2019年2月10日から2月16日にかけて、自衛隊の制服組トップである河野克俊統合幕僚長がオーストラリアとニュージランドを歴訪。両国のカウンターパートとなる参謀長級会談や部隊視察を通じ、自由で開かれたインド太平洋地域構想や、この構想に貢献する自衛隊の活動について発信する防衛外交を行いました。
2月10日に日本を発った河野統幕長は、2月11日にオーストラリアに到着。夫人を伴ってオーストラリア空軍第33飛行隊のKC-30A(エアバスA330MRTT)に乗り、部隊視察先のクイーンズランド州アンバーリー空軍基地に到着しました。
アンバーリー空軍基地には戦闘支援集団の司令部があり、また過去に空軍で運用していた航空機を保存(一部は動態保存)・展示するヘリテージ・センターも併設されています。河野統幕長は空軍の制服トップであるメル・ハップフェルド空軍統合作戦部長の案内で、C-17輸送機を視察。
災害派遣などに使われるC-17の機内では、空軍の災害援助や人道支援に関する取り組みを紹介するビデオなどを通じて、オーストラリア軍の海外における貢献についてのレクチャーを受けました。
河野統幕長一行は、次にオーストラリア陸軍最大の部隊である第1師団長を務めるジャスティン・エルウッド少将と面会。やはりオーストラリア軍や自衛隊の国際貢献におけるあり方について意見を交わしました。
2月13日にはニュージーランドに移動し、同じくニュージーランド軍の高級幹部と二国間会談や部隊視察を行っています。河野幕僚長一行は2月16日に帰国しました。
外交官による文民外交も重要ですが、大きな力を持つ実力組織の方も、普段から交流を深め、いざという時に協力し合う体制を作るのはとても大事なこと。特にオーストラリアとニュージーランドは、太平洋やインド洋を囲む「インド太平洋地域」において重要な立場を占める国。この地域は自然災害も多く、日本を含めた多国間による災害救援活動や人道支援活動も行われるため、制服組トップ同士の交流は大事です。文民による外交だけでなく、このような武官同士の防衛外交も、統合幕僚長の重要な仕事なのです。
Image:Commonwealth of Australia, Department of Defence
(咲村珠樹)