メルコリゾーツ&エンターテインメントが2019年10月29日都内で発表会を開き、プロテニスプレーヤーの大坂なおみさんが横浜における統合型リゾート開発のブランド・アンバサダーに就任したことを発表しました。
都内で行われた記者発表会には、メルコリゾーツ&エンターテインメントのローレンス・ホー会長兼CEOが来日。みずから大坂なおみさんのブランド・アンバサダー兼スポーツ・グループ・ディレクター就任を発表しました。
統合型リゾート(IR)というと「カジノ」というイメージが強いかもしれませんが、メルコリゾーツ&エンターテインメントでは、カジノだけにこだわらないリゾート施設を日本で展開するといいます。
横浜における統合型リゾート開発に向けた整備活動では、テニスの大坂なおみさんのほか、Jリーグの横浜F・マリノスと2019年7月にパートナーシップ契約を結んだように、スポーツも大きな柱となるとのこと。大坂なおみさんがブランド・アンバサダー兼スポーツ・グループ・ディレクターに就任したのもその一環だといいます。
また、ホー会長からは日本の地方再生に貢献するプロジェクトとして、日本に焦点を当てたホスピタリティ投資ファンド「メルコ・クリエイティブ・エクスチェンジ(MCX)」の立ち上げも発表されました。270億円規模だというこのファンドの目的は、特に観光開発を通じて日本の地域経済の活性化を支援することだといいます。
長年にわたって日本を訪れているというホー会長は、日本の各地方を外国の方にもっと知ってほしいという希望を述べ、統合型リゾート(IR)がその入り口となって、各地域の経済を活性化させていきたいと語りました。
その最初のプロジェクトとして発表されたのは、箱根に開設予定の5つ星クラス温泉リゾートと、年間を通して利用できるスキーリゾート。どちらも既存の施設をベースに活用し、整備していく計画だといいます。
プロジェクトの詳細について説明を行ったのは、エグゼクティブヴァイスプレジデント兼クリエイティブおよびブランド最高責任者のフレデリック・ウィンクラー氏。箱根の温泉リゾートは、箱根登山鉄道の強羅駅から徒歩5分の場所にある既存施設をリニューアルし、ハイクオリティな隠れ家的リゾートにするとのこと。
このプロジェクトでは、建築家の坂茂さんが監修を行います。坂さんは建築界最高の栄誉のひとつであるプリツカー賞を2014年に受賞したほか、避難所で被災者が快適に過ごせるための間仕切りシステムを考案するなど、人に寄り添った視点を持つ建築家です。
宿泊施設は伝統的なスタイルの広く、豪華なスイートルーム約35室で構成される4階建て。各客室には専用のテラスがあり、ほとんどの客室から山の景観が楽しめるようになるとのこと。また、2つのレストランにバー、スパ、プールに加え、24時間対応のプライベートバトラー(執事)サービスも。
スキーリゾートについては、まだマスタープランの段階のため、立地等の詳細は明らかにされませんでした。しかしホー会長によると、東京からアクセスしやすい場所で考えているという回答がありました。こちらは約10年の年月をかけて徐々に整備していく計画だそうで、初期段階では客室数70、最終的には300室クラスのものになるとのこと。
横浜のブランド・アンバサダー兼スポーツ・グループ・ディレクターに就任した大坂なおみさんは、このメルコ・クリエイティブ・エクスチェンジ(MCX)にも深く関わっていくことも発表。会場ではMCXをきっかけに、多くの人が日本の地方の良さを知り、地方経済の活性化につながってくれれば、という大坂なおみさんのメッセージ映像も披露されました。
MCX最初のプロジェクトの地である箱根は、ホー会長にとって思い出深い場所だといいます。20年前、結婚1周年の記念旅行として箱根を訪れ、それをきっかけにたびたび訪れるお気に入りの場所だとか。
自分たちが手掛ける統合型リゾートは、内部だけで完結する閉じたものではなく、周辺の事業者らと協力して、よりその場所を訪れる人にとって印象深い体験を創出したい、と語るホー会長。IRはその土地を訪れるきっかけとなる「ゲートウェイ」だ、という言葉が印象的でした。
取材協力:メルコリゾーツ&エンターテインメントジャパン株式会社
(咲村珠樹)