西日本の各地を襲った平成30年7月豪雨や、各種自然災害において捜索・救助(SAR)を行う際、強い味方になるのが、その鋭い嗅覚で要救助者の気配を察知することのできる犬の存在です。警察犬などのほか、自衛隊も警備犬を使って行方不明者の捜索に参加しています。ただ、自衛隊の警備犬は基地や駐屯地の警備が本来の仕事のため、一見普通の犬と見分けがつきません。外国ではどのような形になっているのでしょうか。
イギリス軍では、様々な犬種が軍用犬として活躍しています。爆発物を探す探知犬などは、逆に小型犬の方が狭いところまで探索できるので有利なようです。犬たちはベストのほか、爆風や粉塵から目を守るゴーグルや、爆音から耳を守るイヤーマフ、足に怪我をしないための保護靴などを身につけます。
世界中の災害現場に派遣されるアメリカの軍用犬は「K-9(ケー・ナイン)」と総称されます。それぞれの役割に応じたベストを着用し、任務に当たっています。
粉塵などが予想される場所に出動する場合は、イギリス同様、ゴーグルを装着します。これらの装備を身につけても支障なく任務が遂行できるよう、十分な訓練を受けているのです。
日本の警察犬も、米軍基地がある周辺の警察本部では相互に交流して、互いのノウハウを共有しています。災害などが起きた際は協力しあって行方不明者の捜索に当たるため、このような交流を普段から行って、連携がスムーズに行えるよう準備を怠らないようにしているのです。
このほかにも、アメリカの救助犬は世界中様々な災害に派遣され、多くの国で要救助者の捜索を行っています。
また、アメリカ周辺の国々もアメリカと交流し、いざとなった時に連携できるよう、常に準備をしています。
多くの場合、行方不明者の捜索にあたる犬のベストは、災害現場で目立ちやすいオレンジやイエローとなっています。犬は身軽なため、取り扱うハンドラーから離れて捜索することもあり、いる場所を確認しやすくする工夫です。
自衛隊の警備犬も災害現場に出動する機会が多く、ようやく任務用の装備に予算がつきました。これからは装備が導入されたところから、ベストなどを装着した姿で任務に当たることになります。あまり頻繁に目にする機会がないに越したことはないのですが、災害現場で出会った時には、ぜひ応援の気持ちとともに見守ってほしいものです。
Image:Crown Copyright/U.S. DoD
(咲村珠樹)