おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

ChatGPTが“全年齢対応AI”を卒業? アルトマン氏が語った「成人向けエロティカ解禁」方針

 米OpenAIのCEO、サム・アルトマン(Sam Altman)氏が10月15日と16日に自身のX(旧Twitter)で投稿した内容が、世界中で反響を呼んでいます。

 ChatGPTの今後の方針として、年齢認証を導入した上で「成人ユーザーにはエロティカなどのコンテンツも解禁する」と明言したためです。

  • ■ 「より人間らしい新バージョン」の登場

     アルトマン氏はまず15日の投稿で、「これまでChatGPTはメンタルヘルスへの配慮を最優先にするため、非常に制限された形で運用されていました」と説明。

     そのうえで「リスク軽減と新ツールの導入により、多くのケースで安全に制限を緩和できるようになった」と述べ、今後数週間以内に「4oで好評だった要素を再現し、より人間らしい新バージョン」を公開する予定であると述べ、その存在を明らかにしました。

    ■ 「エロティカ解禁」発言が世界的反響に

     そして話題を呼んだのは、同氏が「12月には年齢認証を本格導入し、“大人のユーザーは大人として扱う”方針の一環として、認証済みの成人向けにエロティカなどのコンテンツも解禁する」と述べた部分でした。

     この発言は瞬く間に拡散し、「AIによる成人向け表現の解禁」というセンセーショナルな見出しで世界中のメディアに取り上げられ、注目を集めました。

     翌16日、アルトマン氏は改めてこの点について、前日の投稿を引用する形で言及。「この投稿は、思った以上に“エロティカ”の部分ばかり注目されてしまった!」と前置きしたうえで、「本来は、成人ユーザーにより多くの自由を与えるという方針の一例にすぎません」と釈明しました。

     また、未成年に関しては「プライバシーや自由よりも安全を優先する」とし、メンタルヘルス関連のポリシーを緩和する予定もないと強調しています。

    ■ 「自由」と「倫理」の線引きはどこに

     一方でアルトマン氏は、「AIが人々の生活に深く関わる時代だからこそ、大人が自分の望む形でAIを利用できる自由を広く認めることは、私たちの使命の一部」と主張。「我々は世界の道徳警察になろうとしているわけではありません。社会が映画にR指定を設けるように、AIにも年齢や目的に応じた線引きを設けたい」と述べています。

     なお、アルトマン氏の言う「エロティカ(Erotica)」とは、「官能的な作品」や「性的表現を含む文学・芸術作品」といった意味合いで使われています。ポルノグラフィ(Pornography)のように性的興奮を主目的とするものとは区別されますが、実際の運用においてその境界は必ずしも明確ではありません。

     しかしながら、今回示された新方針が実現すれば、ChatGPTは“全年齢対応AI”から“年齢層に応じたAI”へと変化することになります。

     成人ユーザー向けにどこまで表現を許容するのか、AIがどのようにエロティカとポルノの境界を判別し、表現を制御していくのか――その“自由と倫理”のバランスに、今後も注目が集まります。

    <参考・引用>
    Sam Altman(@sama)

    あわせて読みたい関連記事
  • マクドナルド「にんげんっていいな」パロディ巡り勘違い?権利表記に「生成AIかと」
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    マクドナルド「にんげんっていいな」パロディ巡り勘違い?権利表記に「生成AIかと」…

  • ウィキペディアのページビュー
    インターネット, サービス・テクノロジー

    AI時代でウィキペディア苦境 人間の閲覧数8%減、財団が警鐘

  • 甘い囁きが筒抜けに……AI“彼女”アプリで個人データ漏洩 40万人分の会話・画像が外部公開状態に
    インターネット, 社会・物議

    甘い囁きが筒抜けに……AI“彼女”アプリで個人データ漏洩 40万人分の会話・画像…

  • OpenAI、新動画生成モデル「Sora 2」発表 アプリで“カメオ出演”も可能に
    インターネット, サービス・テクノロジー

    OpenAI、新動画生成モデル「Sora 2」発表 アプリで“カメオ出演”も可能…

  • ChatGPTの画面(編集部撮影)
    インターネット, サービス・テクノロジー

    OpenAI、ChatGPTに「ペアレンタルコントロール」導入 未成年利用の安全…

  • 邪悪なAI搭載「絶対にバズるSNS」で理不尽な炎上を疑似体験→リアルすぎて怖くなった
    インターネット, おもしろ

    邪悪なAI搭載「絶対にバズるSNS」で理不尽な炎上を疑似体験→リアルすぎて怖くな…

  • 派閥論争に新たな試み きのこ派・たけのこ派を顔判定するAI「MOTHER」誕生
    イベント・キャンペーン, 経済

    派閥論争に新たな試み きのこ派・たけのこ派を顔判定するAI「MOTHER」誕生

  • Nick Turley氏(@nickaturley)の投稿
    インターネット, サービス・テクノロジー

    ChatGPT、週次アクティブユーザー7億人目前に 4か月で2億人増加

  • AI提案の“衣なしケンタ”に異議あり 「ケンタを食べる意味がないやろがい!」(画像はイメージ)
    インターネット, おもしろ

    AI提案の“衣なしケンタ”に異議あり 「ケンタを食べる意味がないやろがい!」

  • 配信サービス上の「AI生成楽曲」を見分けるツール「Spot-if-AI」 95%の高精度で判定
    インターネット, サービス・テクノロジー

    配信サービス上の“AI生成楽曲”を見分けるツール「Spot-if-AI」 95%…

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 「シテの花」作者が続報投稿 前担当の不備めぐり編集部と協議、認識を整理
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    「シテの花」作者が続報投稿 前担当の不備めぐり編集部と協議、認識を整理

  • 松山ケンイチ「誰も傷つけない悪口選手権」を開始 SNS時代に投げかける新たな試み
    エンタメ, 芸能人

    松山ケンイチ「誰も傷つけない悪口選手権」を開始 SNS時代に投げかける新たな試み…

  • 悔しさと葛藤を語った「シテの花」作者 掲載順問題が大きな反響呼ぶ
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    悔しさと葛藤を語った「シテの花」作者 掲載順問題が大きな反響呼ぶ

  • 11月17日からの平日限定で、「かっぱの挑戦 感謝祭」をスタート
    イベント・キャンペーン, 経済

    かっぱ寿司、おにぎりとかけうどんが平日限定で各82円に 「かっぱの挑戦 感謝祭」…

  • 「ウォーキング・デッド」特化オークションが初開催 総額3億円超の落札集まる
    エンタメ, 映画

    「ウォーキング・デッド」特化オークションが初開催 総額3億円超の落札集まる

  • ヤマト運輸、「当日配送サービス」開始 同一都道府県内運賃も新設
    企業・サービス, 経済

    ヤマト運輸、「当日配送サービス」開始 同一都道府県内運賃も新設

  • トピックス

    1. 汗冷え対策は「ヒートテックの下にエアリズム」 ユニクロ公式発の裏ワザが再び話題

      汗冷え対策は「ヒートテックの下にエアリズム」 ユニクロ公式発の裏ワザが再び話題

      屋内と屋外で寒暖差が大きく、着る服に悩みがちなこの季節、SNS上で「エアリズムの上にヒートテックを着…
    2. 「ドラクエ7リメイク」にキーファ再会エピソード追加 衝撃展開にSNSでは「恨み節」も

      「ドラクエ7リメイク」にキーファ再会エピソード追加 衝撃展開にSNSでは「恨み節」も

      2025年11月12日午前7時に配信された「State of Play 日本」にて、「ドラゴンクエス…
    3. アカウント1の投稿

      【前編】それでも私は、書くことを選んだ―― Temu不審アカウントに挑んだ無名記者の記録

      ある日の調査作業の過程で、SNS「X」上において、急成長中の越境EC大手「Temu」のサポート担当を…

    編集部おすすめ

    1. 「シテの花」作者が続報投稿 前担当の不備めぐり編集部と協議、認識を整理

      「シテの花」作者が続報投稿 前担当の不備めぐり編集部と協議、認識を整理

      小学館「週刊少年サンデー」で連載中の漫画「シテの花 -能楽師・葉賀琥太朗の咲き方-」の作者・壱原ちぐささんが11月18日18時、新たな投稿を…
    2. 松山ケンイチ「誰も傷つけない悪口選手権」を開始 SNS時代に投げかける新たな試み

      松山ケンイチ「誰も傷つけない悪口選手権」を開始 SNS時代に投げかける新たな試み

      俳優の松山ケンイチさんが11月17日、自身のXアカウント「松山ケンイチ(@K_Matsuyama2023)」でユーモア企画「誰も傷つけない悪…
    3. 悔しさと葛藤を語った「シテの花」作者 掲載順問題が大きな反響呼ぶ

      悔しさと葛藤を語った「シテの花」作者 掲載順問題が大きな反響呼ぶ

      小学館「週刊少年サンデー」で連載中の漫画「シテの花 -能楽師・葉賀琥太朗の咲き方-」の作者・壱原ちぐささんが11月17日、作品の掲載順に関す…
    4. 今年もやってきた“本番環境の事故録” Qiitaの「やらかしアドベントカレンダー2025」開幕

      本番環境などでの失敗談が集結 Qiitaの「やらかしアドベントカレンダー2025」開幕

      稼働中のサーバーでの作業ミスによるトラブルの顛末をつづる「本番環境などでやらかしちゃった人 Advent Calendar 2025」が12…
    5. 床掃除はおまかせ!「モップ機能つき生ルンバ」と化すビションフリーゼがかわいい

      床掃除はおまかせ!「モップ機能つき生ルンバ」と化すビションフリーゼがかわいい

      頭をぐりぐり動かしながら、床の上を滑っていく1匹のワンちゃん。飼い主さんが「モップ機能つき生ルンバ」と呼ぶビションフリーゼ・せとくんの動画が…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト