おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

京都大学、ひたすら“めんどくさい”ゲーム型サイト公開

2015年4月に開設された京都大学のエンターテインメントサイト『探検! 京都大学』。京大らしくない、いや、あれこそが京大だ……と評判になりましたが、5月13日、ついにモバイル版が誕生します。なんでも、ひたすら「めんどくさい」ことを追求したゲーム型サイトなんだとか。それって何?

探検!京都大学モバイル版トップ画面

通常、インターネット上のサイトは、ユーザーにとって見やすく、使いやすいことを重視して作られます。これは、ユーザーが効率よく、目的の情報に素早くアクセスできることを求めているから。手間がかかるサイトは敬遠されがちです。

しかし今回、京都大学が目指したのは「めんどくさい」サイト。これは、京都大学が創立以来大事にしてきた「『回り道』の精神」から着想されたものなんだそうです。効率をひたすら追求するのではなく、「めんどくさい」ことを楽しめるユーモアこそが、将来イノベーションを起こす人材に必要な素質のひとつである……という考えがもとになっているのです。

高校までの「学習」は、いかに正解まで最短距離でたどりつくか、という効率性が受験勉強まで重視されていますが、大学での「学問」は違います。誰かの通ってきた道ではなく、自分で道を切りひらいて進んでいくことになります。そこに地図はありませんし、容易に答えが出るとは限りません。それを楽しめるか否かが大事、という考え方が「『回り道』の精神」という言葉となっているのですね。

ゲームは、京都大学に実在する建物、学生、研究者、研究ストーリーをモデルにした「惑星 京都大学」内を歩き回る、すごろく形式で進めます。まずは、自分に近いタイプのアバターを選択してからスタート。何故か全部「いかにも京大生にありがち」な、勉強や好きなことにのめり込みすぎてファッションに無関心な学生、略して「イカ京」になってしまうという、最初からめんどくさいことに。

アバター選択画面

各マス目には「京大マニアッククイズ」や、京大在学15年という神格化されたイカ京、その名も「神イカ京」のような、こじらせ系のキャラクター、実在する先生、回避不能のトラップなど、めんどくさい仕掛けが満載。しかも、ただめんどくさいだけではなく、マニアックな知的好奇心を刺激して、ついやってみたくなるような絶妙なバランスになっています。

出題画面
登場キャラクター

例えば、神イカ京がふと「地上から地球の中心までの距離は、京大の時計台何塔分になるだろう?」と疑問に思ったことを確かめる為、ひたすら画面をスクロールして地面を掘り進めていく……というトラップが存在します。ちなみに、このトラップをクリアするのに必要なスクロール数は約21万回(!)。もし1秒間に5スクロールという高速で休みなく行ったとしても、地球の中心までたどり着くのは最短で11時間50分後。スマホのバッテリーを著しく消費するだけでなく、指の筋肉が限界に達すること必至です。

穴掘りゲーム画面

また、すごろくにありがちなハプニングマスも。「振り出しに戻る」とか「1回休み」「3回休み」などですが、その理由がいちいちめんどくさい……。ちなみにハプニングの一つ、正門の学名プレート「京都大学」の前に「東」をたしたイタズラは2015年の合格発表に行われた実話です。この時はご丁寧にも「東京大学」「赤門」と書かれた手作り感満載の看板も設置されています。でも東をたしたからといって「東京大学」ではなく、「東京都大学」だったんですけどね。

ハプニング

他にもマスの中には、京都大学に関する小ネタを解説するコーナーも(これも強制発生イベント)。シャツをズボンにインしたりする“ファッションに無関心”な「いかにも京大生=イカ京」が少なくなってきているそうです。

小ネタ

制作した京都大学企画・情報部広報課によれば「ゴールを目指す過程で自然に京都大学のディープな世界をユーザーに感じていただけるよう制作しました」とのこと。

このめんどくさいゲームの果てにたどりついたゴールには、はたして何が待っているのか。ぜひ、途中で投げ出さずに見届けてみてくださいね。少なくとも、京大生も驚くほど、京都大学に詳しくなっていることうけあい。モバイル版『探検! 京都大学』は5月13日公開です。

あわせて読みたい関連記事
  • パビリオン予約をもう一度 大阪・関西万博の記憶に浸れるジョークサイトが誕生
    インターネット, おもしろ

    パビリオン予約をもう一度 大阪・関西万博の記憶に浸れるジョークサイトが誕生

  • 夢の中に出てきた奇妙な単語達
    インターネット, おもしろ

    「夢の中に出てきた奇妙な単語達」をまとめたシュールすぎるWebサイト 管理人にイ…

  • 「岩谷時子賞」授与式
    エンタメ, 芸能人

    第12回「岩谷時子賞」授賞式が開催 受賞者のコメントや歌声をリアルタイムで無料生…

  • 昨今のコンテンツは「使い捨て」が蔓延。ホラー漫画家・洋介犬が危惧する「コンテンツ消費速度のインフレ化」。
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    昨今のコンテンツは「使い捨て」が蔓延 ホラー漫画家・洋介犬が危惧する「エンタメ消…

