ごく限られた場所でしか聞けない落語「艶笑ばなし」。ざっくり言うと、エロ話をシャレのめした噺なんですが、取り扱うネタがネタだけに、なかなか聞く機会がありません。戦争中は時局を鑑みて自粛を余儀なくされ、東京・浅草にある「はなし塚」に封印されたものもあります。そんな艶笑ばなしの粋でエロいノリを彷彿とさせるコミック「ニッポン夜枕ばなし」がついに単行本化されました。

 時代劇画の殿堂「月刊 コミック乱」(リイド社刊)で絶賛と失笑の嵐を巻き起こした問題作、それが山田参助さんの「ニッポン夜枕ばなし」です。落語にありがちな長屋ばなし風でありながら、ちょいエロな小話を俳画を思わせるような洒脱なペンタッチで描いた、通人好みの大人向け作品といった趣。


 読者からの投稿ハガキ(メールやSNSじゃないんですよ)には「私の父は明治生まれだった。厳格な人だったが、敗戦後は漫画など購読するようになった。父の漫画を無断で読んでいたことがばれた時、少し殴られただけで意外にもお咎めはなかった。「ニッポン夜枕ばなし」には、私が少年の頃にせっせと盗み読んだ「大人漫画」のムードがある。懐かしく、また大変愉快である。(神奈川県/岡崎一平・82才)」というものも。

 また、2018年5月2日には、著者の山田参助さんのほか、バロン吉元さん、細馬宏道さん、寺田克也さんの出演するトークイベント「画侠・バロン吉元の絵力を読み解く」が、東京の銀座蔦屋書店で開催予定。「バロン吉元画侠伝」の編集を手がけた山田さんの別の側面も見ることができます。

 ちょいエロで、粋な江戸のお話を覗き見るのも、なかなか面白いものですね。

情報提供:リイド社

(咲村珠樹)