おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

春アニメ5作品に「海賊版相応商品」841件 総額2220万円分を確認

 2025年春アニメ5作品に関連する海賊版相応商品の出品状況について、デジタルエコノミー支援を行うアディッシュ株式会社が「海賊版相応商品の出品傾向パトロール調査」の結果を公表しました。

 調査期間は2025年5月1日から31日までの平日20日間で、対象となったのは2025年4~6月期放送開始アニメの中から放映前期待度の高い5作品。調査の結果、確認された海賊版相応商品の件数は841件、総販売価格は2220万円に上りました。

  • ■ 海賊版商品の割合は9.2%、最多は「サイトX」

     今回の調査では、各作品名やキャラクター名をキーワードに、1日あたり15分ずつ、3つの海外ECサイトをランダムに巡回。総確認件数は9148件で、そのうち841件(9.2%)が海賊版相応商品と判断されました。なお、正規品の転売や二次創作画像を使用した商品は対象外とされています。

    「サイト別」海賊版相応商品件数

     サイト別では、もっとも多く海賊版相応商品が確認されたのは「サイトX」で、569件にのぼりました。次いで「サイトY」で256件、「サイトZ」で16件という結果となりました。

     サイトXは海外発の日本での利用者が多いECモールであることから、出品点数自体が多く、正規流通品も多かったことが影響したとみられます。

     一方、海外発で近年日本人の利用が増えているECモールのサイトYは確認件数が少ないながらも、海賊版相応商品の割合が13.0%と高く、正規品数の少なさがその背景にあると分析されています。

    海賊版相応の割合

    ■ 作品別では差 続編作品に集中傾向

     調査対象とした作品A~Dを作品別でみると、作品Dを除いて海賊版相応商品数は100~200件台に集中しましたが、そのサイト内訳には明確な偏りがありました。とくに作品Cと作品Eは、サイトYで約6割の海賊版相応商品の出品が集中しており、一方で、作品AやDは海賊版相応商品があまり確認されなかったとのこと。

    「作品別」海賊版相応商品件数

     これは作品B、C、Eはいずれも過去作品の続編であったため、海外業者による認知の早さが影響した可能性が考えられています。反対に、作品AやDはシリーズ初出作品ならではの“タイムラグ”が要因と考えられています。

    ■ 総販売価格は2220万円 最高額は4万8900円のコスプレ商品

     海賊版相応商品841件の価格情報も算出され、掲載されていた全バリエーション(色違いやサイズ違いを含む延べ6933件)の合計販売価格は、実に2220万円に達しました。なお、サイトZはドル表記のため確認された165件は含まれていません。サイトX・Y上のみでのみなし販売価格となっています。

    「作品別」海賊版相応商品の総販売価格

     なお、最も高額な商品は作品Aのコスプレ商品で、4万8900円。販売価格の中央値は2400円で、作品A登場キャラクターのウィッグがそれに該当します。

     この調査では1作品あたり1日15分、合計20日間の巡回時間でこの数字が出ましたが、出品される商品数は日々変化していることから、実際の総額はさらに高くなる可能性があるとのことです。

    ■ 海賊版商品の見極めは困難 継続的な巡回と通報がカギに

     アディッシュは、公式商品やライセンス商品と見分けがつきづらい海賊版商品が流通した場合、正規品の売上減少やブランド毀損、社会的信用失墜のリスクがあると指摘。特に海外のECサイトでは、正式名称とは異なる略称や独自名称で商品が出品されるケースも多いため、継続的な巡回により効果的なキーワードの蓄積と検知の高度化が必要だとしています。

     同社は、こうした課題に対応するため、模倣品・海賊版商品を対象とした「パトロールサービス」を提供。対象サイトを特定し、作品ごとに時間を決めて有人で巡回し、権利侵害の可能性がある商品を企業側に報告する仕組みを整えています。

     今後は続編アニメの放送やグッズ展開に伴い、さらに海賊版商品の出品が活発化する可能性もあります。業界全体での迅速かつ継続的な対策が、正規品流通の健全性を守る上で鍵となりそうです。

    あわせて読みたい関連記事
  • ニュース・話題

    漫画村の件で漫画家・星野ルネさん誤解される ネットからは声援も

  • ニュース・話題

    海賊版を利用しちゃえ!「マンガ図書館Z」で海賊版サイト撃滅に向けた実証実験を開始…

  • 弘津健康氏のFacebookページより
    ゲーム, ニュース・話題

    本物の開発会社を騙った何者かが、Amazonアプリストアで海賊版リリース

  • アニメ/マンガ, ニュース・話題

    マンガ・アニメの海賊版大規模削除作戦ついに始動!―年間被害額は中国5600億、米…

  • アニメ/マンガ, ニュース・話題

    アニメ海賊版サイトに国が大規模駆除作戦実施 被害は中国からだけで約5600億

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 例のあの和菓子、都道府県別の呼び方
    社会, 雑学

    全国で呼び名はどう違う?「今川焼」が19エリア制覇 ニチレイが“勢力図”を公開

  • 楽天モバイル、シニア向けに「オレオレ詐欺対策保険」を無料提供開始
    企業・サービス, 経済

    楽天モバイル、シニア向けに「オレオレ詐欺対策保険」を無料提供開始

  • Francfrancの「ビッグマックスープジャー」入り マクドナルド福袋2026が抽選受付スタート
    商品・物販, 経済

    Francfrancの「ビッグマックスープジャー」入り マクドナルド福袋2026…

  • チャコットが初の「ポケモン」コレクション発売へ 2026年1月23日スタート
    ゲーム, ホビー・グッズ

    チャコットが初の「ポケモン」コレクション発売へ 2026年1月23日スタート

  • 静岡新球団で何が起きているのか ハヤテ223とくふうHDがネーミングライツ巡り対立
    企業・サービス, 経済

    静岡新球団で何が起きているのか ハヤテ223とくふうHDがネーミングライツ巡り対…

  • カルビー「超薄切り」シリーズに冬限定“しあわせバタ~”登場 12月8日発売
    商品・物販, 経済

    カルビー「超薄切り」シリーズに冬限定“しあわせバタ~”登場 12月8日発売

  • トピックス

    1. 運営者の終活で老舗CGIサイトが終了へ 1995年開設「CGI RESCUE」、2026年3月に幕

      運営者の終活で老舗CGIサイトが終了へ 1995年開設「CGI RESCUE」、2026年3月に幕

      1995年から続く老舗CGI配布サイト「CGI RESCUE」が2026年3月末での終了を発表しまし…
    2. 違和感満載のサイケな銭湯でほっこり入浴 蒲田で開催「脳汁銭湯」体験レポート

      違和感満載のサイケな銭湯でほっこり入浴 蒲田で開催「脳汁銭湯」体験レポート

      旧き良き銭湯が異次元の入浴空間に変身するイベント「脳汁銭湯」が、11月26日から12月7日まで東京・…
    3. この涙は懐かしさ……なのか? 展示「あの職員室」で特大感情を揺さぶられたレポート

      この涙は懐かしさ……なのか? 展示「あの職員室」で特大感情を揺さぶられたレポート

      学生時代、入りたくても入れない「聖域」のような場所だった職員室。その風景を再現し、自由に探索できる展…

    編集部おすすめ

    1. 例のあの和菓子、都道府県別の呼び方

      全国で呼び名はどう違う?「今川焼」が19エリア制覇 ニチレイが“勢力図”を公開

      全国で呼び名が分かれる“中に具材を入れて焼いた円形の厚焼き和菓子”について、株式会社ニチレイフーズが47都道府県別に最も多く使われている呼称…
    2. セブン×ちいかわ「鬼辛カレー」を実食!全身が真っ赤に染まるのも納得の辛さ

      セブン×ちいかわ「鬼辛カレー」を実食!全身が真っ赤に染まるのも納得の辛さ

      セブン‐イレブンで12月2日から始まった「ちいかわと冬をたのしんじゃお!」キャンペーンで、作中に登場した「鬼辛カレー」が発売中。原作で話題の…
    3. 楽天モバイル、シニア向けに「オレオレ詐欺対策保険」を無料提供開始

      楽天モバイル、シニア向けに「オレオレ詐欺対策保険」を無料提供開始

      楽天モバイルと楽天損害保険は12月1日、「最強シニアプログラム」を強化し、オプションパック「15分かけ放題&安心パック」加入者を対象とした「…
    4. 静岡新球団で何が起きているのか ハヤテ223とくふうHDがネーミングライツ巡り対立

      静岡新球団で何が起きているのか ハヤテ223とくふうHDがネーミングライツ巡り対立

      静岡県を拠点とし、プロ野球ウエスタン・リーグに参加している新球団「くふうハヤテベンチャーズ静岡」を巡り、ネーミングライツ契約を含む資本業務提…
    5. 事業者向け「ASKUL」Web注文、12月第1週に再開 “明日来る”配送は当面遅れる見込み

      事業者向け「ASKUL」Web注文、12月第1週に再開 “明日来る”配送は当面遅れる見込み

      アスクル株式会社は11月28日、10月19日に発生したランサムウェア攻撃によるシステム障害の復旧状況について第11報を公表しました。 事業所…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト