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【新作アニメ捜査網】第28回 アニメ旬報ベスト10 テレビ篇

旬なアニメを紹介する「新作アニメ操作網」。本稿では、2010年のテレビアニメを振り返り「優れた作品ベスト10」を、私コートクの独断と偏見で発表したいと思います。

ランキングは重ねて申しますが、「私の独断と偏見です」。それぞれご覧になられた方によって順位や価値観は異なると思いますが、「こういう見方もあるのだな」程度の気楽な気持ちでご覧いただければ幸いです。

  • ■第10位・・・『ドーラ』

    アメリカ製の教育テレビ番組。
    主人公・ドーラ(声・くまいもとこ)が仲間達と共に冒険を繰り広げるというストーリーですが、視聴者の想像も及ばないような奇抜な状況が次から次へと登場し、視聴者を飽きさせない作品となっています。

    製作ニコロデオン
    キー局テレビ東京
    出演者ドーラ・くまいもとこ、ブーツ・宮原永海、スワイパー・金丸淳一、マップ君・佐々木望、バックパック・武田華、他

    ■第9位・・・『閃光のナイトレイド』

    昭和初期の上海や満洲を舞台に、日本陸軍の諜報機関・桜井機関に所属する超能力者の暗躍と、大規模核戦争の抑止を目指す元日本陸軍軍人・高千穂勲(声・平田広明)と遊佐静音(声・川澄綾子)、そして激動の国際情勢を同時並行で描いた、原作なしのアニメオリジナル企画。
    視聴者はその後の悲惨な歴史を知っているが故に、惨禍を避けようとする高千穂らの願いは視聴者の胸を打ちます。
    また本作は、高千穂が、南アジア~東南アジアで欧米の帝国主義列強が支配している植民地を解放する運動を進める姿も描いています。
    近現代史に対する評価は人によって見方が分かれるため、日本人が植民地解放運動をする物語の映像化を実現するのは難しく、2001年の映画『ムルデカ 17805』や、パラレルワールドを舞台にしたOVA『紺碧の艦隊』などごく少数です。
    そうした中で、困難なテーマに挑んだ作り手の熱意には敬意を表したいと思います。

    製作委員会アニプレックス/テレビ東京
    シリーズ構成大西信介
    キャラクター原案上条明峰
    キャラクターデザイン佐々木啓悟
    音楽葉加瀬太郎/門倉聡
    監督松本淳
    アニメーション制作A-1 Pictures
    出演者三好葵・吉野裕行、伊波葛・浪川大輔、高千穂勲・平田広明、桜井信一郎・大林隆介、苑樹雪菜・生田善子、鍵谷棗・星野貴紀、愛新覚羅溥儀・興津和幸、ビクター・ブルワー・リットン…グレッグ・アーウィン、石原莞爾・磯部勉、板垣征四郎・森功至、建川美次・土師孝也、花谷正・飛田展男、南次郎・池田勝、他

    ■第8位・・・『テガミバチREVERSE』

    2009年第4クール~2010年第1クールの『テガミバチ』の続篇。
    郵便配達員の少年・ラグ・シーイング(声・沢城みゆき)を描いたファンタジー。
    ラグとその仲間達は様々な人と出会いますが、行き会う人々の悲しみや喜びといった思いが視聴者の胸を打ちます。
    本作は郵便配達員を描いた作品であるため、人の思いが詰まった手紙が重要な要素となりますが、第5話「リバース・ワールド」で登場する「手紙を届けて喜ばれることばかりではない。怒りや悲しみ、憎しみが籠った手紙を届けることもある。」という台詞が、喜びや悲しみなど様々な感情を運ぶ手紙と、それを通じた人間模様を象徴していると言えるでしょう。

    物語の重要人物の1人であるゴーシュ・スエード(声・福山潤)のエピソードも切なく、印象に残るものです。ゴーシュは足の不自由な妹・シルベット(声・水樹奈々)と2人暮らしでしたが、妹に手術を受けさせるためと、妹に貧しい思いをさせないために、金を稼ぎまくろうと意気込んで猛烈に働き、家にいることがあまりありませんでした。しかしシルベットは、足の手術や、裕福な暮らしを望んでいた訳ではなく、兄と仲睦まじく暮らすことを望んでいたのです。そのため、シルベットは寂しい思いをして過ごしていました。ゴーシュは妹を幸せにするために働いていたにも拘わらず、結果的に妹を悲しませていたのは、皮肉なことです。本作は2011年第1クールも続きますので、平和的な大団円を期待したいところです。

    製作委員会テレビ東京/studioぴえろ
    原作浅田弘幸(集英社『ジャンプスクエア』連載)
    シリーズ構成赤星政尚
    キャラクターデザイン/
    総作画監督
    芝美奈子
    音楽梁邦彦
    監督岩永彰
    アニメーション制作studioぴえろ
    出演者ラグ・シーイング・沢城みゆき、ニッチ・藤村歩、ステーキ・永澤菜教、ラルゴ・ロイド・小西克幸、アリア・リンク・小清水亜美、ゴーシュ・スエード・福山潤、ロダ・堀江由衣、シルベット・スエード・水樹奈々、他

    ■第7位・・・『ジュエルペット てぃんくる☆』

    魔法の世界の動物・ジュエルペットが活躍する、夢溢れるファンタジーアニメ。
    特に印象深いのは、生き別れになった双子の姉弟であるアルマ(声・高本めぐみ)と祐馬(声・立花慎之介)のエピソードです。
    深い悲しみと怒りを秘めたアルマは、男装して行動します。女性の声と男性の声の両方を発した高本めぐみの演技は秀逸でした。
    そして、互いを思いやる姉弟の情が心温まります。

    製作委員会テレビ東京/テレビ東京メディアネット/ウィーヴ
    原作サンリオ/セガトイズ
    シリーズ構成島田満
    キャラクターデザイン伊部由起子/宮川知子
    音楽浜口史郎
    監督山本天志
    アニメーション制作スタジオコメット
    出演者桜あかり・高森奈津美、ミリア・竹達彩奈、沙羅・片岡あづさ、ルビー・齋藤彩夏、ラブラ・沢城みゆき、ガーネット・平野綾、サンゴ・清水愛、サフィー・ささきのぞみ、祐馬・立花慎之介、アルマ・高本めぐみ

    ■第6位・・・『最強武将伝 三国演義』

    羅貫中の古典『三国志演義』を、全52話として映像化した日中合作アニメです。
    本作はホリプロ50周年記念番組でもあることから、日本語版には同プロ所属の芸能人が多く出演しています。
    ストーリーは、一応の主人公は蜀の劉備や諸葛亮らですが、劉備や諸葛亮らの視点からのみ描く訳ではなく、多くの人々の視点から激動の歴史を描く群像劇となっています。重厚な劇伴、息詰まる駆け引き、油断のならない智慧比べ、英雄達の豪快な人物像など、非常に多い見せ場も見所です(尤も、ダイジェスト的ではありますが)。
    こういう作品を見ると、日本史を題材にした放送期間4クールの群像劇も作ってほしい、と思います。製作側も商売でやっていますから、採算の合わないことはしないでしょうけど。

    製作委員会中国中央電視台少児頻道/北京輝煌動画/フューチャー・プラネット/央視動画/タカラトミー
    キー局テレビ大阪
    原作羅貫中
    総監製趙化勇
    芸術監督銭運達
    シリーズ構成王大為
    キャラクターデザイン陳聯運
    音楽張俊鵬
    監督朱敏/沈壽林/大賀俊二
    アニメーション制作北京輝煌動画/フューチャー・プラネット
    出演者▼蜀関連の出演者▼
    劉備・船越英一郎、関羽・松永博史、張飛・山崎裕太、趙雲・載寧龍二、諸葛亮・石井正則、馬超・土田大、黄忠・大林隆介、魏延・木村彰吾、劉禅・つぶやきシロー
    ▼魏関連の出演者▼
    曹操・鶴見辰吾、張遼・三好幸次、許褚・磯山良司、于禁・山田純大、司馬懿・中村秀利、曹丕・佐々木啓夫
    ▼呉関連の出演者▼
    孫権・伊藤洋三郎、魯粛・大石吾朗、周瑜・鈴木一真、小喬・戸田菜穂、玉錦・鈴木砂羽、呂蒙・藤本譲、陸遜・秋吉徹
    ▼その他の出演者▼
    董卓・河原さぶ、呂布・ささきいさお、陳宮・野村浩二、貂蝉・木南晴夏、袁紹・谷崎弘一、孟獲・西尾季隆、祝融夫人・比企理恵、ナレーター・鹿賀丈史、他

    ■第5位・・・『屍鬼』

    フジテレビとBSフジで放送されている深夜アニメ枠「ノイタミナ」の1作品。
    周囲から隔絶された山奥の村・外場村が、ゾンビであり吸血鬼でもある存在(劇中では“起き上がり”と呼ばれる)によってじわじわと侵蝕される様子を描いたホラー。
    序盤のストーリーの進み具合はゆっくりであるものの、寧ろそれが、村人が気付かない間に村の異変が進行する恐怖感を高めていきます。
    物語の後半では人間側が反撃を開始。次々と“起き上がり”を殺害していきますが、この場面では、暴走した集団の狂気が描かれており、“起き上がり”という超常現象の恐怖とは別に、生身の人間による恐怖を強烈に抉り出しています。
    というのも、“起き上がり”に味方していない人間を、“起き上がり”に味方していると一方的に決めつけ、殺してしまったからです。そして本作は、人間の反撃を描く一方で、“起き上がり”側の言い分も描いています。

