11月10日はアメリカ海兵隊の創設記念日。この日を中心に、海兵隊の各部隊では、パーティーなど様々なイベントが行われます。244回目のバースデーとなった2019年は、ニューヨークのタイムズスクエアでのイベントも開催されました。
アメリカ海兵隊は、独立戦争中の1775年11月10日に大陸会議により、イギリスの海兵隊(1664年創設)を模して設立された、大陸海兵隊(Continental Marines)を起源とした組織。アメリカ4軍(陸海空軍と海兵隊)の中では最も小所帯ですが、有事の際には「槍の穂先(スピアヘッド)」として、先陣を切る存在です。
2019年の11月10日は日曜日だったため、多くの部隊では通常の課業を行う平日に創設記念日関連のイベントを行なっています。アメリカ軍のイベントで、代表的なのがデコレーションケーキ。各部隊で、趣向を凝らした色とりどりのケーキが作られました。
デコレーションケーキの基本形は、大きな長方形のもの。この上面をキャンバスに見立て、様々な色のホイップクリームやアイシングで、文字や絵を描いていきます。
スペイン空軍のモロン基地に派遣されている、アフリカ空陸緊急即応特務部隊(SPMAGTF-CR-AF)のケーキは、海兵隊のイメージカラーである赤を主体にしたもの。中心には海兵隊の紋章が描かれています。
ケーキを重ねた大きなものも作られます。岩国航空基地では2段、大西洋艦隊海兵軍、パリス・アイランド海兵隊募集所、ハワイ海兵隊基地では3段重ね。普天間航空基地ではウエディングケーキのような大きなケーキが作られました。
ケーキを切る際には、海兵隊の宣誓書が読み上げられ、その部隊の責任者がサーベルを使って行うのが伝統。そして最初の一切れ(ファーストバイト)は、その場にいる最年長(最古参)の人物に提供されます。ハワイの捕虜/行方不明者対応局では、真珠湾攻撃の生き残りである退役軍人の方に提供されました。
また、こういったパーティーの席には戦死者や行方不明者のための席(日本でいう「陰膳」にあたる)も設けられるのが通例。今ここにいない仲間とも、ともにパーティーを楽しむという姿勢が表れています。
海外に派遣されている部隊も、その場所でパーティが行われます。イラク統合任務部隊はバグダッドの司令部で、そして揚陸部隊として海軍の艦船に乗艦している部隊は、その艦上で行われました。
創設記念日の11月10日夜、ニューヨークのタイムズスクエアでは、バトルカラー分遣隊による音楽隊の野外コンサートと、儀仗隊のドリルが行われました。アメリカ海兵隊の儀仗ドリルは「サイレントドリル」といい、最後の空砲発射音を除いては、動きの基準となる音を立てずに行われるのが特徴。
パーティーだけで終わらないのが、精強さで知られるアメリカ海兵隊。創設記念日を祝う体育大会も各地の部隊で開催されています。多くは持久走(ランニング)大会が行われ、基本は10マイル(16km)。
沖縄のキャンプ・ハンセンでは、本格的な運動会が行われました。しかし競技を見てみると、砲丸投げならぬ「弾薬箱投げ」など、海兵隊流にアレンジしたものも。
オンとオフを巧みに切り替えながら、アメリカ海兵隊は各地で任務にあたっています。
<出典・引用>
アメリカ海兵隊 プレスリリース
Image:USMC
(咲村珠樹)