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ガザ:病院の燃料不足で人工呼吸器や保育器が止まる恐れ──新生児らの命が危機に

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国境なき医師団


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ガザ・ナセル病院の新生児集中治療室で治療を受ける赤ちゃん=2024年12月23日 (C) Nour Alsaqqa/MSF

パレスチナ・ガザ地区の中南部に位置するナセル病院、アル・アクサ病院、ヨーロッパ・ガザ病院が深刻な燃料不足により閉鎖の危機に瀕している。これらの病院では新生児を含む数百人の患者が治療を受けており、救命には燃料による発電が不可欠となっている。


国境なき医師団(MSF)はナセル病院とアル・アクサ病院に燃料を供給したが、36~48時間ほどの電力をまかなうことしかできない。MSFは、全ての紛争当事者に対し、医療施設に燃料が確実に届くよう、ガザ地区への燃料搬入を進めることを呼びかけている。
救命治療を続けられない恐れ
1月8日時点で、MSFが支援するナセル病院の一部の診療科では、停電のため救命治療を行えなくなる可能性が生じている。新生児集中治療室では、現在MSFが人工呼吸器による治療を行っている3人の子どもと4人の新生児に加えて、15人の新生児が保育器に入っている。全て発電機による電力が頼みの綱だ。


ガザ地区への燃料搬入と、医療施設への供給が進まなければ、悲劇的な結果につながりかねない。イスラエルの封鎖によって医療体制が崩壊し、人びとの命が危険にさらされている事態を直ちに止めなければならない。
続く封鎖と物資略奪がもたらした危機
MSFの緊急対応コーディネーター、パスカル・コワサールはこう語る。


「燃料がなくては、ここにいる新生児は生き続けられません。赤ちゃんたちは保育器に入っていて、命を維持する人工呼吸器には電力の安定供給が不可欠です。子どもたちはすでに非常に弱い状態に陥っているので、他の病院に移すことはさらなるリスクにつながります。

子どもたちの命を危険にさらすことは、決して容認できません。この事態は、イスラエルが続けている封鎖と、救命物資の略奪が続いていることの結果なのです」


ナセル病院はベッド数500床で、MSFは救急医療、産科、小児科、やけど、外傷の治療を行っている。酸素の供給においても、多くの燃料が必要とされる。MSFは毎月平均100件超の肺炎患者を治療しており、その中には酸素供給を必要とする患者がいる。また、MSFは毎月100件超の帝王切開を行っており、全てにおいて電気の安定供給が必要だ。


ガザ地区のMSF医療チームリーダー、ジュリー・ファウコンは「残っているわずかな燃料を最も切迫した診療科で使っても、36~48時間しかもたないことは分かっています。瀕死の状態の患者がいる一方で、電力不足が続いていることで、やけどや外傷の患者に提供する医療にも影響が出ています」と話す。
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ナセル病院の新生児集中治療室。命を守る治療のために電力が不可欠だ=2024年12月29日 (C) Nour Alsaqqa/MSF

物資搬送のトラックは大幅減
MSFをはじめとする複数の団体は1年余り前から、援助物資の不足がガザの人びとの命を脅かしていると警鐘を鳴らしてきた。ガザの人びとは、食料、清潔な水、医薬品、せっけんといった最も基本的な必需品さえ入手することが困難な状況が続いている。


国連によると、命をつなぐために必要な物資を積んだトラックは、2023年10月7日以前には1日あたり平均500台がガザに入っていたが、2024年12月には1日あたり59台しか入っていない。

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