おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

意外な場所に出る「蒙古斑」を見た人が声高に偏見の言葉 虐待の痣ではない!

 大体は赤ちゃんのお尻に出ていることが多い青あざみたいな「蒙古斑」。たまに、こんなところにまで?と思うところに出てくることがあります。足に出ている蒙古斑を見た年配女性らが浴びせた、心無い言葉に憤るネット民たちが続出しています。

  •  「電車で見知らぬおばちゃん達に『あんな小さい子に虐待して…』『だから若い子は…』って聞こえるように言われた。子育ての経験あるなら蒙古斑と痣の違いくらいわかるでしょうに。お尻以外にも蒙古斑って出るのよ。それに若いのは関係なくないですか?酷い事言われ慣れてたけど流石にイラっとした…」と、心無い言葉を浴びせられたのはネットユーザーの悠里さん。わが子の蒙古斑の写真とともにツイッターに投稿しています。

     写真には、左足の足首の上あたりに出ている蒙古斑。パッと見ると青あざなのですが、虐待による青あざは内出血が伴うのでこのような均一な色味にはなりません。体のどこかをぶつけて青あざを作った人なら、ぶつけた時に出来る青あざと蒙古斑の違いを見比べて納得できるかと思います。

     しかし、年配女性たちにはその違いが分からなかったようです。そもそも本当に虐待していたら、公共交通機関を使ってお出かけなどしないで、自宅に引きこもって産後うつ状態に陥っている可能性の方が高いくらいです。

     周囲に聞こえよがしに声高に言うその性格自体、筆者自身も憤りを感じるのですが、このツイートを見た人たちも同じ気持ちの人が多い様子。「私だったら我慢できずに掴みかかってるかも」「こんなにかわいい足を見てそんな感想しか出ないなんてオバチャンの目は節穴なのかしら?」「デリカシーの無いオバハンは嫉妬と嘘でできてます」と憤るリプライとともに、「うちの子にも異所性蒙古斑があるけど、マンションの誰かが児相連絡したらしく児相の人達大人4人で押しかけてきた事がある」「うちの子も同じとこにありますよ、やっぱり分からないおばちゃん達には言われますよね…」など、やはりお尻以外の蒙古斑を虐待と誤解されている人も多い様子。

     悠里さんの息子さんは現在生後4か月。息子さんの蒙古斑は足以外に首の後ろからお尻まで背中全体に、濃いのから薄いのまでまばらにある状態だそう。ご主人も親族も、お尻以外に発生している蒙古斑について驚いていたそうです。

    https://twitter.com/daren_1280/status/1164772739825070080

    ■ そもそも蒙古斑とは?

     公益社団法人日本皮膚科学会のサイトによると、「真皮にはメラノサイトが存在しないのが普通ですが、日本人など黄色人種では、大部分の赤ちゃんで、お尻から背中にかけて、真皮にメラノサイトがみられます。そのため、日本人の赤ちゃんのお尻から背中にかけて、青アザがあり、これを蒙古斑といいます。蒙古斑は生後2歳頃までには青色調が強くなりますが、その後徐々に薄くなり、10歳前後までには大部分が消失します」とあります。

     このメラノサイトという色素の元はお尻や背中以外にもあることがあり、腕や足、お腹や肩などにできる蒙古斑は、「異所性蒙古斑」と呼ばれています。蒙古斑自体は、黄色人種であれば決して珍しいものではないのですが、他の人種では遺伝子が持ち合わせている色素が異なるため、この蒙古斑は出ることがないということです。

     たまに、この蒙古斑が成人してからも残る事があり、その割合は3%程度と言われています。持続性蒙古斑と言われるものですが、特に大きな悪性変化はないものの、顔面などに出来る異所性蒙古斑(太田母斑)は自然に消えない上に見た目のこともあり、誤解を受けやすい人も多くいます。

     異所性蒙古斑は10歳くらいで色が薄くはなってくることが多いのですが、顔面など見えやすい場所などに出来ている場合など、必要に応じて保険が適応となるレーザーで治療できます。治療できる設備のある皮膚科で相談すると、詳しく教えてもらうことができます。

    ■ 先天性のあざは思った以上に持っている人がいる

     異所性蒙古斑以外にも、生まれつき存在する平らな単純性血管腫や生後まもなく生じ、1歳頃までに急激に大きくなり、その後徐々に小さくなるイチゴ状血管腫、表面に硬い毛(硬毛)が生えている有毛性色素性母斑も出生時から存在しています。

     この先天性のあざは、母体に問題があったとか、環境などが問題とかというものではなく、たまたま胎児が成長していく過程の中でできていくものなので、あざを持って生まれたからと言って母親が責められる筋合いは全くありません。大概のあざは治療で何とかなることが多いので、成長の様子をみながら治療の予定を皮膚科医と相談するのが一番です。

    <引用・参考>
    公益社団法人日本皮膚科学会 アザとホクロ – 皮膚科Q&A

    <記事化協力>
    悠里さん(@daren_1280)

    (梓川みいな/正看護師)

    あわせて読みたい関連記事
  • 「使わなくなった旧Switch」どうする? Xで注目、“寄贈”という選択肢
    インターネット, 社会・物議

    「使わなくなった旧Switch」どうする? Xで注目、“寄贈”という選択肢

  • 子の夏休み=親は常に戦闘モード “戦士のような母”の後ろ姿が話題に
    インターネット, おもしろ

    子の夏休み=親は常に戦闘モード “戦士のような母”の後ろ姿が話題に

  • 大量荷物をランドセルに合体! 夏休みを迎える“小学生あるある”に共感の声
    インターネット, おもしろ

    大量荷物をランドセルに合体! 夏休みを迎える“小学生あるある”に共感の声

  • 5年使った子ども用のスプーンが突然の引退 思わぬ別れに「ありがとうね」
    インターネット, 感動・ほのぼの

    5年使った子ども用のスプーンが突然の引退 思わぬ別れに「ありがとうね」

  • 習字のシミがまっくろくろすけに かわいすぎるアレンジに子も大喜び
    インターネット, おもしろ

    習字のシミがまっくろくろすけに かわいすぎるアレンジに子も大喜び

  • 子どもが「タコピーの原罪」に食いついたら?ピンチを乗り越えた親の謎理論
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    子どもが「タコピーの原罪」に食いついたら?ピンチを乗り越えた親の謎理論

  • 暑さを気にせず、室内でできるスポーツや運動があれば子どもに遊んで欲しいと思う
    企業・サービス, 経済

    猛暑で外遊び減少、親の9割が「室内運動」に関心 キリンが実態調査

  • シナモロールの大ファンだという英才さんの娘
    インターネット, おもしろ

    サンリオ大賞で子どもが学んだ一票の重み 「投票するのって大事だね」

  • 素敵すぎ!日曜日に親子で本格的なパン屋さんごっこ お値段にもきちんと理由が
    インターネット, 感動・ほのぼの

    素敵すぎ!日曜日に親子で本格的なパン屋さんごっこ お値段にもきちんと理由が

  • 赤ちゃんが微笑む事故物件の不思議な日常 母「もしいるならもっと出てきて」
    インターネット, おもしろ

    赤ちゃんが微笑む事故物件の不思議な日常 母「もしいるならもっと出てきて」

  • 梓川みいな看護師(正看護師有資格者)

    記事一覧

    一般内科、呼吸器科、整形外科、老年科、発達障害などを得意とする。医療・介護福祉等に高反応。雑多なネタも紹介していきます。
    娘二人(ともに発達障害あり)とネコ二匹の母。シングル。

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 災害ボランティアに行く前にやっておくべき大切なこと
    社会, 雑学

    災害ボランティアに行く前にやっておくべき大切なこと

  • お餅での事故を防ぐ ここがポイント!(出典:政府広報オンライン)
    社会, 雑学

    お餅での事故を防ぐ 3つのサインと3つのポイント!

  • 巨大イベントへ遠征に行ったらインフルエンザを拾ってきた話(画像:イラストACより)
    ライフ, 雑学

    巨大イベントへ遠征に行ったらインフルエンザを拾ってきた話

  • 【ナースなコラム】MRIに禁忌なアレコレ え?増毛パウダーも!?
    ライフ, 雑学

    【ナースなコラム】MRIに禁忌なアレコレ え?増毛パウダーも!?

  • みかんは体に良いってほんと? 効能は?適量は?
    ライフ, 雑学

    みかんは体に良いってほんと? 効能は?適量は?

  • 【看護師コラム】実はこれやっちゃダメなんです!処方薬の使いまわし
    ライフ, 雑学

    【看護師コラム】実はこれやっちゃダメなんです!処方薬の使いまわし

  • トピックス

    1. 夏の救世主!リュウジさんの「やけくそチャーハン」はレンジで2分の革命飯

      夏の救世主!リュウジさんの「やけくそチャーハン」はレンジで2分の革命飯

      毎日暑い日が続くと、火を使う料理が億劫になるもの。そんな時におすすめのレシピを、料理研究家のリュウジ…
    2. 愛犬の誕生日に“狂気のケーキ”を手作り ホラーすぎて家族が悲鳴

      愛犬の誕生日に“狂気のケーキ”を手作り ホラーすぎて家族が悲鳴

      あらゆる意味で一生忘れられない誕生日になりそうです。4歳のシーズー犬「てんぽ」ちゃんのため、飼い主さ…
    3. ポケポケ新カードに不備、公式が謝罪 ホウオウ・ルギアのイラスト差し替えへ

      ポケポケ新カードに不備、公式が謝罪 ホウオウ・ルギアのイラスト差し替えへ

      株式会社ポケモンは7月30日、スマートフォン向けポケモンカードゲームアプリ「Pokemon Trad…

    編集部おすすめ

    1. 防衛省、観閲式など原則中止 厳しさ増す安全保障環境を理由に

      防衛省、観閲式など原則中止 厳しさ増す安全保障環境を理由に

      防衛省は7月30日、「今後の観閲式等について」と題した文書を公開。観閲式、観艦式、航空観閲式について、今後は開催しない方針を明らかにしました…
    2. 朴璐美さん、新幹線で“とんでもない席トラブル”に遭遇 駅弁楽しむはずが…

      朴璐美さん、新幹線で“とんでもない席トラブル”に遭遇 駅弁楽しむはずが…

      アニメ「鋼の錬金術師」エドワード・エルリック役などで知られる声優・朴璐美さんが、7月27日に自身のX(旧Twitter)を更新。新幹線車内で…
    3. 男性記者が“生理痛”を疑似体験 ツムラの「#OneMoreChoice プロジェクト」で見えた“隠れ我慢”のリアル

      男性記者が“生理痛”を疑似体験 ツムラの「#OneMoreChoice プロジェクト」で見えた“隠れ我慢”のリアル

      生理やPMS(月経前症候群)などの不調を我慢せず、自分に合った「もう一つの選択肢」を持てる社会を目指すツムラの取り組み「#OneMoreCh…
    4. 子の夏休み=親は常に戦闘モード “戦士のような母”の後ろ姿が話題に

      子の夏休み=親は常に戦闘モード “戦士のような母”の後ろ姿が話題に

      子どもにとっては待ちに待った夏休み。しかし親にとっては……。我が子が夏休みに突入したある母の後ろ姿が、まるで“戦士”のようだとXで話題を集め…
    5. KADOKAWA、がおう氏の書籍絶版・配信停止を発表 未成年トラブル報道受け

      KADOKAWA、がおう氏の書籍絶版・配信停止を発表 未成年トラブル報道受け

      株式会社KADOKAWAは7月23日、イラストレーター・がおう氏に関する一連の報道を受け、同氏が関与した複数の出版物について、紙書籍の回収・…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト