おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

これぞ第六文明人の遺跡!復活のイデオン ダンボールで完成

 ダンボールを使い、ロボットなどのコスプレを作る方々を「ダンボリアン」と呼ぶのですが、ダンボールの可能性を感じる数々の作品に感動すらおぼえます。富野由悠季監督が「機動戦士ガンダム」の次に手がけた伝説の名作「伝説巨神イデオン」の主役ロボット、滅亡した第六文明人の遺跡であるイデオンが、ダンボールで“復活”しました。

  •  1980年に東京12チャンネル(現:テレビ東京)で放送された、富野由悠季監督のアニメ「伝説巨神イデオン」。地球人の植民惑星、ソロ星に伝説の無限エネルギー「イデ」を求め、異星人であるバッフ・クランがやってきたことで紛争が発生し、その中でイデの力が解放されていく……という作品です。

     当時、富野由悠季監督は「機動戦士ガンダム」を終えたばかり。この作品では、富野監督が「ガンダム」で描いた「人は分かり合えるのか」という命題が悲劇的な形で描かれ、宗教的・哲学的な内容と破滅的な終局に向かうストーリーが視聴者に衝撃を与えたのでした。この作品こそが富野監督の代表作、最高傑作だと語るアニメファンや関係者は少なくありません。

     そんな「伝説巨神イデオン」で、主人公のユウキ・コスモらが乗るロボットが「イデオン」。ソロ星で発掘された“第六文明人の遺跡”で、コスモら地球人たちは、イデオンと同じくソロ星で発掘された“遺跡”である宇宙船ソロ・シップとともに、バッフ・クランの重機動メカと戦いを繰り広げます。

     ロボットでありながら“遺跡”という異色のメカ、イデオンをダンボールで作り上げたのは、熊田イオさん。ダンボールで様々なコスプレ作品を作り上げる“ダンボリアン”の1人です。

     熊田さんに話をうかがうと、イデオンを作ろうと思ったきっかけは、2021年2月にWOWOWで放送された「劇場版 伝説巨神イデオン 接触篇・発動篇」の二部作を見たこと。これによって、自身の“イデ”が目覚めた熊田さんは「衝動的に」イデオン作りを始めたんだそうです。

    ダンボールで作られていくイデオン(熊田イオさん提供)

     5か月弱にわたる、ダンボールによるイデオン作り。等身など、人間が入るコスプレとしてのフォルム調整は、熊田さんがフォローしているTwitterユーザーさんがアップした、着ぐるみにしたイデオンのイラストを参考にしたといいます。

     イデオンのデザイン自体は直線基調なので、いわゆる「箱組」の手法でスムーズに進んでいったそうなのですが、デザインの特徴である大きな肩が重さに耐えきれず、外側に開くような形で下がってしまったそうです。このため「フォロワーさんの助言で、100均のL字型ブックスタンドを補強にして解決しました」とのこと。

     また、ディティールについては「アニメのデザインがスッキリしすぎているので、モールドを増やして巨大感が出るよう気をつけました」と語ってくれました。確かに、イデオンはロボット形態時の全高が100mを超える巨大さですから、人間サイズにした際、スケール感を強調するのは大事ですね。

    巨大なイデオンのスケール感を表現したモデリング(熊田イオさん提供)

     熊田さんによると「今回はイデオン本体で燃え尽きました」ということで、イデオン最大の武器であるイデオン・ガン(波導ガン)などの小道具までは手が回らなかったとのこと。「同スケールのバジン(筆者註:第9話・10話で主人公たちがたどり着いたクリスタル・スターに生息する巨大な蜂のような生物)とかジョング(筆者註:バッフ・クランの白兵戦用3脚機動メカ)も作りたかったんですが……」とも話してくださったので、いずれ作られるのを期待してしまいますね。

     このダンボール製イデオンを熊田さんは、2021年7月17日に東京の浅草(台東区花川戸)にある、産業貿易センター台東館4Fで開催されるイベント「アメイジング商店街Vol.2」に出展予定とのこと。このイベントは様々なオリジナル玩具や同人誌、ゲーム、雑貨やアパレルなどが展示・販売されるもので、熊田さんのイデオンを生で見る貴重なチャンスになりそうです。

    <記事化協力>
    熊田イオさん(@travis37564)

    (咲村珠樹)

    あわせて読みたい関連記事
  • 「ちいかわの世界に行きたい」ファン、考えた末に鎧さん化 再現度がガチすぎた
    インターネット, おもしろ

    「ちいかわの世界に行きたい」ファン、考えた末に鎧さん化 再現度がガチすぎた

  • 温泉旅館で「コスプレ入門」講座 福島・いわきで初心者向け市民講座開催へ
    イベント・キャンペーン, 経済

    温泉旅館で「コスプレ入門」講座 福島・いわきで初心者向け市民講座開催へ

  • 世代を超えて楽しむコスプレ 93歳ひいおばあちゃんの「ソフィー」にほっこり
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    世代を超えて楽しむコスプレ 93歳ひいおばあちゃんの「ソフィー」にほっこり

  • まさか髪が消えるとは思わず
    インターネット, おもしろ

    コスプレと背景が完全同化!プリクラ撮影で起きた“悲劇”に「膝から崩れ落ちました」…

  • 令和のインターネットを侵略完了!イカ娘コスの11年越しビフォー・アフターが話題
    インターネット, おもしろ

    令和のインターネットを侵略完了!イカ娘コスの11年越しビフォー・アフターが話題

  • 悪霊退散!「ぬ~べ~」の鬼の手をダンボールで制作 可動式の驚きファンアート
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    悪霊退散!「ぬ~べ~」の鬼の手をダンボールで制作 可動式の驚きファンアート

  • 「行けたら行く」の思考を完全再現!?次々と脱落していくビー玉に共感しかない
    インターネット, おもしろ

    「行けたら行く」の思考を完全再現!?次々と脱落していくビー玉に共感しかない

  • ビー玉コースターの全体像
    インターネット, びっくり・驚き

    全長192cmの大迫力!大人が作る本気のビー玉コースターが驚きの完成度

  • ガンダムファン爆笑 ついに「パンを盗むおじさん」がコスプレされる
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    ガンダムファン爆笑 ついに「パンを盗むおじさん」がコスプレされる

  • 画像提供:みかんくんさん(@xmikanpapax)
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    ハンコック姿の“夫”が話題 美しすぎて石化しそう……

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 毛玉とるとる Pro(KC-NW825)
    商品・物販, 経済

    ストッキングやタイツも可の毛玉取り器誕生 マクセルイズミ「毛玉とるとる Pro」…

  • キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化
    商品・物販, 経済

    キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

  • 時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言
    社会, 経済

    時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

  • ゴロっとチキンのカレーナポ
    商品・物販, 経済

    パンチョ初の人気投票1位「カレーナポ」が進化 期間限定で復刻登場

  • 山崎賢人さんと坂口憲二さん(※山崎賢人さんの崎の字は正しくは「たつさき」です)
    イベント・キャンペーン, 経済

    サントリー生ビール新CMメイキング公開 山崎賢人ら“生ひげ”姿で掛け合い

  • なか卯に「黒トリュフ薫る きのこ親子丼」が期間限定で発売
    商品・物販, 経済

    なか卯に「黒トリュフ薫る きのこ親子丼」が期間限定で発売

  • トピックス

    1. 丸山製麺が「ラーメン大好き小泉さん」とコラボ!小麦麺使用の新感覚「らーめん缶」を実食

      丸山製麺が「ラーメン大好き小泉さん」とコラボ!小麦麺使用の新感覚「らーめん缶」を実食

      丸山製麺が10月6日から、人気ラーメン漫画「ラーメン大好き小泉さん」とコラボした「らーめん缶」を、東…
    2. これでもう怒られずにすむ? 息子が作った「ママの攻略本」の実力は

      これでもう怒られずにすむ? 息子が作った「ママの攻略本」の実力は

      親に怒られてしまった子どもが、その後に取る態度はさまざまです。落ち込む子もいれば、しっかり反省する子…
    3. 警告ポップアップで強引に広告誘導 悪質業者が仕掛ける正規サービスを悪用した罠

      警告ポップアップで強引に広告誘導 悪質業者が仕掛ける正規サービスを悪用した罠

      インターネットを使っていると、ふとした瞬間に現れる「警告ポップアップ」。 近ごろでは「サポート詐欺」…

    編集部おすすめ

    1. 毛玉とるとる Pro(KC-NW825)

      ストッキングやタイツも可の毛玉取り器誕生 マクセルイズミ「毛玉とるとる Pro」を発売

      マクセルイズミ株式会社は、ストッキングやタイツなどの繊細な衣類にも対応する毛玉取り器の新モデル、「毛玉とるとる Pro(KC-NW825)」…
    2. キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

      キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

      キヤノンが、バンダイの「ガシャポン」とコラボレーション。歴代のカメラとレンズをミニチュア化した「Canon ミニチュアカメラコレクション」を…
    3. 時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

      時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

      時事通信社は10月9日、自民党本部での取材中に「支持率下げてやる」などと発言した本社映像センター写真部の男性カメラマンを厳重注意したと発表し…
    4. 「ちいかわの世界に行きたい」ファン、考えた末に鎧さん化 再現度がガチすぎた

      「ちいかわの世界に行きたい」ファン、考えた末に鎧さん化 再現度がガチすぎた

      言わずと知れた人気コンテンツ「ちいかわ」。かわいくもハードなあの作品世界に入っていきたいと願う人は多いはず。筆者もその1人です。しかし二頭身…
    5. ネカフェの個室に不気味なトランプが……Xユーザーの“恐怖体験”に17万いいね

      ネカフェの個室に不気味なトランプが……Xユーザーの“恐怖体験”に17万いいね

      キーボードに差し込まれたトランプのジョーカーと、その裏に書かれた「げぇむすたあと」の文字。Xユーザーの「たーけ」さんが、たまたま入ったネット…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト