集英社は10月31日、生成AIを利用した権利侵害への対応について声明を発表しました。
今秋、OpenAI社の生成AIサービス「Sora2」(動画生成モデル)が公開されたことを受け、アニメやキャラクターなど、著名コンテンツに酷似した映像がインターネット上で大量に確認された状況を踏まえたものです。
■ 「作家の尊厳を踏みにじる」と強い懸念 「オプトアウト方式以上の対策を」AI側に要求
声明では、これらの映像が「AIによる学習をベースとして生成されている」と指摘し、「作品を作り上げた作家の尊厳を踏みにじる」行為であると強い懸念を明示。
生成AIによる創作の広がりについては「歓迎されるべき」としつつも、権利侵害を前提とした創作活動が許容されるべきではないと断言しています。
こうした事態を受け、集英社は生成AIサービスを提供する事業者に対し、「オプトアウト方式以上の実効的な侵害対策、権利者に対する救済策」を早急に講じるよう要求。
現在多くのAI企業は、権利者側が自ら学習対象からの除外を申請するオプトアウト方式を採用していますが、同社はこれでは十分とはいえないとしています。
また、「法整備を含めた国家レベルでの対応が不可欠」とし、政府にもコンテンツ保護強化を働きかけていく姿勢を示しました。
■ 厳正対応と創作環境維持へ
集英社は今後の方針として、生成AIの利用有無にかかわらず、自社作品の権利侵害が確認された場合には「適切で厳正な対応を取る」と説明しています。さらに、著作権者や関係団体と連携し、持続可能な創作環境の構築・維持に向けて積極的に取り組むとしています。
生成AI技術の進化により、創作の可能性は飛躍的に広がる一方、作品の無断学習や模倣に関する議論は国内外で高まっています。今回の声明は、国内出版大手による明確な立場表明として、今後の業界や政策動向に影響を与える可能性があります。
<参考・引用>
集英社HP「生成AIを利用した権利侵害への対応について」
(山口弘剛)








































