「これ言いたいだけで1日使っちゃった…」

 間もなく日付も変わろうとする2021年5月9日23時過ぎに、そんな「つぶやき」をTwitterに投稿したのはたばねさん。そこには、この日何かを調理していたことが推測される写真がそえられています。

 どんな画像かというと、1枚目には冷凍のパイシートを開封したと思われる形跡。そして2枚目には、それをオーブンで焼いています。と、ここまでは比較的よく見かける調理風景。

1枚目に写っていたのはパイシートを開封した様子のもの。

クリームを盛り付けて焼き上げ。

 ですが、今回結果として、5万を超えるいいねが寄せられた反響の「ヒント」が詰まっているのが3枚目の写真。先ほど焼き上げたパイを皿に盛り付けている様子なのですが、それは左端にひっそりと写し出されている程度。

皿に盛り付けて出来上がり……と思いきや、何やらチョコペンで試し書きしている形跡。

 それ以上に目立つのが、ラップの上に「中」らしき文字をチョコペンで赤く描いた形跡、さらにタブレット端末の画面上に、同様に「中」らしき文字が、白で囲われた縦長の何かの上に表示している様子。それらが写真の中央部に、とりわけ目を引くように写し出されているんです。ん……これはひょっとして……?

 筆者が、たばねさんが作り出したものの答えに「リーチ」をかけたところで、最後の写真に写し出されていたのは、正体である「パイ」の全容。

長方形に切り分けられて完成した「麻雀牌(パイ)」。

 先ほどのパイが長方形に切り分けられ、さらにクリームの上にこれまた先ほどの「中」が描かれています。なんという見事な出来“アガリ”写真でしょう。

 たばねさんがこの日作った「パイ」というのは、麻雀牌を模したその名も「麻雀パイ」。

 「元々麻雀牌を見て、黄色と白の『二層構造』がケーキみたいと以前から感じていたんです」と語るたばねさん。そんな背景もあってか、今回たまたま冷凍庫に余っていたパイシートを見てピコーン!

 すぐにタルト型にパイシートを入れて焼き上げ、白いチーズクリームを重ねて作り上げました。「中」に関しては本物の牌と同じ彫り込み文字のように、パイを冷やし固めた後、クリームの表面に埋め込むように描いたとのこと。

 ちなみに麻雀牌といえば、「中」と同じ字牌である三元牌のなかには「ハク(白)」と呼ばれる真っ白の牌も存在し、たばねさんも「コンセプト的にはそちらの方が合うんですが」と脳裏によぎったそう。

 とはいえ、そこは「趣味で『出オチ感』の強い雑貨を思いつきで作っています」というたばねさん。より「ネタ」が伝わりやすいよう、“無地のパイ”に中を「あてる」ことに。「中」の牌は「美しい女性の唇」を表している、という話もあり、結果的に口に入れる「牌のパイ」にはふさわしくなったかもしれません。

 結果としてこれが功を奏し、先述の通りの大反響となったわけですが、意外にこの作業は高難易度なものだったそう。リプライの中には、同じく三元牌の「發(はつ)」はないのか?という声もあったのですが、字の画数が多いこともあり、たばねさんは「難しすぎますね(笑)」とのことでした。

見た瞬間に「フフッ」となってしまう出オチ作品が都度話題になるたばねさん。

 そんなたばねさんは、今回のように即興で作り上げた作品を、自身のTwitterで「@_tabaneの作ったもの」としてモーメントとしてまとめています。そこにはいずれもたばねさんのいう「出オチ感」の強いものではあるものの、見ると思わずフフッとなる作品にあふれていますよ。

<記事化協力>
たばねさん(@_tabane)

(向山純平)