お笑い芸人のバカリズムさんが2006年から3年間、銀行勤めのOLのフリをしてネット上にこっそり綴っていたブログを書籍化した「架空OL日記」。2017年に本人が原作・脚本・主演を務め話題となった連続ドラマが遂に映画化。2月28日に全国公開します。
ドラマ版でバカリズムさんのOL仲間を演じていたキャスト陣(夏帆さん、臼田あさ美さん、佐藤玲さん、山田真歩さん、三浦透子さん)に加えて、映画版ではシム・ウンギョンさん、坂井真紀さん、志田未来さん、石橋菜津美さんの4人も出演。バカリズムさん演じる“私”と、どのような化学反応を起こすのか……?
さらに、「架空OL日記」には欠かせない存在である吉澤嘉代子が歌う「月曜日戦争」がドラマ版に引き続き主題歌に決定。週の始まりである憂鬱な月曜日と戦う等身大のOLの姿を歌い上げる「月曜日戦争」は、映画版としてアコースティカルに再録されていて、ドラマ版との違いにも注目が集まっています。
今回、全国公開に先駆けて、2月4日に原作・脚本・主演のバカリズムさんをはじめ、夏帆さん、臼田あさ美さん、佐藤玲さん、山田真歩さん、三浦透子さん、シム・ウンギョンさん、坂井真紀さん、住田崇監督が登壇する完成披露試写会が開催されたので行ってきました。
完成披露試写会は汐留で開催されましたが、筆者が会場に到着すると、さすが人気ドラマの映画化とあって、多くのマスコミが詰めかけていました。試写会が始まると、バカリズムさんを先頭に、出演者や監督が登場。
バカリズムさんは照れくさそうに「『架空OL日記』で、私を担当しましたバカリズムです。よろしくお願いします」と会場に集まったファンに挨拶。そんなバカリズムさんを見て、会場からはクスクスと笑い声がこぼれていました。
ドラマ版から2年以上経ってからの、まさかの映画化について、バカリズムさんは「本当に夢みたい」と率直な感想を吐露。「ドラマの時からそうだったんですけど、現場が楽しくて、空き時間もみんなで一緒にお弁当を食べたりして時間を過ごしていたので、感覚的には皆さん(お客さん)に思い出ビデオを見せるみたいで、ちょっと恥ずかしい感じ」と語りました。
しかし、共演者同士の仲は良かったものの、撮影のために久しぶりに集まった時は「感覚的に一番近いのは、夏休み明けの初日の感じ」と例えたバカリズムさん。撮影が始まったら、すぐに打ち解けたそうですが、「ちょっとソワソワしていて、うっすらみんな良い格好している。『チッス』みたいな。お互いがスカしてる感じ」だったとのこと。
その件について夏帆さんも「最初は探り合っていた」と話し、臼田さんも「(山田)真歩さんに話す時、敬語だっけ?と、どんなテンションで話していたか(探り合っていた時が)若干ありました」と打ち明け、会場からは笑いが起きていました。
今回の作品の台本を読んだ時に、間違いなく面白いと思ったという山田さんは「実際に演じて、もしも笑えなかったら、完全に役者のせいなので、凄いプレッシャーだなと同時に思い、初日はけっこう緊張していました」と、当時の心境を語りました。
そんな山田さんに対して、バカリズムさんは「山田さんはドラマシリーズの、まだ放送もされる前、撮影初日に僕のところに来て、『これは、いったい何がやりたいんですか?』と、めちゃくちゃ質問してきた」と暴露。会場は笑いに包まれました。
山田さんは「そんなこと言いましたっけ!?覚えてない!」と否定しましたが、バカリズムさんは続けて「今でこそ、このドラマがこういうもんだって理解されていますけど、世間の反応も分からないし、今まで体験したこともない、やったこともない仕事だから……。ストーリーも無いし、ただひたすら淡々と日常を描いているから、『これは何をやろうとしてるんですか?』と、すげえ聞かれた」と話し、会場のファンも爆笑していました。
ただ、撮影が進むと山田さんも理解し、「笑いが止まらなかった」と話し、「升野さん(バカリズムさん)の心の声っていうのがあるんですけど、それがツッコミになっていて、私たちは聞こえていないテイで演じなければいけない。しかし、その声に(対して笑いを)耐えるのがつらくて、途中から『心の声』やめてくださいと言っていた」と振り返っていました。
人気ドラマの映画化について住田監督は、「撮影に入る前、升野さん(バカリズムさん)に相談して、(ドラマの)まんまでいきましょうと話した」と明かし、「(まわりの偉い人たちから)『映画なんで、ここはドカンといきましょう』という話もあったんですけど、この作品の良さは派手じゃないということを話し合って、升野さんもそれを望んでいたので、そうしましょう」という感じになったと、撮影の裏側を話していました。
映画版から新たにメンバーに加わったシム・ウンギョンさんは「早くこのメンバーと撮影がしたかった」と心待ちにしていた様子。しかし、坂井さんは「本当に楽しかった。見ていたドラマのまんまで……」と話しましたが、「升野さんって言うんでしたっけ?」と言い、「バカリズムさんて言えばいいんですか?」と、今さら聞く場面も……。これにはバカリズムさんも苦笑いで「升野です。でも、全然なんでもいいです」と答えていました。
坂井さんは「控え室でも、みんなそのままで、本当に楽しかったです。でも、真歩ちゃんと一緒で、この作品が好きだったから、『私のせいでつまらなくなったら、どうしよう……』という、凄いプレッシャーがあった」と話しました。
すると、バカリズムさんは「元々、ブログで『架空OL日記』を書いていた時のマキちゃんの名前は、坂井真紀さんから取っている」と打ち明けると、会場からも「えぇ~!」という声が上がり、ファンも驚いている様子でした。
「その時のマキちゃんのイメージは、“当時の”坂井真紀さんのイメージ」と続けて話すと、坂井さんは「当時の?」とバカリズムさんの言葉に引っかかった様子。これにはバカリズムさんも慌てて、「今は、また大人になってらっしゃって……」とフォローするも、「レギュラーに呼ばれてないなぁ」と納得していない様子。このやりとりに、再び会場は爆笑に包まれました。
その後も、バカリズムさんは「当時は元気な感じのイメージで……」と言ってしまい、再び慌てて「今が元気が無いって言ってるわけじゃないですよ」と訂正。「坂井さんがやってくださるって聞いた時は感慨深かったです」と、必死にフォローしていました。
ドラマが終わってから映画までの間も、出演者同士で一緒にご飯に行ったりしていたとのこと。その時も、それぞれドラマのような立ち位置だったそう。坂井さんは撮影の合間、そんな仲の良いドラマ版の出演者の輪に入りたかったそうなのですが、「呼ばれてなかったんでね……」とつぶやき、会場の笑いを誘っていました。
最後にバカリズムさんは「今回の作品は、期待通りの内容になっているとは思います。期待以上かどうかは分かんないですけど……。『こんなのだったら良いなぁ』が、そのまんま見れると思います。ぜひ楽しみにしてください」とコメントし、会場を後にしました。
(c)2020「架空OL日記」製作委員会
取材協力:2020「架空OL日記」製作委員会
(取材・撮影:佐藤圭亮)