  • 岩谷時子賞
    エンタメ, 芸能人

    第11回「岩谷時子賞」授賞式が初のオンライン配信 10月5日12時より公開

  • 投稿方法はSNSと投稿専用フォームの2種類
    イベント・キャンペーン, 経済

    「#ローカル推しグルメ」フォトコンテストが開催 地元や旅先でみつけた「推しグルメ…

  • エンタメ, 舞台

    新たな版元募集中!2.5次元舞台などで活躍する若手俳優の声を伝えるおーちようこさ…

  • グルメ, 商品・サービス

    京大の方角向いて切った「究極の縁起カツ」登場 レジでは合格祈願のおまけつき

  • TV・ドラマ, エンタメ

    『逃げ恥』次週は原作者も大注目の「あのエピソード」 ファンのメンタルは耐えられる…

  • エンタメ, 音楽・映像

    天使レディビア新曲とMV制作費をクラウドファンディングにて募集 リターンに着用衣…

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 「ウォーキング・デッド」特化オークションが初開催 総額3億円超の落札集まる
    エンタメ, 映画

    「ウォーキング・デッド」特化オークションが初開催 総額3億円超の落札集まる

  • ヤマト運輸、「当日配送サービス」開始 同一都道府県内運賃も新設
    企業・サービス, 経済

    ヤマト運輸、「当日配送サービス」開始 同一都道府県内運賃も新設

  • 嵐・四宮社長が偽アカウント多発に注意喚起 「来年のツアー用新アカウントの予定もなし」
    エンタメ, 芸能人

    嵐・四宮社長が偽アカウント多発で注意喚起 「来年のツアー用新アカウントの予定も現…

  • カレーシチューに、フレンチサラダ、本当にまずかった脱脂粉乳他(2300円)
    イベント・キャンペーン, 経済

    昭和の“たのしい給食”が期間限定で復活 脱脂粉乳まで再現した「絶滅危惧食フェア」…

  • 新商品「うまかっちゃん<濃厚新味 あごだしとんこつ>」
    商品・物販, 経済

    焼きあごの香ばしさと細カタ麺の共演 「うまかっちゃん<濃厚新味 あごだしとんこつ…

  • 北海道産のチーズを2種類使った秋冬限定フレーバー「かっぱえびせん 北海道Wチーズ味」
    商品・物販, 経済

    北海道産チーズのW使い!「かっぱえびせん 北海道Wチーズ味」がこの秋登場

  • トピックス

    1. 汗冷え対策は「ヒートテックの下にエアリズム」 ユニクロ公式発の裏ワザが再び話題

      汗冷え対策は「ヒートテックの下にエアリズム」 ユニクロ公式発の裏ワザが再び話題

      屋内と屋外で寒暖差が大きく、着る服に悩みがちなこの季節、SNS上で「エアリズムの上にヒートテックを着…
    2. 「ドラクエ7リメイク」にキーファ再会エピソード追加 衝撃展開にSNSでは「恨み節」も

      「ドラクエ7リメイク」にキーファ再会エピソード追加 衝撃展開にSNSでは「恨み節」も

      2025年11月12日午前7時に配信された「State of Play 日本」にて、「ドラゴンクエス…
    3. アカウント1の投稿

      【前編】それでも私は、書くことを選んだ―― Temu不審アカウントに挑んだ無名記者の記録

      ある日の調査作業の過程で、SNS「X」上において、急成長中の越境EC大手「Temu」のサポート担当を…

    編集部おすすめ

    1. 床掃除はおまかせ!「モップ機能つき生ルンバ」と化すビションフリーゼがかわいい

      床掃除はおまかせ!「モップ機能つき生ルンバ」と化すビションフリーゼがかわいい

      頭をぐりぐり動かしながら、床の上を滑っていく1匹のワンちゃん。飼い主さんが「モップ機能つき生ルンバ」と呼ぶビションフリーゼ・せとくんの動画が…
    2. 工場労働者2138人、1万時間の作業映像をオープンソース化 ロボット向け学習に活用

      工場労働者2138人、1万時間の手作業映像をオープンソース化 ロボット向け学習に活用

      工場向け自動化ロボットの研究開発を行うテクノロジー企業、Build AIが、工場労働者2138人による合計1万時間の作業映像をオープンソース…
    3. お菓子の家……ならぬ「つまみの家」誕生 お酒が進むオトナの創作料理

      お菓子の家……ならぬ「つまみの家」誕生 お酒が進むオトナの創作料理

      「解体しながら飲む」が合言葉。童話でお馴染みの「お菓子の家」を、そのまま大人向けに置き換えたような、その名も「つまみの家」がXに登場しました…
    4. 作業でたき火を燃やす新感覚クリッカー「たき火と猫」登場 癒やしと集中を両立するチル系ゲーム

      作業でたき火を燃やす新感覚クリッカー「たき火と猫」登場 癒やしと集中を両立するチル系ゲーム

      作業中に「猫」と「たき火」の癒やしを感じながら集中できる……そんな新感覚のゲーム「たき火と猫」のSteamストアページが公開されました。本作…
    5. アカウント1の投稿

      【後編】それでも私は、書くことを選んだ―― Temu不審アカウントに挑んだ無名記者の記録

      ※この記事は前編からの続きです。前編では、Temuを名乗る複数のアカウントを調査する中で見えてきた構図をお伝えしました。ここからは、Temu…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト