長期保存ができるため、災害に備えて備蓄されることも多い缶詰。最近はプルトップ式の缶が増え、缶切りなしでも開けられるようになりましたが、缶切りが必要なものも健在です。

 被災した際、缶切りが必要な缶詰があるのに、缶切りが手元にない!という事態も考えられます。こうした時、缶切りを使わず缶を開ける方法を自衛隊熊本地方協力本部がTwitterで披露しました。

 自衛官の募集や退職する自衛官の再就職援護、学校や企業による研修・見学の窓口に広報など、一般社会と自衛隊とを橋渡しする役割を担う地方協力本部。熊本地方協力本部は熊本市内の本部のほか、県内11か所の地域事務所などで活動しています。

 今回、熊本地方協力本部の公式Twitterが披露した「缶切りなしで缶詰を開けるライフハック」。渉外広報室の担当官にうかがうと、演習などで缶入りの戦闘糧食(缶メシ)を食べる際、ほかに缶を開ける方法がない時の最終手段として、非公式に語り伝えられているものなのだそうです。

 方法は非常にシンプル。コンクリートなど、適度に荒れた固く平らな面に缶詰のフタ部分を押しつけ、ゴリゴリとこすります。

缶詰のフタをコンクリートに押しつけこする(自衛隊熊本地方協力本部提供)

 力加減やこする面の荒れ方、硬さにもよりますが、3分〜5分ほど続けます。そして缶の側面を押すようにすると……パカッとフタが弾けるように開きました。

側面を押してフタを開ける(自衛隊熊本地方協力本部提供)

 この原理は、缶詰の構造が関係しています。缶詰は側壁に当たる缶本体とフタ部分を組み合わせ、外側にクルクルと巻き込むように留めて密封されているという仕組み。

缶詰の構造略図(赤い部分が削れてフタが開く)

 こすり付け続けると、ちょうどコンクリートがヤスリの代わりになり、フタの縁部分が削り取られて封が解かれる形に。これにより、側面を押すとフタが押し出されるように開くのです。

 この方法を試す際、注意点をうかがうと「アスファルトのような荒れた表面だと短時間で開くようですが、断面が鋭利になるので注意が必要です。コンクリートのような、あまり荒れていないところであれば、時間はかかりますが断面はきれいになります」とのこと。

 それ以外にも「作業をする際は、必ず軍手をすること。また、地面等でこすりますので、石などの異物が入る可能性があります。食べる時は注意が必要です」とも教えてくれました。

 どうしても金属を削るため、切り口は刃物のように鋭くなる危険があります。けしてフタを手で触らず、側面を押して変形させ、フタを押し出すように開けることが重要です。

 このほか、フルーツ缶など液体が多く入っている缶詰の場合、フタを押し開けると同時に中の液体も大きくこぼれますので、周囲に気を配るようにした方がよさそうです。

 もちろん、この方法を使うほどの緊急事態にならない方がいいのですが、いざという時のため、覚えておくと心に余裕ができるかもしれませんね。

<記事化協力>
自衛隊熊本地方協力本部(@kumamotopco)

(咲村珠樹)