おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

マンガ・アニメの海賊版大規模削除作戦ついに始動!―年間被害額は中国5600億、米国2兆円と推計

 マンガ・アニメの海賊版大規模削除作戦がついに7月30日、正式発表された。この作戦は28日NHKなどで報じられ、国内はもとより海外でも注目されていたもの。

  • 【関連:アニメ海賊版サイトに国が大規模駆除作戦実施 被害は中国からだけで約5600億】

    ■プロジェクト名は『MAG(Manga-Anime Guardians)PROJECT』

     作戦を発表したのは『マンガ・アニメ海賊版対策協議会』。この協議会には、作戦発起人でもある経済産業省の呼びかけに賛同した、日本の出版社及びアニメ関連企業15社が委員として参加している。

     この作戦は、『MAG(Manga-Anime Guardians)PROJECT』と名付けられており、国内外のファンに“Manga-Anime Guardians”となってもらい、日本が誇るマンガ・アニメを全世界で守り、さらなる良質な作品を生むプロジェクトとして位置づけられている。プロジェクトの事務局は『一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構(CODA)』 がつとめる。

    ■約5ヶ月間集中的に実施 従わない場合には各国裁判所で訴訟も辞さない

     今回発足した『MAG(Manga-Anime Guardians)PROJECT』では、これまで無法地帯となっていた、海外の海賊版サイトに対し、8月1日(金)から、マンガ約500作品/アニメ約80作品を対象に約5ヶ月にわたり集中的な削除要請をかけていくという。

     また、今発表文には掲載されていなかったが、読売新聞の30日報道によると、削除要請をして従わなかった場合には、現地裁判所での訴訟も辞さないことが各サイトに伝えられるという。

    ▼削除対象サイト
    ・マンガ:オンラインリーディングサイト、ストレージサイト、トレントサイト
    ・アニメ:UGCサイト(動画共有・投稿サイト)、ストレージサイト、リーチサイト、トレントサイト

    ■作戦を実施する背景―被害額は年間中国で5,600億、米国で2兆円

     プロジェクトの発表文によると、これまでマンガ・アニメの海外展開には、海賊版の存在が大きな障害の一つになっていたと説明されている。

     具体的な根拠として、文化庁が平成24年度に行った調査では、中国主要都市(北京・上海・広州・重慶)における日本コンテンツの被害額は年間約5,600億円と推計、そして経済産業省が平成25年度に行った調査では、米国における被害額は約2兆円の推計だったと説明されている。

    ▼参考資料
    文化庁調査による推計(2013年発表)平成24年度文化庁委託調査海外における著作権侵害等に関する実態調査(中国)
    【PDF】経済産業省調査による推計(2014年発表)平成25年度経済産業省委託調査コンテンツ海賊版対策調査

    ■海賊版ユーザーを正規版に誘導する施策

     今回の作戦で最も影響を受けると考えられる海賊版ユーザーに対しては、正規版サイトに誘導しやすくする仕組みを構築するという。
    その施策とは、海外ユーザーがマンガ・アニメの正規版リンクを見つけやすくするための、「正規版リンク集サイト」のオープン。
    サイト名は『Manga-Anime here』となっておりこちらは7月30日からオープンしている。アクセスはパソコン、スマートフォンから可能。

    ■進撃ミカサ、クリィミーマミなどが登場する「普及啓発」動画公開

     今プロジェクトでは「普及啓発」も実施される。
    活動第1弾ではスペシャル動画『Thanks, friends』の配信を『Manga-Anime here』などを通じてスタート。

     動画には、『鉄腕アトム』のアトム、『名探偵コナン』の江戸川コナン、『ONE PIECE』のポートガス・D・エース、『進撃の巨人』のミカサ・アッカーマン、『魔法の天使クリィミーマミ』のマミなど、出版社・アニメ製作会社の枠を越え、54年にわたり人気を博してきた全42作のキャラクターが登場して、『マンガ・アニメを愛するみんなへ。』“ありがとう”とメッセージを送る内容になっている。

     またこの動画では「ありがとう」(作曲・編曲:寺田志保協力:Lantis)をテーマにした完全オリジナルの楽曲を、JAM Project(メンバー:影山ヒロノブさん、遠藤正明さん、奥井雅美さん、きただにひろしさん、福山芳樹さん)や石田燿子さん、佐咲紗花さん、米倉千尋さんが歌っている。

    ■海外の反応

     NHKの28日報道により、この話題は海外掲示板やSNSで既に話題となっている。特に中国では「日本はバカだなこれでファンが減る」「市場を縮小させる」といった批判的な声もあれば、「正規版が格安なら問題ない」「支持したい」といった声、そしてお国柄の問題もあってか「正規版を誘導されても中国から観られるのか?」という規制を懸念する声など様々な意見が見られた。

    あわせて読みたい関連記事
  • 「サイト別」海賊版相応商品件数
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    春アニメ5作品に「海賊版相応商品」841件 総額2220万円分を確認

  • ニュース・話題

    漫画村の件で漫画家・星野ルネさん誤解される ネットからは声援も

  • ニュース・話題

    海賊版を利用しちゃえ!「マンガ図書館Z」で海賊版サイト撃滅に向けた実証実験を開始…

  • 弘津健康氏のFacebookページより
    ゲーム, ニュース・話題

    本物の開発会社を騙った何者かが、Amazonアプリストアで海賊版リリース

  • アニメ/マンガ, ニュース・話題

    アニメ海賊版サイトに国が大規模駆除作戦実施 被害は中国からだけで約5600億

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 北海道産のチーズを2種類使った秋冬限定フレーバー「かっぱえびせん 北海道Wチーズ味」
    商品・物販, 経済

    北海道産チーズのW使い!「かっぱえびせん 北海道Wチーズ味」がこの秋登場

  • クリスプ のりしおバター味
    商品・物販, 経済

    カルビー、「クリスプ のりしおバター味」発売 レアな“ホシ型クリスプ”も登場

  • 特別災害対策本部車(国土交通省)
    社会, 経済

    消防車も自衛隊車もNERVも! 防災車両がずらり「ぼうさいモーターショー2025…

  • ウィキペディアのページビュー
    インターネット, サービス・テクノロジー

    AI時代でウィキペディア苦境 人間の閲覧数8%減、財団が警鐘

  • ChatGPTが“全年齢対応AI”を卒業? アルトマン氏が語った「成人向けエロティカ解禁」方針
    インターネット, サービス・テクノロジー

    ChatGPTが“全年齢対応AI”を卒業? アルトマン氏が語った「成人向けエロテ…

  • ガンホー「ケリ姫スイーツ」2026年1月末に終了 2012年配信開始から13年
    ゲーム, ニュース・話題

    ガンホー「ケリ姫スイーツ」2026年1月末に終了 2012年配信開始から13年

  • トピックス

    1. 目指せ去勢マスター!「繁殖」テーマのローグライクゲーム爆誕

      目指せ去勢マスター!「繁殖」テーマのローグライクゲーム爆誕

      海外の映画やゲームが日本向けにローカライズされる際、タイトルも和訳されることもしばしばですが、「あま…
    2. 実家の一室をレトロゲームショップ風に改造 本物の什器も揃えた昭和男児の夢空間

      実家の一室をレトロゲームショップ風に改造 本物の什器も揃えた昭和男児の夢空間

      一歩足を踏み入れると、そこはまるで平成初期のゲームショップ。ショーケースにはファミコンソフトがずらり…
    3. ケーキの上は只今工事中!3歳のわが子に作った「工事現場ケーキ」が楽しそう

      ケーキの上は只今工事中!3歳のわが子に作った「工事現場ケーキ」が楽しそう

      「はたらくくるま」が好きな人に刺さること間違いなしな「工事現場ケーキ」がXで話題です。説明がなければ…

    編集部おすすめ

    1. カービィのエアライダー、桜井政博こだわりの「酔い対策」が話題 アクセシビリティ配慮に称賛の声

      カービィのエアライダー、桜井政博こだわりの「酔い対策」が話題 アクセシビリティ配慮に称賛の声

      2025年10月23日22時より配信されたNintendo公式番組「カービィのエアライダー Direct 2」にて、ゲームクリエイター・桜井…
    2. 「なぜ誹謗中傷は起きたのか」 にじさんじ運営が加害者心理を公表

      「なぜ誹謗中傷は起きたのか」 にじさんじ運営が加害者心理を公表

      ANYCOLOR株式会社は10月22日、所属ライバーである甲斐田晴さんをめぐる極めて悪質な誹謗中傷・荒らし行為への対応結果を、加害者側の意識…
    3. 「バック・トゥ・ザ・フューチャー」公開40周年 タイムサーキット型時計が登場

      「バック・トゥ・ザ・フューチャー」公開40周年 タイムサーキット型時計が登場

      株式会社Gakken(学研ホールディングスグループ)は、同作の映画公開40周年を記念して、劇中の「タイムサーキット」を再現した時計「バック・…
    4. 電気通信大学が注意喚起 京王線の車内広告に何者かが不審なQRコード“貼り付け”か

      電気通信大学が注意喚起 京王線の車内広告に何者かが不審なQRコード“貼り付け”か

      電気通信大学が10月21日朝、公式Xアカウントに声明を掲載。「京王線車内の本学の広告にQRコードは記載しておりません」と述べ、車内広告にQR…
    5. 特別災害対策本部車(国土交通省)

      消防車も自衛隊車もNERVも! 防災車両がずらり「ぼうさいモーターショー2025」10月26日開催

      東京臨海広域防災公園(東京都江東区有明)で、10月26日に「ぼうさいモーターショー2025」が開催されます。警察や消防、自衛隊をはじめ、通信…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト