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世界初公開の貴重な標本一挙公開!日本科学未来館「マンモス展」プレス内覧会に行ってきた

 東京・臨海副都心にある日本科学未来館で、2019年6月7日から始まった企画展「マンモス展 -その『生命』は蘇るのか-」。2005年の愛知万博「愛・地球博」で話題を呼んだユカギルマンモスが再びやってくるのに加え、新たに見つかった約4万年前の“新鮮な”仔ウマの完全体冷凍標本が世界初公開されるなど、最新の研究成果が反映された見どころの多い展覧会です。その開幕を翌日に控えた6月6日、プレス向けの内覧会が実施されました。

  •  日本科学未来館で「マンモス展」が開催されるのは、13年ぶり2回目。シベリアに位置するロシア連邦サハ共和国の永久凍土(ツンドラ)が、森林伐採や地球温暖化の影響で融解が進み、その過程で地下に眠っていた氷河期の古生物や原始人類の使っていた道具など、様々なものが出土しています。前回から今回までの間に、新発見の標本や研究の進捗により、謎に包まれていた氷河期の生き物たちについての知見が広がり、それを反映させた展示となっているのが特長です。

     今回の企画展では、サハ共和国「マンモスミュージアム」館長のセミヨン・グレゴリエフさんをはじめ、古生物学では長野県・野尻湖ナウマンゾウ博物館の近藤洋一館長、生命科学では近畿大学大学院の松本和也部長(生物理工学部教授)、そして展示構成についてはいとうせいこうさんが監修しています。

     ロシア連邦のサハ共和国では、針葉樹林(タイガ)の伐採によって太陽光が地面に届くようになったほか、地球温暖化の影響で今なお規模が拡大し続けている巨大な穴、バタガイカ・クレーターをはじめとして永久凍土の融解が各地で進んでいます。それにともなって、融解した永久凍土層の中からマンモスをはじめとする氷河期の生物が次々と発見されています。化石化したものもありますが、氷河期に死亡したまま冷凍保存された“新鮮”な死骸も発見され、世界中の古生物学者が注目している場所。そんな古生物の冷凍標本が世界で初公開されているわけです。

     また、会場では音声ガイドも有料(1台につき税込600円)で貸し出されています。ちょっとジャパリパーク感のある貸出コーナーに用意されている音声ガイドは、一般向けの通常版が梶裕貴さん、そして子供向けのジュニア版は東山奈央さんと、人気声優のお2人がナビゲーターとなっているのにも注目です。

     展示は大きく分けて過去・現在・未来の3部構成となっています。会場に入ってまず迎えてくれるのは、1977年6月に発掘された子供のケナガマンモス“ディーマ”の全身標本。日本では38年ぶりの展示となります。


     過去をひもとく第1部では、氷河期の様子と、その時代を生きたマンモスをはじめとした古生物たちを紹介します。大きな存在感を放つのは、1991年にサハ共和国で発掘されたケナガマンモスの全身骨格。発掘場所から「チュラブチンスキーのケナガマンモス」と呼ばれています。

     子供の視点から見ると見上げるほどの大きさですが、実は現生ゾウと同じくらいか、やや小さい程度。マンモスの仲間は、イメージほど大きくはないことが分かります。また、頭骨の形状や尾骨の長さなど、現生ゾウとは異なる特徴を見てとることもできます。

     また、このコーナーでは実際にケナガマンモスの被毛に触れてみることができます。吹雪などに耐えられるようにでしょうか、毛はちょっと太めで硬く、まるで掃除に使うシュロぼうきを触っているよう。


     この時代に生きたマンモス以外の生物も紹介されています。同じく長い被毛に覆われたケサイ(マモントヴォゴルスキーのケサイ)や、ステップバイソンの全身骨格など。ケサイやステップバイソンの被毛も展示されているのですが、こちらはケナガマンモスとは違って細く、柔らかそうに見えます。


     この時代の肉食獣、ホラアナライオンの復元像や頭骨、子供の前身骨格も展示されています。ほかにもヒグマやオオカミ、ユキウサギにウマ(レナウマ)などの頭骨も。そしてこの時代に生きた人類の骨角器をはじめ、石器や狩猟の道具など遺跡から発掘された品物も展示されています。

     続いてのコーナーでは、2010年代に入って新たに発見された古生物たちの冷凍標本が集まっています。ほとんどのものが世界初公開、もしくは日本初公開という貴重なもの。ロシアで冷凍標本を展示するための冷凍ケースを作ろうとすると、あちらの物価で家が建つほどの予算が必要となるため、冷凍収蔵庫に保管されて一般への公開はされないそうです。

     なかでも4万1000~4万2000年前の仔ウマは貴重なもの。マンモスミュージアムのグリゴリエフ館長によると、解剖して液体の血液と尿の採取に成功したのは奇跡的なことだったと言います。液体の血液標本が得られたのは世界で2例目だとか。発掘と解剖に立ち会った野尻湖ナウマンゾウ博物館の近藤館長も「お腹を開いたら、まるで生きているかのような鮮やかな色をした肝臓が出てきた」とのことで、死亡してほとんど間をおかずに冷凍されたまま、現代まで眠っていたと考えられるそうです。


     また、ケナガマンモスの皮膚やユカギルバイソンの全身冷凍標本、ライチョウの冷凍標本も世界初公開。仔イヌの全身標本は日本初公開です。そしてケナガマンモスの鼻は特に貴重なもの。骨が入っていない軟組織(筋肉など)でできている鼻は、死後ほかの肉食獣に捕食されたり、腐敗が進みやすく、形を維持していることはほとんどないんだとか。これが被毛を含めた先端部まできれいに残っていたことで、マンモスの鼻の特徴なども知ることができたといいます。もちろん世界初公開。


     未来にマンモスを復活させることができるのか?というコーナーでは、先ごろ近畿大学の研究チームがマンモスの冷凍標本から採取した細胞を使い、細胞核の活動が確認されたという大発見に至る道のりを漫画風に再現しています。展示されている研究機材は、実際に「マンモス復活プロジェクト」の研究で使われているものと同じものだそうですよ。


     ただし、マンモスを復活させるということは、科学研究の面では非常に得るものが大きいのですが、倫理的にそれは許されるのか、という問題も抱えています。展示ではそのことについてもしっかり紹介されているので、科学研究と倫理の微妙な問題についても考えて欲しいというメッセージが込められています。

     最後に待っているのは「愛・地球博」で話題となったユカギルマンモス。じっくり見てみると、暑い場所に生息しているので放熱の役割を果たすため、現生ゾウでは大きくなっている耳が、逆に体温維持のために小さくなっていることなどがよく分かります。

     オフィシャルグッズも豊富です。また、マンモスにちなんだお菓子などにも注目。「マンモス柿ピー」など、ギリギリを攻めたネーミングのものも。また、マンモス化石の実物標本も販売されています。下顎骨のお値段は税抜76万4000円。このほかに臼歯(奥歯)と被毛のセットなどもありますよ。



     日本科学未来館企画展「マンモス展」は、2019年6月7日~11月4日まで開催されています。入場チケットや休館日など、最新の情報は、公式サイトや公式Twitter(@manmothten)にて配信されています。

    取材協力:日本科学未来館

    (取材:咲村珠樹)

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