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ハンドメイド作品の価値とは? テレビ発端の原価騒動うけて

 とあるテレビ番組で、ハンドメイド作品の原価だけが晒されて、あたかも簡単にできる様な紹介の仕方をしていました。それを真に受けた視聴者から、ハンドメイド作品のイベントなどで、「原価そんなかかってないんでしょ!もっと安くして!」なんて心無い言葉を掛けられてしまった……という話がSNS上では飛び交っています。

 そもそも、ハンドメイド作品は簡単にはつくれません。それを良く知らないままにテレビで視聴者に原価だけを晒しているのはハッキリ言えば、間違いです。

  •  当編集部でも、度々ハンドメイド作品を取り上げてきました。それは、その作品に対する話題性もさる事ながら、作品に対する真摯な思いや愛情を感じられてきたからご紹介したい、と取り上げさせて頂いてきました。

     今、「#ハンドメイド界隈のテンション上げてく為に自分のイチオシ作品画像を貼ろう」というハッシュタグで、各作家さんがハンドメイド作品を紹介しています。そこには、その作品を作るまでの経験や着想、作品に対する想いが詰まっています。

     このハッシュタグに参加した、ミニチュア切子を制作しているmegu×miniさんは、アクリル棒から繊細な切子作品を生み出しています。原価はアクリル棒と塗料だけかもしれませんが、この作品を作るまでに至った技術の確立やデザインなどは、原価以上に大きなものがあります。制作自体、一つの作品に8~10時間を掛けています。そして、ここまでの技術を習得するのに14年の歳月をかけています。また作品を作るためには細かいものを削る専用の工具など、原材料以外にも揃えるものがあります。


     また、先日もご紹介した「ハリネズミのがま口」が人気のyucoco cafeさんは、同ハッシュタグと共に、「温もりやリアリティー、ハンドメイドこその価値が限りなくあると思います」と作品の写真と共にコメント。最近人気の羊毛フェルトの作家さんですが、ここまで本物そっくりに仕上げるにはそれ相当の技術を磨く時間と、何度も失敗を経験して乗り越えてきたから。


     そうした、原価にはないものがたくさん詰まっているのがハンドメイド作品。作品を趣味で作った事がある人なら分かると思いますが、一つの作品を仕上げるには、まずアイディアを出し、そこから形にしていくにはどうすればいいかを考え、そこから一つ一つの作品を原材料にはない道具を用いて一つ一つ作り上げていく手間。それらを考えたら原価だけでモノを売るという事はまずできない話になると思います。

     一つ一つに愛情と魂が込められた作品を、世に送り出す事は、原価以上にその作品に見合った値段をつけるという事。それだけ作家さんたちが大切に作り上げてきたものたちなんです。テレビ番組の原価云々に踊らされず、作品の本質を理解し、愛し、お迎えする事が、これからさらに素晴らしい作品が生み出す土壌となるのではないでしょうか。

    <記事化協力>
    meguさん(@meguxmini)
    yucoco cafe新刊発売9/5さん(@yucococafe)

    (梓川みいな)

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