    例えば第20話で“起き上がり”である桐敷沙子(声・悠木碧)が「どんな残忍な人殺しだって私ほど沢山の人を殺してないと思うわ。私が殺されるのはその報いなの。なのに怖い。(略)でも悪いことなんかしてないわ。食事をしただけ。食べないと飢えて死んでしまうんだもの。そうしなかったからいけないの?飢えて死ななかったから私が悪者なの?(略)私だって好きでこんな生き物になった訳じゃない。」と語っています。
    “起き上がり”によって家族を殺された大川富雄(声・石井康嗣)が、最終回で沙子の片足を掴んで宙吊りにし、殺害しようとする場面がありますが、このような構図は人間の自存自衛の戦いを相対化する意味合いがあったと言えるでしょう。
    そして最終回のラスト、火事によって外場村は灰燼に帰してしまいます。そこには、むなしさだけが残ったのでした…。

    製作委員会アニプレックス/フジテレビジョン/集英社/電通/ダックスプロダクション
    原作小野不由美
    シリーズ構成杉原研二
    キャラクターデザイン/
    総作画監督
    越智信次
    音楽高梨康治
    監督アミノテツロ
    アニメーション制作童夢
    出演者尾崎敏夫・大川透、室井静信・興津和幸、結城夏野・内山昂輝、桐敷沙子・悠木碧、辰巳・高木渉、桐敷正志郎・GACKT、大川富雄・石井康嗣、他

    ■第4位・・・『薄桜鬼 碧血録』

    『薄桜鬼』の続篇。
    戊辰戦争を必死で戦う新選組の姿を描いていますが、どちらかというと、榎本武揚率いる蝦夷共和国と明治新政府の戦いがストーリーの中心に据えられています。
    新選組を物語の中心に据えた前作とは異なり、本作は、日本で初めての選挙や、宮古湾海戦など、箱館戦争の動きを俯瞰的に描いています。
    そして本作最大の特徴は、滅びの美学です。劣勢でありながらも己の信じるもののために戦い、破れてゆく者達の姿には、涙を禁じ得ません。

    製作委員会ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント/フロンティアワークス/エー・ティー・エックス
    原作オトメイト
    原案/構成監修藤澤経清
    キャラクター原案カズキヨネ
    キャラクターデザイン中嶋敦子
    音楽大谷幸
    監督ヤマサキオサム
    アニメーション制作スタジオディーン
    出演者雪村千鶴・桑島法子、土方歳三・三木眞一郎、榎本武揚・伊藤栄次、大鳥圭介・内匠靖明、近藤勇・大川透、沖田総司・森久保祥太郎、斎藤一・鳥海浩輔、藤堂平助・吉野裕行、原田左之助・遊佐浩二、松平容保・森川智之、黒田清隆・幸地真作、他 

    ■第3位・・・『伝説の勇者の伝説』

    魔法が存在する世界を舞台に、政治や戦争、謀略、友情などを時には冷酷に、時にはコミカルに描いたファンタジー。テーマは、理想と現実との葛藤ではないかと私は考えています。

    本作には、深い悲しみを湛えた人物が多く登場します。
    恐るべき殺傷能力を秘めているが故に化け者扱いされ、迫害されてきた主人公・ライナ・リュート(声・福山潤)。
    肉親を殺され、スパイ活動を強いられるキファ・ノールズ(声・大浦冬華)。
    先代の国王が平民の側室に産ませた子供であるが故に、身分差別に苦しめられたシオン・アスタール現国王(声・小野大輔)。

    様々な境遇で生まれ育った登場人物達は、作中で差別なく人々が幸せに暮らせる平和な世の中を実現するため奮闘します。
    しかし、高邁な理想を掲げつつも、実際に政治を行う上では、綺麗事だけで済ますことはできなかったのです。
    物語の中心となるローランド帝国は、庶民のための政治を行っているのは事実であるものの、帝国主義国家としての側面も持っており、例えば帝国の支配下に置かれた従属国エスタブール王国に対して情に訴えたりしつつも、同時に政権を安定させるための権謀術数を繰り広げます。
    粛清の嵐が吹き荒れて邪魔者は皆殺しにされる一方、冷徹な計算とリアリズムに基づいた合従連衡が行われるなど、徹底したマキャベリズムが実行されているのです。

    シオン・アスタール国王の苦悩に象徴されるように、差別なく人々が幸せに暮らせる平和な世の中を実現するという目的と、実際の政治を行う上で非情にならねばならない現実の板挟みが容赦なく登場人物に襲いかかり、哀しみを生んでいます。
    しかし、それでもなお、本作の物語が希望を失っていないのは、ライナを救おうとするキファの決意や、化け者扱いされるライナを人間として尊重するフェリスなど、個々人がより良い未来に向けて力強く歩み続けるからではないでしょうか。

    製作委員会ティー・オーエンタテインメント/SK INDEPENDENCE/メディアファクトリー/角川コンテンツゲート/ランティス
    キー局テレビ東京
    原作鏡貴也(富士見書房『富士見ファンタジア文庫』)
    原作イラストとよた瑣織
    シリーズ構成吉村清子
    キャラクターデザイン島沢ノリコ
    音楽仲村美悠
    監督川崎逸朗
    アニメーション制作ZEXCS
    出演者ライナ・リュート・福山潤、シオン・アスタール・小野大輔、フェリス・エリス・高垣彩陽、キファ・ノールズ・大浦冬華、ミラン・フロワード・諏訪部順一、クラウ・クロム・伊丸岡篤、ルシル・エリス・杉田智和、レファル・エディア・中井和哉、ティーア・ルミブル・櫻井孝宏、他

    ■第2位・・・『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』

    放送期間5クールを費やした、いわば大河アニメ。
    本作の大河アニメぶりを物語っているのが、登場人物の出番であります。
    登場人物の人数は厖大な量に上り、それら登場人物が入れ替わり立ち替わり物語を彩ります。時期によって出番の多い登場人物と出番の少ない登場人物がおり、一見主要登場人物と思えるキャラクターも時期によってはとことん影が薄くなります。
    エンディングのタイトルクレジットも回によって大幅にいじられ、或る回では1列目に表示されたキャラクターが別の回ではその他大勢扱いを受けています。

    第56話「大総統の帰還」では主人公のエドワード・エルリック(声・朴璐美)の出番も弟のアルフォンス・エルリック(声・釘宮理恵)の出番もなく、タイトルクレジットでは敵の黒幕が最初に表記されるという大胆なクレジット順となりました。
    また、第18話「小さな人間の傲慢な掌」で一旦物語から姿を消したマリア・ロス(声・名塚佳織)は、半年以上経った第50話「セントラルの動乱」で再登場するという、大河アニメならではの活躍を見せました。

    本作は、特定のキャラクターを主役に据えた番組というよりも、大勢の人物の意志が絡み合って劇中世界の歴史が形作られてゆく群像席を描いています。私は、このような本作の作劇手法を高く評価しています。

    ストーリーについては、主人公兄弟が個人的な理由で始めた冒険が、人工生命体・ホムンクルスとの国家的規模の争乱へと広がっていく構成が見事でした。
    また敵方の関係者を仲間にしながら冒険を繰り広げる展開や、主人公とその仲間が軍事独裁国家・アメストリスの暗部を暴こうとする探偵的展開は非常にスリリングです。
    その他に、たまに1話丸々使って回想シーンを描いて物語上の重要な謎を明らかにするのも、視聴者の関心を惹きつけるのに一役買っていました。

    そして本作のストーリーを複雑にし、深みを与えている要因の1つが、かつて行われたイシュヴァール殲滅戦のエピソードです。
    劇中に登場する軍事独裁国家・アメストリスは、併呑したイシュヴァール地域に住む民族・イシュヴァール人を全滅させるという作戦を発動し、大虐殺(広告代理店が発明した用語で言うところの“民族浄化”)を繰り広げます。
    作戦に参加した軍人ロイ・マスタング(声・三木眞一郎。主人公の仲間の1人)は同僚から「目つき変わっちまったな」と言われ、リザ・ホークアイ(声・折笠富美子。主人公の仲間の1人)を見たマスタングもまた「何てことだ、この人も人殺しの目になってしまった」と呟くのでした。
    人間をすっかり変えてしまう、まさにこの世の地獄です。
    しかしこの作戦を発令した張本人であり、政治と軍事の実権を握る独裁者キング・ブラッドレイ大総統(声・柴田秀勝)は平気の平左。
    大総統はイシュヴァール人に向かって、「大概にしろ人間」などと、わざとらしく「人間」という単語を連発。大総統は人間ではないことを強調する脚本となっています。
    悪事の親玉が人間ではないことを強調している訳ですが、ただ単に大虐殺を人間ではない者の責任にして分かり易いストーリーにしなかったところに本作の注目すべき点があります。
    それは、主人公と親しい立場にいるマスタングやホークアイが戦争犯罪人である可能性を描いている点です。
    「人間ではない大総統は悪役で、主人公の仲間は大総統に立ち向かうヒーロー」という単純な勧善懲悪の構図にしなかったところに本作の執念が表れています。
    マスタングやホークアイは上官の命令に背ける立場ではなかったと思われますが、悪役に立ち向かう主人公の仲間が悪役と共犯関係にあったという、他の追随を許さない深刻な展開となりました。
    同時に、内乱の最中にはヒロイン・ウェンリィ(声・高本めぐみ)の両親がイシュヴァール人によって殺害されてもいます。イシュヴァール人もまた単純な被害者として描かれてはいません。紛争の苛酷さを視聴者に突きつける、強烈なエピソードとなりました。

    上記のように、『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』はケタ外れのスケールを誇る大河アニメであったのです。

    製作委員会アニプレックス/スクウェア・エニックス/ボンズ/毎日放送
    原作荒川弘(スクウェア・エニックス『ガンガンコミックス』)
    シリーズ構成大野木寛
    キャラクターデザイン菅野宏紀
    音楽千住明
    監督入江泰浩
    アニメーション制作ボンズ
    出演者エドワード・エルリック・朴璐美、アルフォンス・エルリック・釘宮理恵、ヴァン・ホーエンハイム・石塚運昇、キング・ブラッドレイ・柴田秀勝、お父様・家弓家正、グラマン・納谷六朗、アレックス・ルイ・アームストロング・内海賢二、他

    ■第1位・・・『こばと。』

    傷ついた人の心を癒すことによって得られる金平糖を集める少女・花戸小鳩(声・花澤香菜)の姿を、借金取りに追われる保育園などと絡めて描いた一本。

    小鳩の優しさは尊く、その純真さは心温まります。
    その真骨頂とも言うべきエピソードの1つが、第21話「…春の足音。」です。
    小鳩(声・花澤香菜)は、どんなに悪そうな人でも真心を持っているという確信を一貫して持ち続け、微塵も揺らぐことがありません。
    本作においては、今まで借金取りである沖浦和斗(声・三木眞一郎)と宮田(声・森伸)がよもぎ保育園に対して意地悪ばかりしていました。そんな借金取りに対しても、小鳩は話し合えば分かってもらえると信じ、常に対話を求め続けました。
    借金取りは悪い人達のように見えましたが、恐らく小鳩はそうは考えなかったのでしょう。
    そして第21話で、今まで隠されていた事実が判明します。沖浦は、親分である自分の父親が保育園に介入しないようにしようとしており、宮田もその意図を察していました。
    サン・テグジュペリの『星の王子さま』には「大切なものは目に見えない」という名言がありましたが、小鳩の純真なまなこは、目に見えない大切なものを見抜いていたのでしょう。
    第24話(最終回)「あした来る日…。」のラストで、小鳩が藤本清和(声・前野智昭)と数年ぶりに再開する場面も、感慨深い名場面でした。
    最終回のエンディングに流れた「あした来る日」(歌・花澤香菜)は、この場面にぴったりと合う名曲です。この歌は挿入歌として劇中に何度か流れましたが、最終回を観た後で再放送を観ると、挿入歌が流れただけで泣けてくるのでした。

    製作委員会明記されず
    原作CLAMP(角川書店『月刊ニュータイプ』『角川コミックス・エース』連載)
    シリーズ構成横手美智子/大川七瀬
    キャラクターデザイン加藤裕美
    総作画監督田崎聡
    音楽はまたけし
    監督増原光幸
    アニメーション制作マッドハウス
    出演者花戸小鳩・花澤香菜、いおりょぎ・稲田徹、藤本清和・前野智昭、沖浦清花・折笠富美子、三原千歳・桑島法子、堂元崇・神谷浩史、沖浦和斗・三木眞一郎、他



    ■ライター紹介
    【コートク】

    本連載の理念は、日本のコンテンツ産業の発展に微力ながら貢献するということです。基本的には現在放送中の深夜アニメを中心に当該番組の優れた点を顕彰し、作品の価値や意義を世に問うことを目的としていますが、時代的には戦前から現在まで、ジャンル的にはアニメ以外のコンテンツ作品にも目を向けるつもりでやって行きたいと思います。そして読者の皆さんと一緒に、日本のコンテンツ産業を盛り上げる一助となることができれば、これに勝る喜びはございません。

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