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カーモデラ―が「日産S13シルビア」プラモをオリジナルにモデリング シートは質感重視

 プラモデルをこよなく愛するモデラ―。その愛ゆえに、細部にわたるモデリング(組み立て)がスゴイのですが、「カーモデラー」エンモケさんの作品もまた車愛に満ちあふれたものとなっています。

  •  「シートの表面加工
     塗装ではどうしても思った質感にならないのでセリアのネームテープを貼り込んで再現してみました。色が白だけなので貼った上からグレーを塗装してあります。
     ある程度曲面にも追従して粘着力もしっかりしてるので貼るだけで簡単に布の質感になります。
     #プラモ #100均」

     そうつぶやきながら、製作風景を投稿したエンモケさん。どうやら車のシート部分を製作しているようですが、とても質感のあるシートになっています。

     実はこれは、エンモケさんが施したモデリング。エンモケさんは現在「アオシマ」こと、青島文化教材社が販売しているプラモデル「日産 S13シルビア」を製作しているんですが、今回のシート部分以外にも独自のモデリングを施しています。

     その様子を、自身のTwitterに都度投稿されているというエンモケさんですが、それは一体どんなものかというと、まず外装部分は、パーブリッシュシルバー(日産でのカラーコード:KV4)に塗装した上で、それぞれのサイズに合わせたLEDを、エナメル線やはんだ付けで固定させながら塗装も施すことで、ヘッドとテールの各ランプ部分は「点灯」。最内のフォグランプを含めた6連プロジェクターランプになっていることでお分かりのように、モデルはSR20DETを搭載した後期型の「K’s」です。

     素組み時点では「開閉機能」の付いていないドア、トランク、グローブボックス、給油口部分には、まず穴を開け、そこに真鍮線を通したのち、サイズに合わせたアルミパイプで固定することで、「フル開閉」を実現。裏側の補強材もディティールアップして再現しています。

     さらに内装のメーター部分は、裏から透明プラ板にクリアレジンでデカールを接着取付し、チップLEDを台座に固定することで、まるで夜間に運転しているかのような電飾メーターに。

     またエンジンルームに関しても満遍なく塗装を施し、ワイヤハーネスや補機類のパイピングも加えて全体をディテールアップさせ、さらにリザーバータンクなどの補材は別途製作。エアクリーナー周辺のラバーパーツを縛る針金まで再現しているのは涙モノですね。インテークマニホールドも実物のSR20DETと同じく、シボの入った表面を再現して鋳造部品らしく仕上げています。ボンネットを開けた様子は、このままエンジン弄りをするかのような様相に様変わり。どの部分にも、本物の「S13シルビア」に限りなく近づけたモデリングがなされているんです。

     モデラー歴約20年で、「生粋の車好きです」と語るエンモケさん。今回のシルビアについても、幼少の頃から好きだった車種だそう。2002年の7代目の「S15型」をもって生産終了したシルビアの中でも、最大の販売台数を誇る5代目の「S13型」についての書籍を偶然読んでいるうちに、作ってみたいという「モデラー欲」が湧き、製作にいたったとのことです。

     そして今回話題の投稿となったシート(モノフォルムバケットシート)もまた、同様にこだわりのモデリングがなされています。素組み状態の時点で、塗装だけでは再現度が低くなると判断したエンモケさんは、「秘密兵器」とばかりに、100均ショップで購入したという衣類補修用のネームテープを使用。ちなみにこれ、何軒かの店舗で購入し、それを試し貼りしたのち行きついたものだそう。

     「内装は素材ごとの質感再現をこだわっているんですよ」というエンモケさんの言葉通り、「再現用素材」を選んだわけですが、本当のこだわりはここから。

     貼り方についても、あらかじめ部品よりひとまわり大きく切り、余った端部分も、部品の形に沿ってハサミでカットしてから貼り付け。その上で、切り口がシートの縫い目に見えるような位置で貼り合わせているという徹底ぶり。

     余談ですが、今回使用したネームテープは、白のものしかなかったそうで、貼り付け後にグレーに塗装もしています。

     そうして完成した「シルビアシート」ですが、エンモケさんの投稿にもあった素組み状態のシートと見比べてみると、まさに雲泥の差ともいえるような「ビフォーアフター」。布テープを貼ったことで、ヘッドレストが別パーツ化されたS13後期型シートの特徴がよく分かります。

     素組みだけでもプラモデル作りは楽しいものですが、ここまでのモデリングを施すエンモケさんの技巧には、ただただ脱帽するばかり。

     「カーモデルは、大好きだけど現実ではなかなか買えない車種を、何台も手元におけるし、なおかつ制作費用もさほどかからずに思いのままにカスタムできることが魅力なんですよ」と、「カーモデル愛」を熱く語ったエンモケさんの「熱」が伝わったのか、リプライ(返信)欄には絶賛の嵐となりました。

     ちなみに今回のS13シルビアですが、エンモケさんによると、現在約70%くらいの完成度だそう。完成が待ち遠しいですね。

    <記事化協力>
    エンモケさん(@engawa_modeling)

    (向山純平)

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