金属でできたフグを何やら手で触っていると、あっという間に鳥に変身!?この様子がツイッター上に動画で紹介されるや、7400件以上「いいね」されるほど話題を呼んでいました。リツイートでは「背ビレがトサカに変わる瞬間がたまりません」「男心がくすぶられた」「まさかそう変わるとは!!」など、見事なトランスフォームに心を奪われた方も多いようです。

https://twitter.com/hau9000/status/1112721356620062721

 「可変金物」と呼ばれるこの金工作品の作者は坪島悠貴さん。彫金技法、CADによる設計、3Dプリントなどの技術を組み合わせて制作されています。ちなみに話題となった作品の名前は「可変福良鳳凰(カヘンフクラホウオウ)」。

 とはいえ、少々事情があり、もともと縁起が良いとされるフグと、寒い時期に羽毛を膨らませている「福良(ふくら)雀」がモチーフになっているとか。しかしながら、トランスフォームの都合上トサカや尾羽がつくことから「鳳凰にした方がさらに縁起もよくいいかなと思ったので、福良雀のふっくらした可愛さを残しつつ鳳凰として制作し、作品名も福良鳳凰にしました」と教えていただきました。



 そもそも、どうしてこのような変形する作品を作るようになったのか?きっかけを聞くと「これまでは、虫などをモチーフにした固定式の置物作品を作っていたのですが、花影抄というギャラリーで根付作品を集めた展示に誘っていただいた際、根付としては壊れやすくて使えないパーツを全て殻の中に収納することができる”羽化”という作品を作ったのがきっかけになりました。それまで作品の独自性を探っていたところ、この作品がわりと評判が良かったこともあり”変形”というテーマでやっていこうと思えたのです」とのこと。


 そして、前に金魚から鶏に変形する「可変金鶏」という作品を制作した際に「魚と鳥という同じモチーフを今の技術で作り直す」ということをテーマにしたため、今回の作品が作られたそうです。


 「設計段階では仮説でしかなかった機構が、作品が完成してはじめてちゃんと機能すると確認できた瞬間にはそれまでの苦労が報われる気がします」と語る坪島さん。今のところ確定した展示予定はないそうなのですが、「新作が完成するころに根津にある花影抄というギャラリーで、新作発表会という感じで小規模な展示をやっていただくかもしれません」とちょこっとだけ予定を教えていただきました。開催は決まり次第、坪島さんのツイッターなどで告知されます。気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。

<記事化協力>
坪島悠貴さん(Twitter:@hau9000 / Gallery 花影抄・根津の根付屋HP(作品ページあり):hanakagesho.com

(黒田芽以)