スズメ目の仲間では珍しく水中に潜り、歩いてカワムシなどの水生昆虫や魚を捕まえて食べる「カワガラス」。ずんぐりむっくりとした体形で低く直線的な飛び方をするとか。そんな特長を持つ「カワガラス」のある様子を撮影した動画「リズムが合いそうで合わない」がTwitterで話題になっています。
水辺で2羽のカワガラスが、仲良く短い尻尾を上下にフリフリしているのですが、なぜか息が合わない! 水に浸かっている手前のカワガラスはどうやらマイペースなようで、仲間の様子を気にすることなくご機嫌にフリフリ。 一方、陸近くにいるカワガラスは、時々相手の顔色をうかがいながら羽をバタつかせて、まるでリズムを合わせようとしているような?
Twitterユーザーもこれには「う~~んっっ!見てるとこちらがズッコケますっっ」というコメントを寄せたほど、合いそうで合わない尻尾フリフリに歯がゆさを感じているようでした。
こちらの動画を撮影した福島県内で見られる「キタノアカヒレタビラ・ヤリタナゴ」、「カワネズミ」などの希少な淡水生物や在来種を脅かす外来種などを展示している「アクアマリンいなわしろカワセミ水族館」さんに「カワガラス」の生態を知るべくお話を伺いました。
リズムが合いそうで合わない。 #カワガラス #カワガラスはかわいい #GW pic.twitter.com/EsKHQLUk6V
— 【公式】アクアマリンいなわしろカワセミ水族館 (@InawashiroAQ) April 29, 2018
――動画のカワガラスは、ツガイですか?
つがいではなく巣立ったばかりの幼鳥で、まだ雌雄は不明です。
――動画のカワガラス二匹が尾を振っているのは、どういった行動を意味しているのですか?
カワガラス独特の動きで、この行動が意味することは詳しくわかりませんが、屈伸運動の愛らしさがお客様に喜ばれています。
――カワガラスは、どういう鳴き声をしているのでしょうか?
主に飛翔中に「ビィッ、ビィッ」と鳴きます。
――飼育員の方は、日頃動物たちとふれあってきて、どういう仕草などが好きですか?
まだ巣立ったばかりの幼鳥のため、給餌(餌やり)の時に、餌がほしいとおねだりされる行動(ビービーと鳴きながら口をあけ、翼をバタバタとはばたかせる行動)は、何とも愛らしいしぐさです。
――飼育している中で、動物によって性格の違いなどわかってくるものなのでしょうか?
性格は個体により様々です。この2羽も性格が違います。
――幼鳥と成鳥では羽の色に違いはあるのでしょうか?
幼鳥は羽に白い模様があります。成鳥はパッと見カラスと間違えるように黒っぽく見えますが、濃い茶色です。
――川魚を食べるとのことですが、かなりのあいだ潜っていられるのですか? フクロウのように音が感知されにくい羽になっていたりするのでしょうか?
潜る時間はそんなに長くありません。川にある石の上から飛び込むので水面から数十センチ程度です。普通の鳥に比べ撥水性もよく、潜った後も羽が濡れている感じはありません。
カワガラスの繁殖期は2月頃からだそうですが、その他では4~5月が多いとか。1か月ほどかけて、渓流に生えている苔で20~30cm四方程度の巣を作り、人工の砂防堤の水が流れ落ちる裏側の水抜き穴を利用したり、橋脚の下に作ったり、自然物では渓流に生えている露出した木の根っこの間なども利用するそうです。最後に、アクアマリンいなわしろカワセミ水族館の方が仰るには「抱卵期間は16日前後、ヒナは22日ぐらいで巣立ちますが、その後、7~10日ほど親から餌を貰い、徐々に与える量を減らし自立していきます」とのこと。それにしても、リズムに乗り切れていない2羽のコラボレーションがなんとも可愛らしいですね。
<記事協力>
アクアマリンいなわしろカワセミ水族館
(黒田芽以)