フランス軍事省とダッソー・アビアシオンは、ギリシャに引き渡す戦闘機ラファール12機の代替分として、最新型のラファールF3-Rを12機調達する契約を2021年1月29日に締結したと発表しました。今回の発注分は2025年末までに全てが引き渡され、フランス航空宇宙軍のラファールは129機体制となります。
フランス政府は2019~2025軍事プログラム法に基づき、軍の装備近代化を図っています。航空宇宙軍の戦闘機では、地上攻撃を担当するミラージュ2000Dの能力向上改修とともに、ラファールも最新型F3-Rへの更新が進められています。
フランスのパルリ軍事大臣は、フランス東部のオート=サヴォワ県アヌシー近郊にある、ダッソー・アビアシオンのアルゴネ工場を訪問。ラファールの生産工程を視察しました。
ギリシャ向けに中古機12機を提供する影響で、不足してしまうラファールの補充分12機の発注契約は、工場内に調印式の会場がセッティングされました。パルリ軍事大臣と、受注側であるダッソー・アビアシオンのトラピエCEOが契約書にサインし、取り交わします。
調印を終えたパルリ軍事大臣は、1月25日にアテネで調印されたギリシャへのラファール売却契約を振り返り、初めてヨーロッパにラファールのユーザーが誕生したことを「歴史的」と表現。尽力した人々を称賛し、感謝の意を伝えました。
また、今回の契約により、ダッソーはギリシャ向け新造機6機とフランス向け12機、計18機を生産することに言及。「これはダッソーと、500を超える協力企業とに約7000名の雇用を生み出します。調達契約が終了する2025年まで、仕事が確保されるのです」と、フランスの産業界にとっても大きなプラスだと語りました。
ダッソー・アビアシオンのトラピエCEOは「この12機の発注により、私たちは2027年~2030年に納入開始が予定されている、次世代型のF4(トランシェ5)生産開始を待ちながら、ラファールの生産ラインを稼働させ続けることができます。新型コロナウイルス禍という危機に直面する、私たちダッソーをはじめ、タレス(レーダー・火器管制装置)、サフラン(エンジン)など、ラファール生産に関わるフランス航空産業500社にとって歓迎すべきことです」とのコメントを発表しています。
今回の発注分12機は、2022年12月から生産が始まる予定。納入完了は2025年末を見込んでいます。
<出典・引用>
フランス軍事省 プレスリリース
ダッソー・アビアシオン プレスリリース
Image:フランス軍事省/ダッソー・アビアシオン
(咲村珠樹)