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停戦の発表を受けて、ガザ北部へと戻ろうと、破壊された建物の間の道路を歩く子どもたちと家族(パレスチナ、2025年10月10日撮影)(C) UNICEF/UNI876926/Nateel
【2025年10月26日 アンマン(ヨルダン)発】
パレスチナ・ガザ地区での停戦が始まったことを受け、ユニセフ(国連児童基金)中東・北アフリカ事務所代表のエドゥアルド・ベイグベデルは人道支援の拡充と停戦合意の遵守を訴え、以下の声明を発表しました。
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2週間前に始まった今回の停戦は、ガザ地区の家族にとって長らく待ち望まれていた安堵をもたらしました。これは、子どもたちの生存、安全、そして尊厳を守るための極めて重要な機会です。
先週ガザ地区を訪問した際、私が人々から共通して聞いたのは、停戦は維持されなければならず、単なる平穏ではなく具体的な行動につながるものでなければならない、という訴えでした。
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停戦の発表を喜ぶガザの子どもたち(パレスチナ、2025年10月9日撮影)(C) UNICEF/UNI876926/Nateel
イスラエルの軍事作戦によりガザ地区は徹底的に破壊されました。私が目にした子どもたちへの影響の大きさは、言葉や数字だけでは伝えることはできません。その影響は世代を超えて続くでしょう。子どもたちは想像を絶する苦しみを経験しています。報告によれば6万4,000人以上の子どもが死亡または負傷し、5万8,000人以上が戦闘中に親を失っています。都市という都市が丸ごと瓦礫と化し、極めて重要なインフラが破壊されました。100万人の子どもが、子どもとして生きるには世界で最も危険な場所で日々の恐怖の中を生き延びてきました。彼らの心には、恐怖、喪失、悲しみの傷が残されています。
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衛生用品などの支援物資を積んだユニセフのトラックがガザに到着し、物資の確認をするスタッフ(パレスチナ、2025年10月9日撮影)(C) UNICEF/UNI876926/Nateel
ユニセフは停戦を受けて人道支援の規模を拡大しつつあります。私たちは、栄養不良、感染症、冬の寒さといった予防可能な脅威が刻一刻と迫る中で、子どもたちの命を守るため、時間と闘い続けています。飢きんに直面する中で栄養治療を拡充し、安全な水を給水車で避難先の家族に配り、毛布や衣類、そして避難所を提供しています。
火曜日には、生後8カ月のホールちゃんに会いました。彼女は重度の急性栄養不良を患っていましたが、ユニセフが提供する治療によって回復しつつあり、また、彼女の家族は現金給付支援によって地元市場で食料を購入できるようになっています。
私たちはまた、ガザの必要不可欠な社会サービスの修復と再建に向け、現地パートナーの支援を始めています。命を守るこうしたサービスを提供するシステムを再び機能させ、維持しなければなりません。これは、命を守るために必要な人材・場所・機材を備えた保健医療施設の再建と再整備をはじめ、定期予防接種の再開、地域の水道網の修復、重要インフラへの電力供給の復旧、感染症や栄養不良の予防に向けた現地パートナーの訓練、若年層向けの労働引換現金給付プログラム「キャッシュ・フォー・ワーク(cash-for-work)」の拡充など、多岐にわたります。
復興の初期段階において、教育の再開の重要性は、いくら強調してもしすぎることはありません。家族は、2年間も教育の機会を逃した子どもたちが、適切な学びの場に戻ることが、学びや癒し、希望、そしてコミュニティの長期的な結束の基盤になると理解しています。
ユニセフは、戦争中も10万人以上の子どもが再び対面授業を受けられるように支援し、現在は教育パートナーと共に、65万人の学齢期の子ども全員が学校に戻れることを目指しています。
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ゲームや歌を通じて、正しい手洗いを学ぶ子どもたち。ユニセフは避難所などで石けんを配布し、こうしたアクティビティを提供している(パレスチナ・2025年10月15日撮影)(C) UNICEF/UNI876926/Nateel
ユニセフは長期使用を前提とした仮設教室の設置や損傷した学校の修復を進めています。これは、安全な水、統合的なメンタルヘルスケアと社会心理的支援、子どもの保護など、あらゆる支援サービスを一つの屋根の下に集約した包括的な学校を再建するための準備の一環です。これにより、すべての子どもの心理的回復と安全を促進していきます。
復興への長い道のりは、国際社会の支援の下、すでにパレスチナの人々によって歩み始められています。しかし、この重要な取り組みを加速・拡大するためには、いくつかの約束が早急に履行されなければなりません。
停戦以降、ガザ地区へのユニセフの支援物資の搬入量は増加していますが、依然として十分とはいえません。
私たちは、ガザ地区への人道支援物資の安全かつ迅速で妨げのない搬入を求め、イスラエル当局に以下の対応を要請します。
- ガザ地区へ入るためのすべての検問所を同時に開放し、検査手続きをより迅速で効率的に実施すること。
- エジプト、イスラエル、ヨルダン、ヨルダン川西岸地区など、あらゆる供給可能ルートを通じた支援物資の搬送を認めること。
- 現地のニーズ分析に基づき、これまで拒否または制限されてきた物品を含む多様な支援物資の緊急搬入を許可すること。ユニセフの教育キットおよびメンタルヘルスケア・心理社会的支援キットは1年以上も阻まれています。これらのキットは、今すぐ搬入される必要があります。
ユニセフは、すべての当事者に対し、国際法および停戦合意に基づく義務を完全に遵守するよう求めます。民間人、特に子どもたちはいついかなる時も保護されなければなりません。避難を余儀なくされた人々は、状況が許ししだい速やかに、制限なくかつ本人の意思に基づいて安全に帰宅できなければなりません。人道支援従事者は、人々がどこにいようとも、安全かつ持続的に、また妨げられることなく支援を届けられる環境が確保されなければなりません。ガザ地区では対応できない、専門的かつ緊急の治療を必要とする子どもたちは、保護者と共に速やかに医療搬送されるべきです。
重要な復旧作業が始まる中、ガザにはかすかな希望が戻りつつあります。世界は、この停戦が失敗することを許してはなりません。時間はかかるでしょうが、平和と行動、そして一致した意思があれば、ガザに暮らす100万人の子どもの権利を最優先とする包括的な未来は実現可能なのです。
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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。(https://www.unicef.org )
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する32の国と地域を含みます
■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、32の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、アドボカシーを担っています。(https://www.unicef.or.jp )























