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EU、ネット上での児童性被害対策を強化 日本企業にも影響広がる可能性

 EU加盟国の代表は11月26日(現地)、児童性虐待を防止・撲滅するための規則案をめぐり、EU理事会としての共通立場に合意しました。

 SNSやメッセージアプリなどの事業者に対し、児童性虐待資料の拡散防止や子どもへの悪質な接触を防ぐ体制づくりを義務づける内容で、欧州議会との最終的な交渉が始まる見通しです。今回の動きはEU内にとどまらず、将来的には世界的な基準となる可能性もあり、日本も無関係ではありません。

  • ■ 事業者に求められる新たな対策

     今回の規則案では、事業者に自社サービスが児童性虐待に使われる危険性を評価させ、そのリスクを減らすための対策を取るよう求めています。

     児童性虐待資料(child sexual abuse material=CSAM)の拡散を防ぐ仕組みや、子どもが知らない相手から連絡を受けにくくする仕組み、子ども向けのプライバシー設定などが想定されています。各国が指定する当局が事業者の対応を監督し、不十分な場合には改善命令を出し、それでも従わなければ制裁金を科すことも可能です。

     また、サービスの内容に応じて、高・中・低の三段階にリスク分類する制度も導入されます。高リスクとされた事業者には、より高度な対策技術の開発などが求められることになります。

     被害者がネット上に残った自身の虐待画像の削除を求める際の支援も強化されます。EUは新たに「EU児童性虐待対策センター」を設置し、事業者や加盟国当局と連携して対応にあたる方針です。

    EU理事会の発表(プレスリリース)

    ■ 欧州発の基準が日本にも波及

     EUはこれまでも、安全対策や個人情報保護の分野で世界をリードしてきました。個人情報保護を強化したGDPR(EUの包括的な個人データ保護規則)が国際的な標準のひとつとなったように、今回の児童保護をめぐる規則も、欧州発の基準が世界で広がる可能性があります。

     こうした流れは、日本企業にも影響を及ぼします。EU域内でサービスを提供する場合、日本企業であっても新規則を守る必要があるためです。

     SNSやコミュニケーションアプリを展開する大手企業のほか、ゲームやコミュニティサービス、クラウド基盤を提供する事業者も対象になり得ます。企業がEU向けに導入した安全対策は、日本国内向けサービスにも波及することが多く、今回の規則も例外ではないとみられます。

     事業者にとって負担が増える一方で、国際的な安全基準に沿ったサービス設計が求められる流れは今後さらに強まると予測されます。また、EUの新機関が構築する情報共有体制が整えば、国境を越えた捜査の連携が進む可能性もあり、日本の警察や行政も対応を迫られる場面が増えるかもしれません。

     オンライン空間での児童保護は、欧州だけでなく世界が共通して抱える難題です。今回のEUの動きは、国際的な安全基準の形成と、各国の事業者や制度に静かに影響を及ぼし始めています。

     日本企業にとっても、海外での提供サービスだけでなく、国内での対策強化を求められる時代に本格的に入ったと言えそうです。

    <参考・引用>
    Child sexual abuse: Council reaches position on law protecting children from online abuse(26 November 2025)

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