男性の育児参加が当たり前になったこの頃。パパたちもやる気満々で育児に取り組んでいますが、その初歩の初歩でぶつかるのが「男性用トイレにおむつ台が少ない問題」。
たとえあったとしても、手洗い場のオープンスペースに設置されているので子どもが女の子の場合は人目が気になる!ということもあり、個室設置への拡充要望の声もしばしばネットで目にすることがあります。育児をもっと頑張りたいのに頑張れない!と。
この問題に取り組むことが、紙おむつブランド「パンパース」を展開するP&Gより2020年1月21日に発表されました。P&Gは赤ちゃんの健やかな成長のために、ママ・パパが自分らしい子育てをしてほしいという思いから「あなたらしい子育てが、いちばん。」プロジェクトを発足。その第1弾として、ママ・パパが赤ちゃんのためにしてあげたいこととして上位にあがっていた「お出かけ」を応援することが決定し、今後、全国の道の駅をはじめとして「誰でも使えるおむつ交換台の導入支援」を行っていくといいます。
あわせて、外出先での育児を「家ソト育児」と位置づけ、0歳~3歳児のママ・パパ1000人を対象にした「家ソト育児調査」の結果を発表。家ソト育児のインフラ不足問題を明らかにしています。
■93.1%が「もっといろんな場所に子どもと行きたい」と願っているけど……
調査では1000人の0歳~3歳児のママ・パパを対象に色々な質問を実施。その中でまず気になった結果が、全体の93.1%もの人が「もっといろんな場所に子どもと行きたい」と願っていること。
しかし、実際はというと……子どもとの外出について62.0%が「不安を感じる」と答えています。
実際に困った経験を聞くと「子どもを抱っこし続ける」(48.6%)、「子どもがぐずる」(46.7%)に次いで、「おむつ台で困った」(44.7%)と4割以上もの人が回答。
「おむつ台で困った」理由には、「おむつ台が設置されていなかった」や「女子トイレの中にしかおむつ交換台がなかった」があげられ、おむつ台不足を感じている人が多いことが分かりました。
■「男性用トイレ」への設置数は85.1%が「少ない」と感じている
そこで、現在のおむつ台設置数が足りているかどうか、さらに質問をしています。
「女性トイレ」の設置数では全体で73.4%もの人が「適切」と回答している一方で、「男性用トイレ」については全体の14.9%しか「適切」だと回答していません。
全体の85.1%もの人が男性用トイレにおむつ台が「少ないと思う」と答えているのです。
■育児に積極的なパパたち……でも家ソトでは7割が「妻の負担のほうが多い」
男性用トイレにおむつ台が少ないということが、上記の結果で分かりました。その影響が現在どんなかたちで現れているのか?この調査ではパパ・ママそれぞれに「家ソト育児をパパが積極的に行っているか」も聞いています。
質問に対する「行っている」を意味する選択肢、「そう思う」「ややそう思う」の回答をあわせると、まずパパ自身は約8割が「行っている」(79.0%)と認識。対しママから見たパパのソトでの育児ぶりも約8割が「行っている」(78.2%)と評価。
ただし、家ソト育児での夫婦の負担割合を聞くと、負担が「半々」と答えたのは全体の2割(21.4%)にとどまり、7割は「妻の負担のほうが多い」(71.5%)と回答。
パパは家ソトでも育児を行っているという認識だけれども、実際は妻の負担割合が多い。原因についてP&Gは「家ソトでの育児環境が整備されていないことが、パパの思いを実現できていない残念な結果につながっている」と考察しています。
「家ソトでの育児環境が整備されていない」ものの一つとして、男性用トイレのおむつ台の不足がこれまでの流れで明らかになっていますが、他にも実は「男性も気軽に入ることのできるベビールーム」も不足しているようです。
ベビールームとは、おむつ替えができる他に、授乳室があるなど、赤ちゃんをゆっくりおちついてケアすることができるスペース。場所によりけりですが、パパママともに利用することが可能な場所が多い一方で、男性が遠慮して入りにくい場所も存在しています。例えば、授乳室がベビールームの中でカーテンだけで仕切られている場所。ベビールーム自体が狭い場所というのも当てはまるかもしれません。
このため、「男性も気軽に入ることのできるベビールームを今よりも増やしてほしいか」という質問にも、全体約8割が「増やしてほしい」(80.1%)と答えていました。
■外出先でおむつ台を設置してほしい場所は?
ここまで熱望されている、外出先でのおむつ台ですが、設置してほしい場所を聞いてみると「公園」(61.7%)に次いで「駅・道の駅」(43.5%)への要望が高く、ママ・パパの7割(72.4%)が、公園、駅・道の駅、SA・PAなどの「公共施設」でおむつ台設置を望んでいることが分かりました。
「公共施設」では近年、おむつ台の他、誰でも利用できる「多目的トイレ」の設置を充実させつつあります。公園については小さい規模では無いところが多い一方で、大きい公園では設置をすすめバリアフリー化も進んでいます。駅・道の駅、SA・PAでも設置されている場所ばかりを見かけるので、「設置してほしい場所」にこれらが今更あがるのは、少し疑問も感じます……が?
先に紹介した、「おむつ台設置数が足りているか」という質問の中で、女性用トイレの設置数は全体で73.4%もの人が「適切」と答えていましたが、実はこの質問には「おむつ台を今後、増設してほしいか」という続く質問がありました。
回答は、男性用トイレについて全体の86.3%の人が「増やしてほしい」と回答する一方、「適切」であるはずの女性用トイレも全体の52.6%、ママだけに絞ると60.4%という半数以上が「増やしてほしい」と回答。女性トイレのおむつ台は適切な数とは思うものの、実は十分とはいえないという本音も浮かび上がってきているのです。
女性用トイレのおむつ台は、公共機関の場合、1か所のトイレにつき個室もしくはオープンスペースに1つはあるケースをよく目にします。ただし、人が混み合う時間で利用が重なった場合には、1つだけだと不足してしまうことも。
おむつ替えをする時間は1度の利用で、5分前後。おむつの中身の状況(漏れ具合)によってはもっと、という場合もあるでしょう。そんなとき、人が混み合う時間にぶつかってしまうと、おむつ台の空き待ちでそれなりに待たされることもあります。 こうした状況から、設置数は普段は足りていても「増設してほしい」という願いにつながっていることが考えられます。これは女性用トイレに限ったことではなく、男性が育児参加することが当たり前になっている現代では、今後さらに男女問わずの問題になるかもしれません。
今回、P&Gがスタートした「あなたらしい子育てが、いちばん。」プロジェクトでは、第1弾として「ママ・パパの赤ちゃんとのお出かけを応援」をテーマに、全国の公共施設や商業施設などへのおむつ交換台やベビーケアルームの設置を支援。
また、公共施設にベビーケアルームmamaro(設置型授乳室)の設置を手掛けるTrim社ともパートナーシップ契約締結。mamaroは、授乳やおむつ交換などを行える、鍵のかかるパーソナルなベビールーム。一つ一つが独立していますので、男性でも気軽に利用できるのがメリットです。男女問わずのおむつ台不足、および男性も利用できるベビールーム拡充の一助となるべく、行われる試み。今後ニーズの多い施設への導入サポートが計画されています。
なお、直近の計画では、群馬県の「道の駅川場田園プラザ」をはじめとする全国の道の駅などの公共施設に順次、誰でも使えるおむつ交換台の導入支援を実施。1月21日からは実際に設置がスタートしています。
【調査概要】
■実施時期:2019.12/19(木)~12/23(月)
■調査手法:インターネット調査
■調査対象:紙おむつをしている0~3歳児の親1000人(男女各500人)
※構成比(%)は小数点第2位以下を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100%にならない場合があります。
情報提供:プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社
(宮崎美和子)