やたらと長い首に、凸凹とした頭部、人間や動物とは到底思えない謎のミイラが埼玉県秩父にある森林で撮影されました。その生物は、人間のような歯があるものの、下の歯は不自然に2列並んでおり、骨にはりついた生々しい皮からは、今にも異臭が漂ってきそうです。この得体の知れない謎の物体は一体何なのか……。
「ミイラ 16時01分頃 埼玉県秩父市の森林にて撮影」と題したこちらのツイートは、東京藝術大学デザイン科に通いながら、フリーランスでイラストや映像、デザイン制作をしているという門脇康平さんが投稿したもの。先にネタばらしをすると実は門脇康平さんの作品の一つなのですが、「これ本物なの!?偽物なの!?」とTwitter上でも物議を醸し、中には「足部の形状はヒトに近い」「頸椎は8以上ある」など細かく分析をする人まで現れるほど、かなりの反響があったそうです。
ミイラ
16時01分頃 埼玉県秩父市の森林にて撮影 pic.twitter.com/n2DkK3BQv0
— 門脇 (@KadowakiKouhei) 2019年1月17日
その後、本人も作品ということを正式に発表したのですが、未確認生物好きの筆者からしてみれば「もう少しロマンに浸りたかった」という気持ちもちょっぴりありましたが、こちらの「宇宙人のミイラ」を制作された門脇康平さんに詳しくお話を伺いました。
予想外の反響に驚いています。
秩父在住の方々をはじめとし、皆様を混乱させてしまいすみませんでした。これは多くの方がおっしゃる通り造形作品です。
色んな見方で楽しんでもらえたらと思い、作ったことは伏せました。骨格についての具体的な指摘等、興味深く読ませて頂きました。(続⬇︎— 門脇 (@KadowakiKouhei) 2019年1月20日
まずミイラの制作についてですが、ミイラの皮膚はゴムで出来ており、骨はウレタンと発泡スチロールで作られているそうです。しかしながら、完成するまでの道のりは長かったようで、半年間、未確認生物をどのような形状にするか考え、実際の制作には約3か月もかかったとか。
大きな反響があった要因には、実際に生きていたかのようなミイラの質感と、無造作に横たわるミイラを森の中で撮影しているという2つがポイントとなっています。それに関して門脇康平さん曰く「作り物に見えないよう、人工物を塗装に使わないようにしています。例えば、この宇宙人の塗装には木の粉や灰やコーヒーなど、ほとんど自然物が使われています」とリアル感を追求した結果、このような禍々しさを感じさせる作品が生まれたそうです。
森林で撮影をした理由は、いかにも放置されている感じがして、違和感があってむしろ面白いと感じたからとか。こちらの作品は、東京藝術大学卒業制作展で展示後、売ろうと考えているそうです。購入する人の中にはどんな人がいるのか、どういう使い道を考えているのか、逆に気になりますね。筆者がもしこの作品を貰えるとしたら、初日に向かい合わせで添い寝、一旦試みたいと思います。悪夢にうなされるかもしれませんが……。
最後に「門脇康平さん自身、実際に不思議な体験をしたことはありますか? もしも、宇宙人に遭遇したらどうしますか?」と伺ったところ「残念ながらまだありません。もし会ったら食べ物を渡してみると思います」と語って下さいました。
予想外の反応や感想が多数聞けて、とても面白かったです。ありがとうございました。
そしてこの作品は、僕の卒業制作として作られたもので、1/28 (月) 〜2/3(日)まで、東京藝術大学卒業・修了作品展で展示されます。場所は東京都美術館になります。
(撮影:関口拓真 @taku97226 ) pic.twitter.com/RIZJZueWnW
— 門脇 (@KadowakiKouhei) 2019年1月20日
<記事化協力>
門脇康平さん(Twitter:@KadowakiKouhei)
(黒田芽以)