カプセルを開けてほしい』という、ヒナ鳥のような気持ちを味わわせていただいた」と、撮影時の心情を振り返りながら、子ども時代の思い出にも触れました。
「ガシャポンが並んでいるエリアって、見知らぬ人同士でも、欲しいものが違ったり重複したときに交換したり、コミュニケーションの場所になっていますよね。幼少期はフリースクールに通っていて、他の学校の子たちとの接点がなかったのですが、ガシャポンの機械の前だけは、そういう(交流ができる)場所でした」(斎藤さん)
続いて斎藤さんは、ステージに運び込まれた新型販売機「ガシャポンステーション2」を操作して、今回発表の90mmカプセルを体感しました。
「かなり大きいですね! 79mmサイズでも十分な大きさを感じましたが、90mmはさらに大きな商品が入るんですね」と驚いた表情の斎藤さん。「(今も、カプセルの中に商品を)小さく折りたたんで飛び出してくるような商品がたくさんあるので、(そこから)スケールがさらに大きくなるという可能性を感じますね」と期待を寄せました。
■ 斎藤工、“腸内細菌ガシャポン”構想語る「このひと月真剣に考えていた」
続いてトークセッションの話題は、斎藤さんがゲスト審査員を務める「ガシャポンドリームコンテスト」について。斎藤さんは「今回審査員でなければ、自分でもアイデアを出したかったくらい」と言い、いま取り組んでいるという“腸活”にちなんだアイデアを披露しました。
「大腸や小腸の中にある100兆以上の真菌や細菌、微生物をガシャポンにしたいなという思いがあります。体内のことをガシャポンで遊びながら学べるような、自分の興味や想像、日々感じているものを伝えたいですね」(斎藤さん)
自身が興味を持つ腸内細菌について「(同じ菌同士が)何個も重なっても、それはそれでリアル」と言い、「いろんなウイルスや現代病への対策も含めて学べるようになるんじゃないかと、このひと月くらい真剣に考えていました」と熱く語りました。
さらに斎藤さんは今回の募集テーマである「未来のガシャポン」にも触れ、「自分の非現実的な理想を『自分の想像の数式』として持っていてもいい」とコメント。想像力豊かな“アイデア”を述べながら、今回のコンテストに期待を寄せます。
「例えば、スキャニングやアプリとの連動によって、ガシャポンの中に自分の顔や姿が“搭載”されるような未来もあるかもしれない。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の“空飛ぶクルマ”のように、『未来を描いた時代を超えたとき、実際にありそうもの』を想像できるようなアイデアが集まったら面白いですね」(斎藤さん)
そして「これからの時代、ガシャポンの未来は期待に溢れている」と語り、「みなさんぜひ一緒に、8月8日『ガシャポンの日』を盛り上げていただけたらと思います」と挨拶しました。
■ 「将来的には100mmカプセルの可能性も」バンダイ・滝口GMインタビュー
発表会後、滝口さんにあらためてインタビューしました。
──「90㎜カプセル」の開発に至った経緯、今後の展望についてお聞かせください。
従来の79mmカプセルに比べて、きちんとインパクトがある、違いが出るサイズのカプセル開発をまず目標としました。今回は既存の販売機との互換性も考慮し、90mmというサイズに落ち着きましたが、将来的にはこれよりも大きい100mmカプセルにも挑戦したいと考えています。
──エコ素材を用いた「グリーンカプセル」も興味深いです。
3年前から続けてきた取り組みを、ようやく今回世に出すことができました。かねてよりカプセルのエコ対応として紙などさまざまな素材を試してきましたが、プラスチックの使用を減らしつつ、運搬やマシン内における耐久性とのバランスを満たせるものとしてたどり着いたのが炭酸カルシウムでした。現在は50%の使用率ですが、将来的にはプラスチック0%を目標としています。
──今年8月8日「ガシャポンの日」にともなう「盛り上げ隊」メンバーである、わかさ生活やLOVOTとの関わりは、どのようなきっかけから生まれたのでしょうか?
8月8日を記念日とする企業さんつながりで、今回ご一緒させていただきました。私たちにとっては「ガシャポンの日」ですが、わかさ生活さんにとっては「ブルーベリーの日」、LOVOTさんにとっては、製品のシルエットにちなんだ「LOVOTの日」でもあります。今後も8月8日を記念日とする企業さんと、さまざまなコラボをしていきたいと考えています。
──最後に、今年の「ガシャポンドリームコンテスト」に向けての期待をお聞かせください。
どうしても企業としては売れるものを志向して既定路線のものが多くなってしまいがちですが、ユーザーのみなさまからからはぜひ、「こんなガシャポンがあったら楽しい」というアイデアをいただけたら嬉しいです。枠に当てはまらない“ぶっ飛んだアイデア”、をお待ちしています!
──ありがとうございました!
取材協力:株式会社バンダイ
(取材:天谷窓大)