コンピュータの外部ポートに接続する小型の装置を「ドングル」といいます。語感が似ていることから、つい「ドングリ」いうダジャレネタに使われることもあるのですが、ほぼ実物大のドングリに似せて作られたUSBメモリ(ドングル)がTwitterで好評です。

 本来ドングルというものは、あるソフトを使用する際、ポートに接続して正規ユーザーが使用可能にする、という車のキーを同じ働きをする装置(プロテクトドングル)のことを指していました。現在ではその定義が拡大され、ワイヤレスマウスの送受信機など、外部ポートに接続して使う独立した小さな装置全般を総称して「ドングル」と呼ぶことが増えています。

 超小型のUSBメモリをもとに「USBドングリ」を作ったのは、同人サークル「黒の錬金術学会」の倉戸みとさん。これまでにも、現実とファンタジーが交錯する様々なグッズやオブジェを制作しています。

 今回のUSBドングリ作りは、うろこ状の殻斗(実を包み枝に繋がる部分)が特徴的なナラの仲間のドングリをイメージしたとのこと。USBメモリ本体を殻斗、USB-Aコネクタのキャップ部分を果実(どんぐりの実の部分)にして作られています。

 素材はフィギュアの原型製作にも多用される石塑粘土。盛り付けるだけでなく、彫ったり削ったりといった細かなディティール表現ができるほか、乾燥後は彩色も可能です。倉戸さんの場合、手慣れているせいか造形に1時間、1日かけて乾燥させて水彩絵の具で彩色後、模型の表面仕上げ用塗料のトップコートでツヤ出しと塗装面の保護をしたとのこと。

 出来上がったものをクヌギなどナラの仲間の落ち葉が印刷された背景紙の上に置いてみると、本物のドングリが転がっているよう。小型のUSBメモリの場合、パソコンに挿したあとキャップがどこかに行ってしまうことがあるのですが、ドングリならばデスクに転がっていてもすぐに見つけられそうですね。

 寄せられた反応の中には、アクセサリーやキーホルダーの飾りにしておくと、紛失せずに身に付けていられる、といったものも。思い立ってすぐ形にできるのがうらやましくもある「USBドングリ」です。

<記事化協力>
倉戸みと@黒の錬金術学会さん(@mitragyna)

(咲村珠樹)