子どもが育ってくると、体を使って楽しむことを覚えさせたくてスポーツスクールなどに通わせる親御さんは多いと思います。そんな子どもに一番必要なものは、いったい何なのか。あるツイートが大きな話題になりました。

 「バスケの練習から帰ってきた娘『コーチが変わって怒鳴られなくなったから緊張しなくなって、シュートもいっぱい入るようになったし、リバウンドもいっぱい取れるようになってきた。バスケ楽しい!』スポーツの魅力がこの娘の言葉に凝縮されてる。暴言、罵声、暴力はスポーツには不要だ」

 このツイートを投稿したのは、子どものスポーツの在り方について考えている、SportsForChildren(SFC)さん。

 SFCさんに話を聞くと、娘さんが所属しているチームは近所の子ども達にスポーツに慣れ親しんで楽しんでもらために作られた、有志の集まりが運営するチームです。しかし、前のコーチは怒鳴ることがあったようで、子ども達は緊張してしまっていた様子。

 ところが、新しいコーチに交代してからは「(新コーチは子どもたちに対し)ヒントを与えて考えさせます。選手に話す時は片膝ついて目線を同じ高さにして目をじっくり見て話すので選手の心に言葉が届いています。良いタイミングで喝も入れるのでちょうど良い緊張感で練習できてます」と、的確なアドバイスで子どもたち一人ひとりをよく見て、その子に合った指導を行っている様子。

 ヒントを与えられた子どもたちは、自分でどう動いたらより上達できるのか、自分の力で方法を考え、その方法が合っていた時に思い通りの動きができたことに対して「楽しい」と感じます。コーチが子どもの目を見て話すことで、子どもも真剣に言葉を受け止めることができます。ただ怒鳴られていただけでは単に委縮するだけ。この差は非常に大きなもの。

 新コーチは、まず感情から入らず、理性的に「この子に必要な助言は何か」を冷静に考え、それを真剣に、子どもに伝わる形で伝えて導いています。自分を変えるのは自分自身。これは物心がついてから死ぬまで変わらないもの。ヒントを得ることで自分で変わりたい、と思える子どもだからこそ、自分で気づきを得られた時に達成感を感じ、楽しいという感情もわいてくるでしょう。

 これは、スポーツに限らず、全ての上下関係に当てはまることと言えるのではないでしょうか。いつも怒鳴り散らして部下をけなす上司についていきたい人なんていませんし、感情だけで振る舞う人には誰も近づきたがりません。

 昭和に流行った「スポ根モノ」と言われたスポーツ漫画の時代はとっくに終わっています。今必要とされているのは、一人一人の適性に合ったヒントと指示が与えることができるリーダーではないでしょうか。

<記事化協力>
SportsForChildren(SFC)さん(@sportsforchild1)

(梓川みいな)