リブレ出版から10月9日に発売されたBLマンガ誌『特濃b-BOY(1)調教特集』において、マンガ家のはらだ氏の許諾を得ることなく、氏の作品を無断掲載していたことが同社の発表により明らかとなった。
リブレ出版は10月10日に事態を公表。10月13日には回収および、担当編集者はじめとする関係者の処分なども公表している。
【関連:ツイートの無断転載本は有りか無しか?『アホ男子かるた』大炎上のその後】
■作家・編集部の双方に「嘘」
発表によると、問題となった掲載作品は、担当編集者自身の独断で原稿の改変・改題を行い、無許諾で掲載していたことが判明。はらだ氏に対しては「執筆依頼自体」なされていなかったという。
▼お詫びとお知らせ(2015.10.10)
▼お詫びとお知らせ(2015.10.13)
発表文と別に掲載された『特濃b-BOY(1)調教特集 回収までの経緯』では、担当編集者がはらだ氏と編集部双方に対し「嘘」の報告を行っていたことが詳細に記されている。
例えば、編集部に対して10月2日には、はらだ氏からからの連絡で「実は12枚の原稿は同人誌をリメイクしたものである。昔の線を補正・セリフやキャラクターを変更して仕上げた。作品を削除して欲しい」と、はらだ氏都合の削除要請があったと報告。
逆に、はらだ氏に対しては10月7日~8日の夜に、無断掲載が起こった事を口頭で伝え「事を起こした犯人がいる、必ず捜す」など言っていたという。
他にも、10月7日の発売直前には、デスク(編集部スタッフ)が直接はらだ氏に面談したいと打診したところ「当該編集者のみはらだ先生にお会いいただけることになった」「先生がデスクに会うことを恐がっている」と説明し、会わせないよう工作していた節が見受けられる。
その後問題は10月8日の夜に大きく動き出す。一連の報告を受けていた同社代表取締役社長の太田歳子氏が、事態の推移に懸念を抱き外部協力者を介してはらだ氏とコンタクトをとってみた。すると、双方の内容に「齟齬」があると判明。その後、直接連絡を通じて事実関係が把握できたという。
▼特濃b-BOY(1)調教特集 回収までの経緯
■該当書籍の回収 担当編集者は懲戒解雇
同社はこの事態を重くうけとめ、該当書籍を10月9日に出荷停止決定および、取次会社への回収打診を実施。10月13日より回収手続きを開始し、購入した人に対しては、返金対応を行っている。
また、担当編集者は10月10日に「すべて自分の所業であり、先生と編集部の双方に異なることを話していた」と認めたため、同日付で懲戒解雇処分に。さらに各責任者に対しては、代表取締役社長を「減俸」、その他を「降格および減俸」処分としている。
担当編集者の懲戒解雇にあたっては他にも、今後二度と同じ事を起こさせないため、誓約書で「今後、出版業をはじめとするコンテンツ制作業に従事し同様の問題を起こさないこと」といった内容に同意させているという。
■作家を孤立させないホットライン設立へ
同社は発表文を通じ、読者はじめ関係する全てに対し深く謝罪するとともに、今回の問題に至った背景には「作家を孤立させてしまう体制」にも原因があったと説明。今後、体制を早急に見直すべく「作家様が担当編集者以外の編集部スタッフにも連絡できるホットラインを検討する」と表明している。