Facebookの運用元として知られるMeta社は4月14日、手描きのキャラクターをアニメーション化するキッズ向けAIツール「ANIMATED DRAWINGS」を公開しました。
描いたイラストをアップロードするだけで、簡単に動かせてしまうという、まさにAI時代のツール。今回はおたくま経済新聞でサムネイルイラストを担当することもある筆者が、どんな絵を動かすことが出来るのか、実際に描いて遊んでみました。
※本稿掲載の内容は記事公開時点2023年4月18日の情報です。
■ 遊び方はとにかく簡単 絵をアップロードするだけ
AIツールと聞くと、何だかとっつきにくいイメージがありますが、利用のための登録や面倒な操作は一切必要ありません。基本的な流れは「Webページにアクセスし、絵をアップロードする」これだけで、AIによるアニメーションが作れてしまいます。ちなみに今回はPCで遊んでみましたが、スマホでも同様に操作することができ、翻訳ツールにも対応していますよ。
まずはTOP画面を開いて、右下の「Upload Photo」をクリックし、動かしたいイラストをフォルダから選択します。イラストはお絵かきアプリで制作したものに限らず、紙などに描いた絵を写真で撮ったものでもOKです。ただし、複数のキャラクターは同時に動かせません。
なお、個人を特定する情報や攻撃的なコンテンツ、著作権侵害にあたるコンテンツは原則として使用しないようにしましょう。
次に「WOULD YOU LIKE TO HELP OUR RESEARCH?(私たちの研究を手伝ってくれませんか?)」と記されており、細かい内容をみていくとアップしたイラストを研究目的で使用したい旨への同意画面となっていました。同意の場合は「Agree」、同意しない場合は「Disagree」を選択しましょう。こちらは特に同意しなくても、次に進むことが出来ました。
すると、アップしたイラストが表示されるので、キャラクターが描かれている範囲を選択し、次に進むと体の中に棒状の線が現れます。これはキャラクターの関節のようなもので、肩や肘や手、膝や足と思われる部分が、自動でマークされるようになっています。もしも任意の場所を動かしたい場合や、位置のずれが気になるようであれば、手動にて変更しましょう。
ここまで終われば準備はOK。データの取り込みが終わると、この無機質なキャラクターが即座にヌルヌルと動き出しました。
アニメーションはあらかじめ決められたパターンから選択する形になりますが、歩いたり、ダンスをしたりとさまざま。スクリーンの中を、まるで命が吹き込まれたかのように元気に動くさまに、思わず笑顔になりました。
■ 他にどんな絵が動かせる?色々なパターンを検証
先ほどは顔や手足を持つキャラクターを動かしてみましたが、その他にはどんなイラストを動かせるのでしょう?
手始めに試したのは、落書きでお馴染みの棒人間。普段ペンを持たない方でもこれなら描くことが出来るでしょうが、こいつはどうだ……!?
なんと、ばっちり動いてくれました。胴体や関節をきちんとAIが認識し、問題なく動作しています。うーん、すごい。
次に、体のないキャラクターはどうでしょうか?丸い頭から手足が生えただけのキャラクターは、さすがに無理があるのでは、と思いましたが……。
なんとこちらも成功。胴体部分は頭の部分に凝縮され、手足だけがわさわさと動きます。多少腕の繋ぎ目に違和感がありますが、これくらいはまあ許容範囲でしょう。
最後に試したのは、等身の高いちょっとリアルなキャラクター。手足はしっかりしていますが、その分人間らしい複雑な動きをしなければ、納得は出来ません。早速動かしてみると……。
いや、めっちゃヌルヌル動く。手を振りながら左右に動き、華麗なダンスを披露してくれました。膝関節が非常に柔軟で、腕や胴体、足の前後関係も破綻なし。いやはやこれは驚きました。
ちなみに、ななめ視点のキャラクターや、手や足が重なっているイラストでは、上手く動かすことが出来ず。正面からの立ち絵が、最もなめらかに動作することが分かりました。
■ 今後はもっと複雑な動きがAIで作れるようになるのかも
無料の子ども向けツールかと思いきや、その性能は侮るなかれ。思っていた以上に瞬時にアニメーションを生成でき、色々なキャラクターを動かすことが出来ました。
描いたイラストがこんなにも簡単に、かつなめらかに動き出すとは。自分の描いたキャラクターが陽気に踊ったり、走ったりする様子はきっと子どもウケすること間違いなしのツールでしょう。
加えて、これからのAIの可能性にも非常に期待が持てる内容です。今回は選択肢の中から選ぶ簡易的な動作のみでしたが、今後はさらに細かい動作が、人の手を介さずに作れるようになっていくかもしれませんね。
<参考>
Meta「ANIMATED DRAWINGS
(山口弘剛)