『J9シリーズ』と聞いて、一体何人の人がその胸を熱くするのだろうか……。
長く長く、本当に長い間ファンを待たせ続けたJ9シリーズの新作といっても過言ではない、オリジナルアニメーション『銀河神風ジンライガー』の企画開発・制作を目的に、任意団体「GDWプロジェクト」の発足が4月8日発表された。
J9シリーズとは、テレビ東京で1981年から1984年の間に放送された『銀河旋風ブライガ―』『銀河烈風バクシンガ―』『銀河疾風サスライガ―』からなる全3作の総称。近未来を舞台にしたSFロボット作品で、主要声優を塩沢兼人、曽我部和恭、麻上洋子、森功至らが共通しているのも特徴だ。
そして最たる特徴としてはそれぞれにモチーフが存在すること。『銀河旋風ブライガ―』は必殺シリーズ、『銀河烈風バクシンガ―』は新撰組、『銀河疾風サスライガ―』は八十日間世界一周、そして今回発表された『銀河神風ジンライガー』では水滸伝がモチーフとされている。
今回のプロジェクトの発起人は、J9シリーズで、原案やシリーズ構成を担当した山本優氏。
なお、発表では「このプロジェクトが制作しようとする作品は、J9シリーズを制作・版権保有している国際映画社とは一切関係が無い」とされており、そのため『銀河神風ジンライガー』は正しくはJ9シリーズの新作という位置づけではない。
ただし、スタッフに関しては、発起人の山本優氏及び、J9シリーズでタッグを組んだ山本正之氏が音楽で参加するなどシリーズの核はそのまま。また、山本優氏によると本作は「キャラクター、ストーリーはオリジナル性の強いJ9テイスト」とのことなので、『新J9』と呼んで違いない。
そしてスタッフとして今回新たにキャラクター・メカニック・美術全般担当として村瀬観鳳氏を迎え入れることも決定している。
現時点では、間もなく始動する『銀河神風ジンライガー』の原作や、世界観などの初期コンセプト等を鋭意創作している状況であり、また同時に、プロジェクトの具体的な活動計画を策定中とのこと。
初期段階では、東京都中野区地域を拠点とし、小規模なイベント開催から活動を開始することが予定されている。具体的な内容については近日発表予定。
参考:
『銀河神風 ジンライガー』Twitterアカウント:@jinraiger_gdw
『銀河神風 ジンライガー』Facebookページ:jinraiger
以下は、発起人であり代表をつとめる山本優氏のコメント全文。
■銀河神風ジンライガー制作プロジェクト設立趣意
このたびGalaxy Divine Windプロジェクトを立ち上げました。
わたしの40年の脚本執筆活動のなかで、もっとも多いのがアニメ作品です。なかでも原作・シリーズ構成・脚本として関わったJ9シリーズ(『銀河旋風ブライガー』『銀河烈風バクシンガ―』『銀河疾風サスライガー』)は、『機動戦士ガンダム』とならぶ私の代表作となりました。
放映から30年を経た今も、多くのファンに楽しんでいただいています。
当時のコアファンをはじめ、若い世代にも伝説のアニメシリーズとして根強い支持をえていることがわかりました。
これまでシリーズの制作再開の機運が幾度かありましたが果たせず、旧制作会社もその意思もなく協力をえられないことが判明しましたので、まったく新しい体制で新J9プロジェクトを開始することにいたしました。
新作『銀河神風ジンライガー』は、『水滸伝』をモチーフにしていますが、キャラクター、ストーリーはオリジナル性の強いJ9テイストになっています。アニメ制作をとりあえずの目標にしていますが、それまでにコミック化、ラノベ化、原画展、コンサート、コスプレ大会、舞台化など多方面のイベントも展開してまいります。
当プロジェクトの目的の一つに、オリジナル・アニメの復活があります。
かつて、J9シリーズをはじめとしてオリジナル・テレビアニメの黄金時代がありました。コミックの原作によらない純粋にテレビアニメから生まれたシリーズです。しかしその後は人気漫画原作のアニメ化が支配的になって、現在に至っています。その現象は、アニメ脚本家を絶滅危惧種においやろうとしています。優れた原作ならシナリオは切り貼りした作業でよく、それ以上のオリジナル性は必要とされません。すでに大手のアニメ制作会社はそのシフトに入っています。
こうした現状からは、アニメの脚本家は育ちません。ましてアニメで原作原案を担う有為の人材は輩出されません。機会そのものが閉ざされてしまうからです。
当プロジェクトが、そうした現象に一つの道を拓く先例になればと思っています。
アニメ化を推進しながら「実践アニメ塾」を開講し、後進の育成を図ります。教材は『銀河神風ジンライガ― 』です。受講生にはデビューの途を用意します。かつて私は自分の扱う作品で、少なくない人材をデビューに導きました。(金子修介、武上純希、会川昇などです)このアニメ塾でも、実践に即して逸材を発掘したいと考えています。
モチーフの水滸伝同様、多くの人材を結集します。力量がありながら活躍の場を閉ざされた人、アニメ制作に携りたいのに進路を見いだせない人、そして応援したいのになかなか気に入った新作が出てこないのに不満なアニメファン。そして今でもJ9を愛し、続編を熱望してくれているJ9ファンに、あらたに集いはしゃげる場を提供するために。
このプロジェクトは、ささやかなトークショーから始まります。
ゲストは私と作詞作曲のコンビを組んでJ9に貢献してくれた畏友・山本正之。今回の新作にも参入してくれました。
そして新進気鋭の村瀬観鳳。彼はキャラ、メカ、美術など全般にわたってデザインを担当する画家です。今回はコミックでもコンビを組みます。(以上、敬称略)
すでに周囲には熱い同志が続々と集結しています。
アニメ界に新たな風をおこせるかは私どもの今後の努力にかかっています。
皆様の、ご支援ご協力を伏してお願い申し上げます。
GDWプロジェクト代表
山本優
訂正:村瀬観鳳氏の名前表記に誤りがありました誤)村拆観鳳→正)村瀬観鳳 訂正してお詫び申し上げます。